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Bluetooth SIG、AndroidのBluetooth Smartなど最新動向を解説
(2013/5/28 15:12)
Bluetooth SIGは、最新のAndroidにおけるBluetooth関連の対応状況や最新の動向を解説する説明会を開催した。Bluetooth SIG グローバルインダストリー&ブランドマーケティング ディレクターのエレット・クローター氏が来日し、現在までの状況や今後の方針を説明した。また、会場には最新のBluetooth対応製品も展示された。
クローター氏は現在の状況として、1万8000社がメンバー企業としてBluetooth製品を開発しており、月間で200社が新たに加わっていると紹介。2013年は25億台のデバイスが市場に出荷される見込みで、1999年以来累計で100億台、2018年までには累計で310億台のBluetooth製品が出荷されるとの見通しを示した。また、アジア太平洋地域はメンバー全体の3分の1の数が集まり、日本は881のメンバー企業がBluetooth SIGに登録。アジア太平洋地域は世界で最もメンバーの数が伸びているとした。
同氏は、近年になって対応製品が増加しているBluetoothを「Bluetoothブーム」と紹介する。特にオーディオ製品は2010年~2012年の間に年平均で451%の伸びとなり、Bluetooth対応製品の出荷も右肩上がりが続いている。
「Bluetooth Smart」「Bluetooth Smart Ready」
こうしたBluetooth製品の盛り上がりをさらに加速するのが、Bluetooth 4.0で定義された超低消費電力の通信機能を利用する「Bluetooth Smart」だ。「Bluetooth Smart」はブランド名で、対応するアクセサリー側を「Bluetooth Smart」、対応するスマートフォンなどのハブになる機器を「Bluetooth Smart Ready」と呼んでいる。
クローター氏は、従来型のヘッドセットやオーディオ機器に加えて、例えば磨いた内容を記録できる歯ブラシなど、「Bluetooth Smart」によるユニークな製品が登場していることを示し、「アプセサリ」(アクセサリー+アプリケーション)などと呼ぶ「Bluetooth Smart」関連製品が次々に登場していると紹介する。日本でもすでに「Fitbit」などの活動量計が発売されているが、これらはアクセサリーとして比較的シンプルなデータの通信を行い、スマートフォン側のアプリでデータをさまざまに解析して活用するというのが特徴。このほかにも、発表されたばかりというアディダスのサッカーボール(ボールの回転や速度などをiPhoneアプリで確認できる)や、バスケットボール、活動量計などが紹介された。
こうした展開は、AppleがiOSとiPhone 4S以降の端末にBluetooth 4.0を採用し、「Bluetooth Smart Ready」相当の機器として提供されている点が大きく、クローター氏は「ほとんどのアプセサリはAppleのエコシステムから登場した」と説明する。
Androidが標準で「Bluetooth Smart Ready」サポートへ
一方で、BlackBerry 10やWindows 8など、最新のOSでは標準で「Bluetooth Smart Ready」に対応しており、対応する無線チップなどを搭載していれば利用できる。こうした状況のなか「もうひとつ重要なOSがAndroidだ」とクローター氏が指摘するように、Androidはすでにスマートフォン市場のシェアが過半数を占めるまでに至っている。しかし、現在提供されている最新のAndroid 4.2でも「Bluetooth Smart Ready」には標準で対応していないなど、Google側の対応の遅れが目立ち、端末メーカーが独自に対応しているケースはあるものの、多くのエンドユーザーは前述の“アプセサリ”のエコシステムの蚊帳の外に置かれている。
クローター氏は、多くの関係者から質問や問い合わせ、苦情を受けていたとした上で、5月に開催された「Google I/O 2013」にて、Androidが「Bluetooth Smart Ready」に対応すると表明されたことを紹介。「Androidの最新のAPI 18で搭載され、数カ月後には提供されることになるだろう」と今後の予定を示し、同社が提供するポータルサイトや、開発支援ツールなども合わせて紹介した。
なお、スマートフォン側が「Bluetooth Smart Ready」となるにはいくつかの要件があり、Bluetoothの通信チップが、従来型のBluetoothと超低消費電力の通信を可能にするデュアルモードチップであることや、プロファイルをダウンロードし適用できる仕組みを用意することなどが挙げられている。現在のBluetooth 4.0対応のチップはほとんどがデュアルモードチップとのことだが、プロファイルのダウンロードに対応する点は、主にOS側での最適化が必要となり、このあたりが「Bluetooth Smart Ready」への標準対応で整備されることになる。
クローター氏は質疑応答の中で今後の拡張にも触れ、従来のBluetoothの通信については、音楽の音質を高めるといった取り組みを行っていると説明。また、「Bluetooth Smart」以外においても、新規のプロファイルにダウンロードで対応する仕組みについて、規格策定の作業中であるとしている。