アドビ、Flash 10.1とAIRのスマートフォン向け展開を解説
アドビ システムズは、Flash Player 10.1およびAIR 2.0について、スマートフォン向けの展開を含む最新情報の解説を行った。
同社は6月にモバイル向けにFlash Player 10.1の提供を開始している。このFlash Player 10.1は、Androidのバージョン2.2向けに提供されており、端末としてGoogleのNexus One、DellのStreak、HTCのEvo、Desire、Incredible、DROID、Milestone、SamusungのGalaxy Sなどが対応している。また今後は、BlackBerryシリーズやwebOS、Windows Phone、LiMo、MeeGo、Symbian OSなどの将来バージョン向けにも提供が予定されている。
AIRは、HTMLやJavaScript、Flashなどを利用して製作したアプリケーションを、ブラウザやOSを問わずWebアプリやデスクトップ用アプリケーションとして実行できるというもの。AIRで製作されたアプリケーションは、各プラットフォームにおいてはAIRのランタイムをインストールすることで実行できる。現在は開発者向けに公開されている最新版のAIR 2.0では、スマートフォン向けランタイムを提供。AIRで製作されたゲームやビジネス向けのアプリをスマートフォン上で実行できるようになっている。
アドビ システムズ プラットフォームエバンジェリストのセルジュ・ジェスパー氏 |
27日に都内で開催された説明会では、アドビ システムズ プラットフォームエバンジェリストのセルジュ・ジェスパー氏が来日し、解説を行った。ジェスパー氏はFlashの14年の歴史を振り返りながら、「HTML5がFlashを終わらせると言われるが、Flash Playerは14年にわたって提供しており、リリースの度に新しい機能をWebに提供してきた。HTML5はFlashでいうとバージョン6~7あたり」と、長年の実績に伴なうFlashの優位性を強調した。
Flash Player 10.1の概要 |
AIR 2.0の概要 |
クライアント向けで最新版となるFlash Player 10.1については、単純なスマートフォン端末のサポートに加えて、マルチタッチ、ジェスチャー、アクセラレータ、スクリーンオリエンテーション(縦横の切り替え)への対応といったスマートフォン向け機能を紹介し、前バージョンとなるFlash Player 10と比較して大幅にメモリ使用量を削減するといった最適化についてもアピール。デモンストレーションとしてNexus One上でサイトや動画などのFlashコンテンツが利用できる様子を披露した。
AIR 2.0に対する解説では、「Flash 10.1の最適化はAIRでもその効果を享受できる」としたほか、開発者からの要望として当初からあったという、端末に標準搭載されている機能を呼び出せる技術を紹介。AIR向けに製作されたTwitter上のニュースを読み上げるアプリでは、デモに使われたMacBookに標準搭載されている音声合成機能を利用して読み上げが行われていた。
AIR 2.0では、各OS向けにアプリケーションを配布できるようになっており、新たにAndroid(.apk)もサポートされている。マルチタッチなどもサポートされており、現在は開発者向けに提供されているAIRのAndroid向けランタイムを利用し、ゲームやビジネス向けアプリのデモを披露。カメラを利用したライブチャットも行えるとした。
AIRのランタイムは、スマートフォン向けとしてはAndroid版が開発者に提供されているが、ジェスパー氏によれば、今後はBlackBerryやSymbian、Windows Phone 7など、主要なモバイル端末向けに提供される予定(iOSを除く)となっている。
一方、iPhone向けOSであるAppleのiOSへの対応については、「FlashはCS5で完璧な答えを用意していたが、ライセンスが変わってしまった。我々にできることは少ない」として、iOSへの対応は前向きに捉えながらも、現状では為す術がないとした。
Flashの14年の歴史 | 10と10.1をメモリ使用量で比較 |
Android 2.2とFlash Player 10.1でFlashのゲームをプレイ | こちらはWebサイトのFlashコンテンツを再生しているところ |
AIRは2.0でAndroidをサポート | AIRで製作されたゲームをAndroid端末でプレイ |
2010/7/27 14:04