エンターテイメントの視聴スタイルを変えたい~au夏モデル発表会
田中氏 |
高橋氏 |
KDDIは、2012年夏モデルのau新製品発表会を開催した。同社代表取締役社長の田中孝司氏、代表取締役執行役員専務の高橋誠氏がプレゼンテーションを行った。
田中氏は冒頭、自身が1月に発表した「スマートパスポート構想」に触れ、固定回線を契約することでスマートフォンが毎月1480円割引きとなる「スマートバリュー」が、開始から2カ月半で100万契約を突破したと話した。
田中氏は、1480円の割引額について、一人では大きな数字ではないが家族で契約した場合に大きなインパクトになるとした。なお、スマートバリューを使った新規加入者は、64.8%が番号を変更せずに他の携帯電話会社に移行できるMNP制度で転入してくるという。
また、月額390円で有料アプリなどが定額利用できる「auスマートパス」についても100万会員を突破したと話し、「有料コンテンツサービスで開始2カ月で100万突破は史上初ではないか」などと述べた。
田中氏は、これらは「スマートパスポート構想」の最初のステップであるとし、「ステップ2ではもっともっとアプリを楽しんで欲しい」と話し、スマートフォンだけでなくマルチデバイスで楽しめる点をアピールした。
■新サービス
「スマートパスポート構想」の第2段階となるのが、音楽サービス「うたパス」と動画サービス「ビデオパス」だ。田中氏は音楽と映画は娯楽の定番とし、「auはエンターテイメントの視聴スタイルを変えたい。我々はお客様のウォンツに応えたい。もっと快適でシンプルに満足できるようにしたい」などと語った。
高橋氏は、「ビデオパス」の概要を説明する中で、「ネット系の動画サービスは旧作しかないが、「ビデオパス」はDVDの発売と同じタイミング。スマートフォンだけでなくマルチデバイスで観られるようになる。帰りの電車で映像をチェックし、家でパソコンやタブレットで続きを観る」などと話した。
「ビデオパス」の利用料は月額590円で、いわゆる旧作タイトルが見放題となる。また、新作タイトルは300~500円の従量制で提供される。月額590円のプランでも、1カ月に1本、新作タイトルがダウンロード可能。
「うたパス」については、邦楽・洋楽が聴き放題であるとし、ソーシャル機能が充実しているとアピールされた。フォローした相手の聴いている楽曲が一緒に楽しめ、相手が曲を飛ばせばこちらの楽曲もスキップするなど、離れた相手と共有体験できるというものだ。
「うたパス」や「ビデオパス」といったサービスに、田中氏は「個人的には結構いいのかなぁと思っている」と語った。こうしたクラウドを介したエンタメ系サービスを提供するため、重要なのはネットワークであるとし、通信品質への懸念は「当然、織り込み済み」と述べた。
■ネットワーク品質
田中氏は、auのネットワーク設備についても言及し、「数だけでなく品質をテーマに拡充する」とした。KDDIはEV-DO Advancedを4月10日に導入し、2012年12月開始予定のLTEサービスを前倒しする。今回、実人口カバー率という言葉を用いて、エリア拡充予定を2012年度で約96%とした。
さらにWi-Fiサービスについては、4月に会見を行った通り、夏頃を目処に3GとWi-Fiの切り替え速度を高めるほか、Wi-Fi接続時の消費電力を従来の2倍程度改善するとした。
このほかプレゼンテーションでは、今後発表されるセットトップボックスが少し紹介された。質疑応答の後には、剛力彩芽、伊勢谷友介、赤坂泰彦らが登場してトークセッションなども行われた。
■囲み取材
今回の発表会は、前回同様、まずサービスについて詳しく発表し、端末については写真で紹介する手短なものとなった。発表会終了後にメディアの囲み取材に応じた田中氏は、「スマートフォンを単独で発表しただけではすでに満足いただけないと思っている。スマートフォンでできることを提案していかなければいけない」とその理由を語る。
田中氏は、スマートフォンにおいて、グローバルモデルのよいところ、国内モデルのよいところを同時に実現したいと述べ、夏モデルの「HTC J」がその一例であるとした。国内メーカーが厳しい状況にあると指摘されると、「国内メーカーとも作り込んでいく。これはやる、詳細はまだ言えない」などと語った。
さらに、今回グローバルメーカーが少なかったことについて、「秋冬はガツンといく」と話しており、LTEサービスが開始される秋冬シーズンに照準を合わせている考えを示した。
田中氏は、スマートフォンについて、「もう一度サービスを端末にくっつける」「キャリアがサービスをセットで提供する」などと話しており、より端末とサービスがシームレスに連携する環境を構築したい考えを語った。
さらに、「LTE対応iPhoneが出た場合に、Android端末はシェアを奪われるのではないか?」とする質問に対しては、「そんなことはない。アップルが100%のシェアをとったらそれはアップルじゃないと思う。アップルは、これぐらいのシェアがいいよね、という気持ちいいところがある。(報道関係者は)どうしても右と左をはっきりしたがるが、お客のニーズは多様でそれに応えていく」と語った。
このほか、auスマートパスについて、それ自体がマーケティングツールであると述べ、「スマートパスに入るといろいろなものが使える、中のコンテンツをちゃんとそろえていくことが重要で、数だけそろえる時代は終わっている。数でなく質」などと話した。
2012/5/15 15:48