NECが通信速度の推定技術開発、精度は80%


 NECは、携帯電話や無線LAN(Wi-Fi)、インターネットといった通信ネットワークにおいて、通信速度(通信スループット)の特性を解析して推定できる技術を開発した。精度は80%で、コンテンツ配信などでの活用が想定されている。

 有線・無線ともに、通信する際には、他のユーザーの通信状況、無線であれば電波状況などが要因となって、通信スループットが変化する。テキスト中心のWebサイトであれば大きな影響はないものの、動画や音楽などをストリーミングで楽しんでいる場合は、そうした状況で映像が止まったりすることもある。

 同社では、時間経過により通信スループットが変化するという特性は、ゴムチューブのような粘りとバネのある物質(粘弾性体)に力を加えたときの特性に似ていることを突き止めた。これにより、スループットがどう変化するか、粘弾性体に関する方程式から計算できるようになったという。この方程式にはパラメーターが必要とのことだが、通信ネットワークを計測することで方程式のパラメーターを決定すれば、スループットを推定できるようになった。

 こうした技術が実用化されれば、外出先でスマートフォンを使って動画をストリーミング視聴する際など、あらかじめ推定されたスループットにあわせ、やり取りするデータサイズを変更すると、より安定したコンテンツ観賞が実現できるという。同社では京都で開催される国際学会「IEEE International Conference on Communications ICC 2011」において、6月6日、発表を行う。

 

(関口 聖)

2011/6/3 12:55