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M2M向けで組込用途の「eSIM」、GSMAが策定

 世界各国の通信事業者が参画する業界団体、GSMAは、M2M(機器間)通信用途のeSIM(Embedded SIM)を策定、仕様書を公開した。今後は標準的な技術になるよう活動を続ける。

 eSIMは、電話番号やIDといった加入者情報を、通信経由で書き込めるようにするもの。通常のSIMカードは、一度書き込まれた加入者情報を変更しようとすると、物理的にカードそのものを取り換える必要がある。そのため、さまざまな場所に散らばっている自動販売機の通信モジュールなどでは、SIMカードの取替を行おうとしても、作業に手間がかかる。しかし通信経由でリモートで番号書き換えなどが可能になると、より手軽にM2M機器の契約情報を切り替えられる。ドコモによれば、eSIM自体の形状は、microやnanoではなく、通常のSIMカードと同等のサイズという。

 商用化されれば、通信モジュールを配備してから通信機能をONにする(アクティベートする)ことが可能になり、新たな販売形態が実現しやすくなる。現時点では、たとえば中古市場での取引もある自動車での通信機能での活用、あるいは海外に輸出する建設機器へ搭載して納入後に現地キャリアの料金プランで運用、といった利用シーンが想定される。

 仕様書の策定には、NTTドコモ、AT&T、チャイナモバイル、チャイナユニコム、ドイツテレコム、オレンジ、テレコムイタリア、テレフォニカ、テレノール、ボーダフォンといった通信事業者や、SIMカードベンダーのジェムアルト、オベルチュールテクノロジーズなどが参画。これに先立つ2日前の17日には、ドコモが参画する団体、M2MアライアンスがeSIMカードの技術検証を行うためのデモキットを提供する、と発表しており、今後活用される。なお、ドコモでは具体的な商用化の時期はまだ未定、としている。

関口 聖