災害時には通話避けて、総務省が災害伝言板などの活用呼びかけ


 8月30日からの防災週間を前に、総務省は、地震などの大規模災害が発生した場合、音声通話ではなく、災害用伝言サービスやメールを活用するよう呼びかけている。

東日本大震災での輻輳

 東日本大震災では、被災地への音声通話の集中などにより通信回線が混雑し、電話が繋がりにくい状態(輻輳)になった。総務省のまとめによると、震災直後には携帯電話事業者によっては、最大で平常時の50~60倍の通話が一時的に集中することになったという。

 通信回線が混雑したことで通信事業者は、警察や消防などの緊急通報や、災害対策機関の音声通話を確保するため、通信規制を実施した。規制は、固定電話で最大80~90%、携帯電話で最大70~95%に及んだ。

 固定電話の通信規制は短時間で解除されたものの、携帯電話の通信規制は数日間渡り断続的に実施された。過去の大規模災害と比較して、携帯電話の利用者が大幅に増加し、安否確認を行う手段に携帯電話の音声通話が多かったことがその要因となったという。

 その一方で、メールやパケット通信が比較的に繋がりやすい状態にあったのも記憶に新しいところだ。繋がらない音声通話をあきらめ、メールやTwitterを介して情報をやりとりしたユーザーも少なからずいただろう。パケット通信については、通信規制が行われなかったり、規制の割合が最大30%程度、かつ一時的なものであったりと繋がりやすい状況にあったという。このほか東日本大震災では、長時間の停電や計画停電などによって、固定電話などのサービスが利用できない状況にも陥った。

防災週間には体験サービスの活用を

 総務省では、大規模災害時に家族の安否確認を行うための方法を紹介している。通信事業者各社は、固定電話や携帯電話、インターネットなどによる3種類の災害用伝言板を用意している。携帯電話やPHSなどから伝言メッセージを入力するものや、固定電話向けの災害用伝言ダイヤル(171)、パソコンなどを利用して安否を入力する災害用ブロードバンド伝言板(web171)などがそれにあたる。

 東日本大震災では、発生直後から災害用伝言板サービスの運用が開始され、災害用伝言板が約1362万件、伝言ダイヤルが約346万件、ブロードバンド伝言板は約33万件の利用があった。8月30日~9月5日の防災週間にはこうしたサービスが体験できるので、この機会に今一度操作方法を体験しておきたいところだ。

 総務省では、実際の災害時にはどの通信手段が早く繋がるのか分からない状況にあるとする。肉声を伝えたい、聞きたいという思いから結果的に音声通話に集中しがちであるとして、災害時は積極的に音声通話以外の手段を活用するよう呼びかけている。

 また、Skypeや050のIP電話、SNSなどが比較的繋がりやすかったとし、こうした新サービスの活用も訴えている。携帯電話事業者は、輻輳対策として、音声メッセージをデータ通信網で送信するサービスを提供する予定であり、総務省としては事業者間の相互接続や事業者連携の検討を進めていく。

 このほか、停電などによる固定電話やFAXの利用可否については、情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)や電気通信事業者協会(TCA)において、停電時の固定電話サービスの利用について周知を図っていく。

 

(津田 啓夢)

2011/8/24 17:22