ベンチャー支援の「KDDI∞Labo」第2期がスタート


 KDDIは、創業から間もないスタートアップ企業や個人エンジニアを対象にした支援プログラム「KDDI∞Labo」の第2期を開始する。14日には、第2期参加チームによるプレゼンテーションが披露された。

 「KDDI∞Labo」は、日本初の新たなインターネットサービスの開発を促進するため、KDDIが新興企業や個人エンジニアを支援する取り組み。昨夏スタートした第1期では、最優秀賞として、ソーシャルメディアを介したランチセッティングサービス「ソーシャルランチ」が選出された。さらに第1期参加チームには、出資や事業提携なども行われた。

 第2期では100チームほどの応募があり、先進性や新規性、面白さ、技術力といった観点で採点し、上位4つのチームが選出された。さらに開発力強化、柔軟な風土の育成などを目指し、KDDI社内から1チーム、グループのKDDI研究所から1チーム参加して、計6チームでプログラムが進められていくことになる。

 参加チームの1つである株式会社エウレカは、友人のアプリを共有でき、新しいアプリと出会える「Peepapp(ピーパップ)」を紹介。ユーザーが自ら利用するアプリを紹介することで、ビジネス層や若年層などにあわせた人気アプリがわかる仕組みを提供する。ただ、現状ではログインしなければわからないなどの課題があるとして、今後は「mikke(ミッケ)」というアプリとして進化させることを明らかにした。

左からエウレカ、プロダクトマネージャーの川下氏、取締役COOの西川氏、代表取締役CEOの赤坂氏ソーシャルを活かすとされたPeepappだが、mikkeに進化させることに

「Creatty」を紹介するConnehitoの大湯氏

 株式会社Connehito(コネヒト)は、クリエイターが情報発信してユーザーとの接点を提供するプラットフォーム「Creatty」(クリエッティ)でプログラムに参加する。ここで言うクリエイターとは、手工芸的なハンドメイド作品に取り組む人を指しており、「Creatty」が自らの作品をアピールする場になる。オンラインのギャラリーを手軽に作れる、というサービスになるとのことで、今後2カ月程度でのサービス立ち上げを目指す。
 U-NOTE(ユーノート)は、平均年齢が20.1歳、大学生で構成されたチーム。プレゼンした、チーム名と同名のサービスは“周囲の人と共有できるノートを作成できる”ことをうたう。これは授業を受けながら、聴講している学生ユーザーが授業内容を短い文章で次々投稿する。優れた投稿があれば、自分のノートに取り入れていく、というものでTwitterと、その内容を編集するサードパーティのサービス「Togetter」のような利用イメージになる。他のユーザーから引用する行為はReNOTE(リノート)と呼ばれ、1つの授業の中で最も多く引用されたユーザーは、その授業の“ヒーロー”になれる。ゲーム的な要素を取り入れつつ、授業内容がどう学生に受け止められたか、教壇に立つ側にもフィードバックできる。5月中旬にもiPhone版を開発したい考え。

U-NOTEWeb版のUI
嗜好性DBを活用する「スキコレ!」

 22世紀まで残るサービスの開発を目指すというTeam22は、Twitterなどへユーザーが投稿した内容を収集、分析する「スキコレ!」を紹介。ユーザーが好むものを分析し、データベース化して“嗜好性DB”を構築し、各種Webサービスの情報を収集して、ユーザーが好みの動画、写真などを自動的に収集する。またFacebookやTwitterなど、複数の場所へ投稿した内容を一元的にとりまとめ、投稿から時間を経た後でも、写真や投稿文を見つけやすくすることもできるという。

 KDDI関係者として参加するKDDI研究所では、音声合成エンジンを使った「しゃべロボ19(仮)」を紹介。音声合成エンジンのデファクトスタンダード化をはかる上で、有力な利用例として、音声合成と育成ゲームを組み合わせたアプリの開発を目指す。またKDDI社内の若手による「7本木チーム」が手描きの絵で友人とのコミュニケーションを活性化させる「ドロコミ(仮)」は、たとえば手描きのイラストを共有して、絵でしりとりする、といった遊び方が可能になるという。

KDDI研究所は、音声合成技術とゲームを組み合わせるドロコミ(仮)を紹介するKDDIの“7本木”チーム

KDDIの塚田氏

 「KDDI∞Labo」の“ラボ長”を務める、KDDI 新規事業統括本部 新規ビジネス推進本部 副本部長の塚田俊文氏は、「第1期では手探りでやったが、ベンチャー側と当社内のさまざまな部署との交流がもっとあればよかった、という声があり、今後解決したいと考えている。端末貸出についても、第1期はうまく運用できなかったが、もっとしっかりやり、参加チーム以外でもサポートしたい。(参加チーム向けの)KDDI∞Laboスペースがある場所は、当社スタッフが300人ほどいて、デモも試しやすく、多くの女性スタッフからの意見も得やすい」と語り、第2期でも一層の支援をしていく姿勢を示した。




(関口 聖)

2012/3/14 18:34