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高精度な機械翻訳を実現へ、ドコモなど3社「みらい翻訳」設立
SYSTRAN、フィートレックとの合併会社
(2014/9/29 15:45)
NTTドコモ、SYSTRAN INTERNATIONAL(シストラン)、フュートレックの3社は、機械翻訳技術の開発会社として、株式会社みらい翻訳を新たに設立すると発表した。9月29日に合併契約を締結し、10月に新会社設立となる。
みらい翻訳は、「はなして翻訳」サービスを提供しているNTTドコモ、翻訳ソフトウェア業界の最大手であるシストラン、音声認識や翻訳システムの開発に実績のあるフュートレックの3社が、それぞれの技術を活かして3社総合となる新体制で技術開発を行う。さらに、総務省のグローバルコミュニケーション計画を推進する、独立行政法人情報通信研究機構と、NTTのメディアインテリジェンス研究所が技術支援を行う。
事業目的は、異なる言語間での高精度な機械翻訳を実現するための開発や、サービスを提供すること。機械翻訳技術は、法人向け(BtoB)、あるいは個人向けサービスを提供する法人(BtoBtoC)に対する翻訳サービスとして提供していく。また、個人向け(BtoC)にも翻訳システムのAPIを提供するとした。NTTドコモの栄藤氏は個人向けAPIについて、「1年以内を目標に、限定的ではあるが一部の機能は無償提供したい」とコメントしている。
合併契約締結会社の出資比率はNTTドコモが51%、SYSTRANが30%、フュートレックが19%となる。資本金は9億9000万円で、従業員数は15名程度としている。みらい翻訳の代表取締役社長にはNTTドコモ執行役員の栄藤稔氏が就任する。
新会社設立の背景として、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた訪日外国人や、日本企業の海外展開の増加が加速することが挙げられる。日常会話だけではなく、ビジネスや専門性の高い文書・会話など、異なる言語間においてストレスフリーなコミュニケーションのニーズが高まると想定される。栄藤氏は日本での機械翻訳市場が約12億円であると説明した上で「(機械翻訳技術の)精度が上がれば広がるであろう新たな市場だと考えている。これまで使っていなかった企業が機械翻訳技術を採り入れるなど、民間への展開を期待している」と述べた。
また栄藤氏は、機械翻訳サービスの精度に対して「現状は、飛び抜けて優れているものがない。TOEICでいえば600点ほど」と指摘。また「企業の国際部門担当の社員に求められる水準が700点以上であると言われている。(みらい翻訳では)700点以上の水準を目指す」と語った。
翻訳精度を上げるためには“地道なパワーゲーム”が必要だとした。ビッグデータを活用し、様々な分野(災害情報・医療・法律・接客など)に適応するようなチューニングを行うことで、精度を上げていくとしている。