【BlackBerry Day 2010】
ラザリディス社長が語る「BlackBerry」の進化とは
リサーチ・イン・モーション・ジャパン(RIM)は18日、東京ミッドタウンで、同社製品・サービスなどを紹介するイベント「BlackBerry Day 2010」を開催した。基調講演には、カナダ本社の社長兼共同CEOであるマイク・ラザリディス(Mike Lazaridis)氏やNTTドコモ取締役常務執行役員で法人事業部長の大嶋 明男氏が登壇した。
RIMの上野氏 |
最初に壇上へ上がったRIM日本法人社長の上野 公明氏は、2006年に日本で発売されて以来、この4年間で4000社以上に利用されていると紹介。さらに普及を進める施策として、今夏には新機種「BlackBerry Bold 9700」を、続いて冬モデルとして「BlackBerry Curve 9300」が投入されるほか、アプリケーション配信サービス「App World」でクレジットカードが利用できるようにするなどの取り組みを行っていると紹介。このうち「App World」については、来年初めにも日本語のユーザーインターフェイスが用意されるとした。
■ラザリディス氏が語る特徴、「PlayBook」も
ラザリディス氏 |
2006年の日本市場でのBlackBerry発売以来、4年ぶりの来日となったマイク・ラザリディス氏は、「1997年は25人だったが、Eメールをワイヤレス通信で利用できるようにしたらどうか、と検討したところ、その利便性が見えてきた。いつでもどこでもメールで連絡が取れる、ということで、プッシュかつセキュアなメールサービスを初めて実現した企業となった」と、同社の成り立ちを説明する。
自動的にメールが届けられる、というプッシュ配信により、リアルタイムに近いコミュニケーションを実現したことで、企業の生産性向上に役立ち、顧客からの指示を得たという同氏は、これまでに175カ国以上、565を超える通信事業者で採用されており、1996年の株式公開以降、これまでに同社株式は20万%の成長を遂げたとする。
また、データを圧縮してやり取りすることから、海外ローミングで利用する際はデータ通信が安価に済むこと(日本では国際ローミング用の定額サービスはスタートしたが、それには触れられていない)も大きな特徴として紹介された。
企業の一部門だけではなく、財務やカスタマーサービスなど、さまざまな事業部門でも情報共有ツールとしてBlackBerryが活用されているとした同氏は、さまざまなソリューションを紹介する。その1つが「Mobile Voice System(MVS)」と呼ばれるものだ。これは、社内の内線電話システム、つまりPBXとBlackBerryのネットワークを統合するというソリューションで、BlackBerryで内線電話を受けられるようにする。手元にBlackBerryがあれば、いつでもどこでも、卓上の内線電話と同じように、社外の取引先とやり取りできるとして、これもまた生産性向上に繋がるとアピールした。
MVS | 導入ユーザー企業 |
■大画面で“体験を増幅”
企業の活動を支えるツールとして発展してきたBlackBerryだが、これからはどういった方向で進化することになるのか。
BlackBerryは、スマートフォンでも、フィーチャーフォンでもなく、「生産性向上デバイスだった」とするラザリディス氏は、片手で操作する端末としては、ディスプレイサイズやキーボードを最大限にし、バッテリーも大容量化、CPUも高速化して、限界が見えてきたと説明する。
「もう持てない、と言われるまでになった。それを変革しなければならない」(ラザリディス氏)
9月に発表されたPlayBook。今回は披露されなかった |
こう指摘した同氏は、現状よりも大きな画面サイズであれば、外出先であっても、オフィス内にいるのと同じ環境を実現できるとする。そこでタブレット型端末を投入することを決断したものの、導入企業のIT部門トップも認めるような製品にしなければ採用されない、として、セキュアさをウリにしてきたBlackBerryをベースに、米国政府が掲げる基準もクリアし、高いセキュリティ性を実現したとアピール。そうして9月下旬に発表されたのが、7インチディスプレイ搭載の「PlayBook」だ。
そのスペックシートなどを示しながら、ラザリディス氏は「BlackBerryとPlayBookは同期がとれるようになっている」と述べる。もしPlayBookにデータを残したまま紛失したとしても、データの漏洩に繋がらないような仕組みが必要であり、そこでBluetoothを活用しているという。つまり、手元にBlackBerryとPlayBookの両方があれば、PlayBookでデータを活用できる。しかし、BlackBerryが遠くに置いてあったり、PlayBookを置き忘れたりして、2つの端末の距離が離れてBluetoothで通信できなくなれば、PlayBook側のデータは削除されるようになっている。
このほか、ハードウェア面での特徴としては、Flash Player 10.1、HTML5に対応し、多くの開発者が存在する環境に対応したことが紹介された。
「PlayBook」の魅力を余すところなく紹介したラザリディス氏だが、その実機が展示、あるいはプレゼンテーションで披露されることはなく、投影された資料でその姿を見るに留まった。また日本市場での展開についても触れられることはなかった。
ドコモの大嶋氏 |
基調講演の最後に登壇したNTTドコモの大嶋氏は「PlayBookはなかなか魅力的」と切り出しながらプレゼンテーションをスタート。その内容は、キャリアの視点から見た、日本市場の動向を紹介するもので、成熟市場ながらスマートフォン市場の成長が見込まれること、軽いデバイスが日常持ち歩くツールとして重要なことなどが示された。
また前日の11月17日に発表した、BlackBerry関連の施策も紹介され、「法人事業部長として、お客様満足度1位は、目指している一番大きな目標。昨年は僅差でauに負けたが、次は1位をとりたい」と述べ、そのためにはBlackBerryをより多くの人に使って欲しい、と語っていた。
■海外モデルを展示
会場では、日本では未登場の海外モデル「BlackBerry Storm2 9550」「BlackBerry Torch 9800」の2機種がケース内で展示されていた。
「BlackBerry Storm2 9550」はフルタッチ型、「BlackBerry Torch 9800」はタッチパネル搭載でQWERTYキーも利用できるスライド型端末。どちらも日本で提供されているBlackBerry端末と比べ、大画面かつタッチ操作できるタイプであり、最新OSのBlackBerry 6を搭載する。ケース内のため、実際に操作することはできなかったが、来場者の多くが足を止めて、ケース内の両機種に見入っていた。
BlackBerry Storm2 9550 | BlackBerry Storm2 9550 |
BlackBerry Storm2 9550 | BlackBerry Storm2 9550 |
BlackBerry Torch 9800 | BlackBerry Torch 9800 |
BlackBerry Torch 9800 | BlackBerry Torch 9800 |
BlackBerry Torch 9800 |
また、会場では、「BlackBerry Bold 9700」「BlackBerry Curve 9300」の実機が展示され、実際に操作できる状態となっていたほか、関連サービスの紹介ブースなども設けられていた。このうち、10月下旬にBlackBerryのディストリビューターとなったティーガイアのブースでは、これまでドコモの法人部門が行ってきた、企業へのBlackBerry導入を行うと説明。担当者によれば、導入企業にとっては、ティーガイアのサービスを利用することで、従来から自社のITシステムに精通するシステムインテグレーターと協力しながらBlackBerryの導入を推進できることが大きな特徴という。
NTTドコモのブースでは、17日に発表した「BlackBerryのiモードメールアドレス対応」などを実機で紹介していた。今回の施策では、ユーザーがspモードを契約することになり、BlackBerry端末で利用する設定用の専用アプリも、他のスマートフォン向けに提供されるspモードの使い勝手と同等に仕上げたとのことだが、仕組みとしては、「BlackBerryがspモードに対応したのではなく、iモードメールアドレスに対応した」ということになるという。spモードではフィルタリングサービスなども用意されているが、BlackBerryで利用できるのはあくまでメールアドレスだけで、フィルタリングサービスは別のサービスとして提供される。
iモードメールアドレス対応になっているBlackBerry Bold 9700。APIなどの関係上、OSのバージョン5以上の端末で利用できる | 専用アプリのメニュー |
専用アプリのメニュー | 標準のメーラーで利用する |
ケースやバッテリーカバーを取り扱う、がうがうインターナショナルジャパンの展示 | Jabraのブースでは近日発表予定のマイク付きステレオヘッドホンも |
2010/11/18 15:36