NECカシオ、2011年上期にもAndroid端末を国内投入
写真右から、NECカシオの山崎氏、俳優の玉木宏、NECカシオの山品氏 |
NECカシオモバイルコミュニケーションズは18日、新商品発表会を開催。この中で同社の代表取締役執行役員社長の山崎耕司氏は、2010年度下期にも海外向けにAndroid端末を投入、2011年上期にも国内および海外向けにAndroid端末を投入すると発表した。
NECとカシオ日立モバイルコミュニケーションズの事業統合によって生まれたNECカシオは、2010年度上期に、NEC製端末として7モデル、カシオ製1モデル、日立製1モデル、合計9モデルの端末を投入した。しかし、市場の急激な変化の中で業績はふるわず、2010年度通期での端末販売台数を750万台から、600万台に下方修正している。
足下の業績がおぼつかない状況ではあったが、山崎氏は、上期の成果として、無線LAN機能に対応した「G'zOne TYPE-X」や、防水・耐衝撃性能を実装した「N-03C」といった冬春モデルの開発に着手できたことをあげた。また、北米向けモデルとして米Verizon Wireless向けに提供されている「G'zOne Ravine」などのグローバル展開についても紹介した。
さらに、NECが推進するクラウド戦略にも言及し、端末とクラウドサービスを連携した「モバイルクラウドサービス」を提供するとした。利用シーンに最適化された端末と、端末の特徴やユーザー特性に最適化されたクラウドサービスを提供するというもので、NECが法人向けに供給をするAndroidタブレット端末「LifeTouch」は、モバイルクラウドサービス向けにソリューションとして展開される。
■2011年上期、国内向けAndroid端末を複数投入
山崎氏は、北米市場におけるスマートフォンの動向を紹介し、2012年にはフィーチャーフォンとスマートフォンの割合が5割になるとした。国内については、2012年に4割程度になると予測、当初の予測より早いペースでスマートフォンの流れがやってくるとした。
同氏は、活況を呈するスマートフォン市場について、「(このタイミングで)スマートフォンを世に出しておらず、非常に残念」と悔しさをにじませた。急成長するスマートフォン市場をキャッチアップして端末を投入できなかった原因について、「市場トレンドの読みが甘かった」と述べた。
NECカシオでは、2010年度下期にまず、海外向けにAndroid端末1モデルを投入する。国内向けモデルは、2011年度上期にもAndroid端末が投入される。
発表会の途中から別室で行われた囲み取材では、2011年度上期に国内および海外向けにそれぞれ複数機種(3モデル以上)を投入予定であるとした。携帯電話事業者から提供されるため、あくまでNECカシオとしての端末投入計画となるが、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルに対してアプローチしているという。
端末はスリムやタフネス、モバイルクラウドサービスといったNECカシオの持ち味を出した端末となる見込み。「N」「CA」「H」のどのブランドとなるかは不明だが、商品の特徴に応じて「N」「CA」「H」が割り振られるという。
■開発中のAndroid端末を一瞬だけ披露
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また、製品戦略やドコモ/au/ソフトバンクの冬春モデルについて紹介したNECカシオの執行役員常務の山品正勝氏は、NECカシオのスマートフォンについて言及した。発表会の中で山品氏は、時間にして1、2秒だろうか、ほんの一瞬だけ現在開発中であるというAndroid端末2モデルを見せる一幕もあった。
NECカシオのスマートフォンの特長は、「マルチコア対応などの最先端のプラットフォームの採用」、「最新のOS採用」、「最高スペックの端末を提供」。山品氏は同社のスマートフォンについて、端末とクラウドサービスが密接な関係を持ち、クラウドを介することで端末が成長していくようなものになると紹介した。
なお、「LifeTouch」については、11月25日、NECビッグローブより「タブレット一体型ネットサービス」に関する発表会が行われる予定。
このほか、発表会ではドコモ向けに投入される「N-02C」のテレビCMが披露された。新CMは11月19日より全国で放映される予定。発表会には、NECのCMキャラクターとして定着した感のある俳優 玉木宏が登場、発表会に華を添えた。
■2012年度1200万台に向けて
NECカシオでは、2012年度1200万台を販売目標にモバイル事業を展開する。2010年度は目標販売数を下方修正する形となったが、山崎氏は1200万台の販売目標については変更せず、「この目標は死守していきたい」と語った。1200万台のうち、海外向けモデルは4割を占める見込み。また、1200万台の5割以上がスマートフォンになるとした。
さらに、ドコモが12月よりサービスを開始するLTE方式の高速通信サービス「Xi」向けの端末開発を行っており、2011年度下期にも音声対応端末を投入する計画を示した。
■海外展開「G'zOne風スマートフォン」も
発表会の後半は、別室にて山崎氏と山品氏囲み取材の時間が設けられた。スマートフォンを動向を読み違えたことについて山崎氏は、急成長の引き金となったのはアップルのiPhoneだと述べた。iPhoneの成長によって、当時導入コストが懸念された静電式のタッチパネルの価格が下がるなど、市場に大きな変化がもたらされたことなどを説明し、同氏は「ただ、成長するマーケットをだまって見ているわけにはいかない」と語った。
薄型モデルやタフネスモデルなど、NECカシオの強みをスマートフォンにも活かしていく方針で、同氏は「G'zOne風スマートフォンもあるかもしれない。タフネス端末でコンテンツもアウトドア向けなども考えられる。海外法人向けに、手袋のまま操作できるタブレットなどもあるかもしれない」などと話した。さらに、日本向けのローカライズについては、FeliCa(おサイフケータイ)やワンセグが必須であるとした。
NECカシオでは、2012年までに北米、欧州地域でもスマートフォンを中心とした端末投入を計画している。さらに中国市場への参入も視野に展開する。グローバル展開を進める中で、端末の開発方法にもメスを入れ、海外での需要などを見越した端末開発を行うという。
海外向けモデルは、ミッドレンジの価格帯を想定しており、国内開発国内生産ではなく、ベトナムなどの海外生産を検討する。東アジア、東南アジアでの端末生産とともに、デザインハウスへの委託などによってコスト競争力をグローバル化させていく方針。
投入される端末の販売台数予測について、山品氏は国内で1台あたり40万台程度、海外でも30~40万台と述べた。海外での販売数は上下にぶれる可能性があり、ヒットすれば100万台を超えると語った。1台40万台とすれば、2012年度1200万台を達成するためには、単純計算で国内外で年間30モデルを投入することになる。
■LTE対応タブレット端末を計画
さらに、NEC製の「LifeTouch」とは別に、NECカシオとしてタブレット端末を計画中であるとした。またLTE方式の通信サービス「Xi」には、データ通信専用端末の提供の予定はなく、音声対応のタブレット型端末を開発しているという。ドコモに採用されるかは未定としたが、7インチのほか、海外では9インチの要望もあるという。
このほか、社名に名前こそ入らないものの、NECカシオには日立の資本も入っている。山崎氏は、総合家電メーカーである日立とスマートフォンの家電連携についても検討していると話し、テレビなどとの連携を視野に入れたものだと説明した。日立との連携によって、パナソニックやシャープといった家電メーカーに対抗していく構えを見せた。
2010/11/18 13:14