ジャスト、ATOK採用のメモアプリ「ATOK Pad for iPhone」
ジャストシステムは、iPhone/iPod touch向けのメモアプリ「ATOK Pad for iPhone」を22日より提供する。App Storeからダウンロードでき、価格は1ダウンロード1200円。26日までは発売記念価格として900円で購入できる。対応するOSは、iOS 4.0以上。
「ATOK Pad for iPhone」は、同社の日本語入力システム「ATOK」をメモアプリに組み込んだもの。推測変換機能やAI変換機能を搭載するほか、フリック入力をはじめ「リボルバータッチ入力」など新開発の入力方式を用意。入力した文字はメモとして保存したり、メールやTwitter、Evernoteに転送したりできる。
「ATOK Pad for iPhone」では、独自の入力パネルが用意されており、テンキー表示では「フリック入力」「リボルバータッチ入力」を用意。QWERTYキーボードに加えて、両手での操作を前提に、かな入力をスムーズに入力できるという「ダブルトリガーキーボード」も搭載されている。
また、ユーザー辞書をパソコン用のATOKから変換して利用できるほか、対応するiPhoneアプリから「ATOK Pad for iPhone」を呼び出す機能も用意されている。なお、正式対応ではないものの、Bluetoothキーボードから文字を入力することもできる。
同社では今後、iPad向けの「ATOK Pad」を提供する予定。ユーザー辞書を複数のプラットフォームで共有できる機能には、メモを同期する機能の追加も検討されている。加えて、ATOKの名称でAndroid向けの日本語入力システムも開発されており、11月に無償のトライアル版が提供される見込み。
テンキーのフリック入力 | 新たに開発されたテンキーの「リボルバータッチ入力」。濁点などは一度下に指をずらすことで表示が切り替わる。左右、真上、斜め45度の5方向を使い分ける | 「ダブルトリガーキーボード」 |
■独自の入力方式を用意。iPad、Android向けも開発中
21日には都内で記者向けに発表会が開催された。ジャストシステム 代表取締役社長の福良伴昭氏は、2009年12月に開発意向を表明したiPhone向け製品について、「予想以上の反響をいただいた。できるだけ多くのユーザーに使ってもらいたい」と期待を述べるとともに、「昨年から新体制になり、新しいものを生み出せるパワーが充実してきている。新しい試みに挑戦していく。ちょっと目が離せない、と言われるようになれれば」と今後も積極的に新しいチャンレンジを続けていくとした。
ジャストシステム 代表取締役社長の福良伴昭氏 | ジャストシステム コンシューマ事業部企画部長の佐藤洋之氏 |
ジャストシステム コンシューマ事業部企画部長の佐藤洋之氏はまず、2009年12月のiPhone向けATOK開発表明時にはOSの入力システムを置き換えるインプットメソッド(IME)とアプリの2種類を検討していたものの、その後発表されたiOS 4でもIMEでの提供が困難と判断し、今回のアプリ形式での提供になったことを明らかにした。
そのアプリ版では、iPhoneに最適化する形で開発され、ATOKとして考える独自の新開発UIを搭載。「タッチパネルにおける文章入力のあり方」を新たに提案する内容になっている。テンキー表示では削除キーの動作をフリック入力で文字、単語、文章単位の削除を使い分けられる機能を用意したり、アンドゥ機能、カラーテーマや、ピアノ、キータッチ、銃声から選べる効果音を搭載したりと、独自の作り込みがなされている。作成した文章は文字数や要領に制限なく保存でき、メール、SNS、Twitter、Evernoteに転送するメニューは本体のシェイクで簡単に呼び出すこともでき、転送先は追加される予定。
従来のATOKユーザーがユーザー辞書を変換して利用できる互換性も確保されている。また、定型文や署名を登録できるほか、iPhoneの「連絡先」の情報を一括で取り込む機能も用意されている。
なお、「ATOK Pad for iPhone」はモバイル端末向けATOKをベースにしている。アプリの容量は、「効果音にこだわった」ため、約17MBになっている。
外部アプリと連携が可能で、9月22日以降に開発者向けの技術情報が公開される。対応すると、文字入力部分を「ATOK Pad for iPhone」に任せることが可能。具体的には、アプリ内にある文字入力フォームから「ATOK Pad for iPhone」を呼び出すことができ「ATOK Pad for iPhone」で文字を入力し転送すると、再び元のアプリに戻る、といった利用が可能になる。
同社では継続的なアップデートを表明しており、外部連携機能の追加や機能強化、フィードバックへの対応を行っていくとしている。また、iPad向けの「上位版」を別アプリとして提供する予定のほか、「ATOK Pad for iPhone」をiPadに対応させることも検討されている。
主な特徴 | 利用の流れ |
多岐に渡る機能の概要 | テンキーでの入力における候補表示。全画面化も可能 |
AI変換で複雑な変換にも対応する | フリック入力でカーソル移動や文字削除も多機能に |
ATOK独自のリボルバータッチ入力 | かな入力、両手操作を基本としてダブルトリガーキーボード |
ユーザー辞書にも対応 | 外部との連携は今後も強化 |
「ATOK Pad」シリーズのロードマップ |
なお、IMEとして提供される予定のAndroid向けATOKについては、「『ATOK Pad for iPhone』より進んでいる部分もある」(佐藤氏)とのこと、「ATOK Pad for iPhone」と同じエンジン、辞書を利用しながら、Androidに最適化したUIを新たに搭載する。具体的には、「リボルバータッチ入力」を大型にしたオリジナルの「フラワータッチ」(仮)入力搭載する予定。提供形態は「さまざまな選択肢を用意する」としている。
Android版ATOKはIMEとして開発中 | 画面イメージ。大型の「フラワータッチ」(仮)を採用 |
■会場でのデモ
「ATOK Pad for iPhone」テンキー表示 | AI変換に対応 |
リボルバータッチ入力は指に隠れないよう、上方に文字が表示される。 | 両手操作が基本のダブルトリガーキーボード |
正式対応ではないものの、BluetoothキーボードをiPhoneに接続し、「English(US)」モードにすれば文字入力が可能。変換候補の選択や変換領域の変更、カーソル操作などが行えた |
2010/9/21 16:26