孫社長、「夏モデルのテーマはTwitter」


 18日、ソフトバンクモバイルは、2010年夏モデルの発表会を開催した。Webでの映像中継に加え、今回もミニブログサービス「Twitter」で発表内容を紹介。今回のテーマは「Twitter」としたほか、プレゼンテーション中は舞台の左右にあるスクリーンで、ユーザーがTwitterへ投稿したコメントが次々と表示されるなど、同社代表取締役社長の孫正義氏が「Twitter」へ傾倒する様を示す会見となった。

Twitterで人生が変わった、これからは「ツイケー」

Twitterをテーマに
ハード、ソフトから続く進化の先に「Twitter」を掲げる

 新機種発表会のたびに、Wi-Fiやエンターテイメント性、女性向けなど、何らかのテーマを掲げてきたソフトバンクモバイルだが、今回の発表会で孫氏は、冒頭から「今から発表会を始めるとツイート(Twitterへ投稿すること)した。最近は毎日忙しいが気力が充実し、楽しいことばかり。今日はいくつか楽しいことを発表したい。2008年にはインターネットマシンを発表し、iPhoneを発売した。2009年は動画コンテンツ、Wi-Fiの提供を発表した。今夏は新しい流れをもう1つ発表したい。今回のメインテーマはただ1つ、そのキーワードは『Twitter』だ」と述べ、他社サービスであるTwitterを2010年夏モデルの主要なテーマに掲げた。

 具体的には、今回発表された音声端末13機種と、発表済み2機種(ディズニー・モバイル端末含む)で、Twitterクライアントとなるウィジェット、あるいはS!アプリをプリセット。新機種を入手したユーザーがスムーズにTwitterを利用できるようにしている。

 「Twitterを開始して以来、人生が、ライフスタイルが変わった。中国へ渡航したときもツイートし、お風呂に入っているときもツイートしたりしている。楽しくてしょうがない。仕事に大変役立つ」と述べ、多人数と同時にやり取りできるコミュニケーションツールであるTwitterの魅力を強くアピール。これまでもユーザーから寄せられた電波環境に関する要望を把握していたものの、Twitter経由で直接、ユーザーの声に触れたことで、その認識をあらためたという孫氏は、Twitterの魅力を多くのユーザーと分かち合うべく、スマートフォンではなく従来型の携帯電話にTwitterクライアントを搭載することにしたと説明した。

 ユーザーからのTwitterへ投稿されたメッセージを紹介した孫氏は、そのメッセージに含まれていた「Twitter携帯」という言葉を取り上げて、即座に「ツイケー!」と強く一声。「(ツイケーは)今思いついた。これを流行させたい。Twitterがついていないとケータイじゃないという時代がくるのではないか」と、満面の笑みで語った。

 終盤にはTwitterを通じて知ったという、アップルのスティーブ・ジョブズCEOによるスピーチを見て号泣したというエピソードを紹介し、「Twitterで心が通じ合えないと誰が言うのか。触ったことのない人が外から言っているだけではないか」と感情を伝えるツールとしてTwitterが機能していると説明。こういった動きをコミュニケーション革命、Twitter革命とした。

 会見中には、モデルの道端ジェシカやアーティストの広瀬香美、ジャーナリストでTwitterに造詣が深い津田大介氏、コラムニストや評論家として活動する勝間和代氏の映像が流れ、Twitterの有用性があらためて紹介された。また、Twitter CEOのEvan Williams氏がUsteam経由で登場したほか、Twitterモバイルビジネス部門トップのKevin Thau氏が登壇し、今回のソフトバンクモバイルの取り組みに期待感を示した。

上戸彩や“ガンダム芸人”が登場

上戸彩が登場

 続いて、新機種群が紹介され、ハイエンドモデルの1つ「AQUOS SHOT 945SH」に触れると、会場にはソフトバンクモバイルCMキャラクターを務める上戸彩が登場。浴衣姿で現れた上戸の姿をAQUOS SHOTで撮影した孫氏が、その場でTwitterへ写真を投稿するなど、端末の機能と今回のテーマを組み合わせたデモも披露した。

上戸を撮影する孫氏撮影した写真をすぐTwitterへ投稿する孫氏
取材陣を背後にする上戸を孫氏が撮影AQUOS SHOTへ機種変更すると述べていた上戸
上戸は「夏休みはない」と語っていた防水をアピールする展示も

 機種紹介や新サービスが一通り紹介され、プレゼンテーションが終盤に差し掛かったと思われた頃、唐突にアニメ「機動戦士ガンダム」のセリフや名場面を交えた映像が流され、「945SH G」の発表が案内された。その直後、舞台には“ガンダム好き”で知られる芸人の土田晃之と、ガンダムの主人公であるアムロ・レイのモノマネをする芸人、若井おさむが登場。軽妙ながら、ややマニアックな語り口で、2007年に発売された“シャア専用ケータイ”「913SH G」や、「945SH G」の特徴となる充電台やオリジナルのプラモデルなどを紹介した。土田は「アキバで第2弾の発表会をやりたい」「今年はガンプラ生誕30周年」「ガンダムケータイと言いながら、第1弾はザクのほうが先に出て、やりやがるなソフトバンク! と思った」などと語り、若井は私物という913SH Gを手にしながら、「(945SH Gのカメラ部が)ガンダムのビームライフルの照準をモチーフにしている」「ガンプラにケータイが付いているような感じ」と述べ、会場の笑いを誘いながら、細かな点まで追求している「945SH G」の魅力を紹介した。

「945SH G」こだわりの点を紹介シールド風バッテリーカバーで遊べると言う若井に二の句が継げなかった土田
孫氏を交えて報道陣に撮影され……最終的には全員で敬礼

「総務省に火をつける」は“冗談”、海外パケット定額提供も

質疑応答でTwitterの選挙利用に関する批判まで飛び出した

 質疑応答で、TwitterがEMA(モバイルコンテンツ審査・運用監視機構)の認定を受けておらず、フィルタリングサービスを利用する青少年ユーザーがTwitterを利用できない可能性を指摘された孫氏は「Twitterがフィルタリングされるのであれば、世界中から笑われる。私は18歳の高校生をフォローしているが、大人と学生がコミュニケーションできないというナンセンスなことは許してはいけない。人々のコミュニケーション革命、神に対する冒涜だ」と述べ、「もし政府が18歳未満に対してTwitterはフィルタリング対象、とすれば、総務省へガソリンを持っていって火をつける。犯罪予告だ。そんな基準を誰が作った。そんな基準があれば即刻変えなければいけない。それが革命だ。私はそう思う。だいたい、Twitterが参議院選挙で解禁されないという話があるが、それも世界で笑われる。誰が反対しているのかと申し上げたい」などとヒートアップ。ただ、会見後の囲み取材では「あれは冗談でした」と述べ、“放火予告”を取り消したものの、孫氏のTwitterへの想いが発露した質疑となった。

 一方、Twitter社に対する協力関係については、「さまざまな形で応援していきたい」と述べ、全面的な協力を惜しまない姿勢を示す一方で、資本提携等は話し合いをしていないとコメントした。

囲み取材での孫氏

 SIMロックに関して問われた孫氏は「スマートフォンに比べ、一般的な携帯電話にSIMロック解除の仕組みを入れるのは、技術開発が実は大変。他社の携帯電話でドコモのメールを利用できるようにしたり、他社の周波数を利用できるようにすると、サイズが大型化するし、奨励金もなくなる。(SIMロック解除の仕組み導入は)やりますけれども、大慌てで、大喜びでやるわけではない。ドコモもそうだろう。1機種ずつトライアルしてニーズを図りたい」と説明した。

 また、SIMロック解除を求める根拠として、海外での利用料を抑えるというニーズがあるとした孫氏は「7月から、我々は“海外パケット定額”をはじめるので、海外でSIMを入れ替えたいという要望はなくなるのではないか。日本で初めて(海外パケット定額を)出していきたい」と述べ、新サービスの提供によって一定のニーズへ応えられるとした。ただ、その詳細については後日あらためて案内するとして、今回は明らかにされなかった。

 



(関口 聖)

2010/5/18 19:56