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最大1Gbpsの次世代通信、3社に割り当てへ
総務省が3.5GHz帯の割り当て指針案を公表
(2014/7/25 17:14)
総務省は、3.5GHz帯を第4世代移動通信システムのために割り当てる開設指針案を作成し公表した。この内容について8月25日までの1カ月間、意見を募集する。意見募集が終わると、開設指針の策定にむけて手続きが進められる。
3.5GHz帯は、理論値で下り最大1GbpsというLTE-Advancedなどの第4世代移動通信システム(4G)を早期に実用化するため、また早期に割り当てが可能な周波数帯として、モバイルネットワークへの割り当てが検討されてきた。
総務省では4Gの特徴について、下り最大1Gbpsの光ファイバー回線並みの高速な通信速度を実現できることに加えて、異なる周波数帯を束ねて利用できるキャリアアグリゲーション技術で、柔軟な電波利用と高速化を両立できる点などを挙げている。
割り当ての指針案では、トラフィックの急増に対応するためとして、上下比率を変動できるTDD方式で割り当てるとしている。また、4Gの特徴である1Gbpsを実現するために1者あたり40MHz幅を割り当てる方針。今回の対象となる帯域は、全国の3.5GHz帯で、3480~3520MHz、3520~3560MHz、3560~3600MHzの3つのバンドに分割され、3者に割り当てられる見込み。
このほか指針案では、申請者に対し、認定から4年後の年度末までに、総務省・各総合通信局の管轄区域内の人口カバー率(500mメッシュ)が50%以上になることや、認定から2年後の年度末までに、特定ひっ迫区域で最大1Gbpsを実現できる基地局の運用を開始すること、キャリアアグリゲーションなどの電波を有効活用する技術を用いることなどの概要が示されている。
ほかにも、基地局の開設計画を有することや、黒字化の収支計画を有することなどの、申請にあたっての「絶対審査基準」が示されている。これを満たす申請者が4者以上の場合は、「競願時審査基準」により審査が行われる。公表された指針案では、競願時審査基準の内容、評価方法、配点などについても詳細が示されている。
なお、NTTドコモは3.5GHz帯について、割り当てを希望する方針。KDDI、ソフトバンクモバイルも、これまでに3.5GHz帯を利用した実験を公開するなどして、割り当てを希望する姿勢を見せている。
一方、総務省が示したキャリアのグループの概念が改められ、下記の内容が絶対審査基準に反映されたことで、ワイモバイル、UQコミュニケーションズの2社は、3.5GHz帯の割り当ての申請を見送る公算が強まっている。
3.5GHz帯の開設指針案で示された絶対審査基準のうち、キャリアのグループに関連する内容は以下の通り。
- 申請者と以下の関係にある法人等がこの割当てに対する申請を行っていないこと
- 3分の1以上の議決権を保有する関係にある法人等
- 5分の1超3分の1未満の議決権保有関係にあり、次のいずれかの場合に該当する法人
― 一方が他方の筆頭株主である場合
― 周波数を一体的に運用している場合 - 申請者の代表権を有している者が、代表権を有する役員を兼任している法人等
- 申請者の役員の総数の2分の1超を自己の役職員が兼任している法人等
- 申請者の役職員が、役員の総数の2分の1超を兼任している法人等