日本通信、3G網対応のPC向けIP電話「もしもしDoccica」


「もしもしDoccica」、マイク付きイヤホンなどが同梱される

 日本通信は、3G対応のデータ通信カードと専用ソフトウェア、マイク付きイヤホンをセットにした「もしもしDoccica(ドッチーカ)」を12月10日に発売する。価格は1万9800円で、個人ユーザーでも購入でき、パッケージには8000円分の通話・通信利用分が含まれる。

 「もしもしDoccica(ドッチーカ)」は、パソコンから利用できるIP電話サービス。年内にもWindows Mobile向けアプリが用意され、総務省の「ふるさとケータイ」事業の1つとしてサービスが開始される予定だが、当初一般ユーザーが利用できるのは、パソコン向けサービスのみとなる。

 利用する際には、データ通信端末を装着し、「もしもしDoccica」のアプリケーション「bアクセス」から3G接続か、Wi-Fi接続を選択して、通話ボタンを押すという流れになる。050番号が割り当てられるが、アプリを起動していない時には着信できないが、転送機能が用意される。また近日、ボイスメール機能も追加される予定。

 同社がこれまで提供してきたNTTドコモの3Gネットワークを借り受けたMVNO型データ通信サービス「Doccica」で音声通話サービスが追加された、という形になり、通話サービスと通信サービスが利用できる。

専用ソフトデータ通信端末を接続

 通話時には、通話料だけではなく、パケット通信上で行われることから通信料もかかる。通話料は、国内のIP電話や固定電話宛が120秒10円、携帯電話・PHS宛が40秒10円となる海外宛の通話では、地域によって異なり、120秒10円の「ワールドA」、40秒10円の「ワールドB」、12秒10円の「ワールドC」、6秒50円の「ワールドD」と4つに区分される。たとえば米国は120秒10円の「ワールドA」になる。また通信料は3G接続時は1分10分、日本通信のWi-Fiアクセスポイント(ホットスポットなど公衆無線LANサービス)では1回300円となる。ただし、自宅や会社など無料で利用できるWi-Fiアクセスポイントでは通信料がかからない。

 屋外で3G網を使いながら、10分間、友達の携帯電話に通話すると、通話料150円+通信料100円で、計250円かかることになる。自宅で実家の固定電話と10分間通話するケースでは通話料50円+通信料0円、計50円となる。料金は前払方式で、クレジットカードをあらかじめ登録しておき、1000円分、2000円分とチャージすることになる。

 同社では、既存の「Doccica」ユーザーも「もしもしDoccica」を利用できるよう、アップデータを提供する考え。詳細は今後あらためて案内される。

商品概要料金体系

 

仕組み

 これまでもパソコン向けのIP電話/インターネット通話サービスは、さまざまな企業から提供されてきた。今回の日本通信のサービスは、外部企業と協力して開発した独自コーデックの採用や、NTTドコモとレイヤー2で相互接続して品質管理できることを活かし、3Gネットワーク上でも音声通話サービスを実現している。

 050番号の取得に必要な品質基準についてはクラスCと判定されており、ユーザーには050番号が付与される。2日の発表会で披露されたデモでは、やや音声が乱れる瞬間がわずかにあったものの、遅延を感じさせず、音声もクリアなものだった。

インターネット通話とIP電話の違い独自コーデックを開発

 3G網を利用して通話する場合は、同社のネットワークから中継ノードを介して他社の電話に繋がることから、日本通信側で通話品質を管理できる。一方、国内外の無線/有線LAN経由で接続する場合は、インターネット経由で中継ノードに接続するため、インターネットの通信品質に影響される。独自コーデックは、使用帯域やCPU付加を抑え、品質の高さを追求して開発されたもの。

 特に帯域については、モバイル環境での利用を実現する為に必要という観点のほか、帯域幅に応じてドコモへ料金を支払う形になっているためコストダウンの観点からも必須要件とされていた。そこで、バッファリングや遅延のバランスの調整は、NTTドコモのネットワークに最適化してチューニングされた。その結果、平均専有帯域は、2kbps~21kbps、平均で9kbpsとなった。なお、IP電話でよく利用されるコーデック「G.711」では平均87kbps、インターネット通話アプリの「Skype」は平均64kbpsとされる。ただし、今回の「もしもしDoccica」実現にあたっては、独自コーデックで大幅な技術革新があったのではなく、レイヤー2接続により、日本通信が独自のゲートウェイ設備(GGSN)を設置・運営できるという点が大きな要因という。

日本通信の三田氏日本通信の福田氏

 同社は2日に報道関係者向け説明会を開催。代表取締役社長の三田 聖二氏は、「我々のサービスは、bアクセス、SIMカード、3Gネットワーク、クラウド(サーバー)という4つの要素が必要。特にSIMカードは通信端末の認証機能を担い、ソリューションを提供できるかどうか、コントロールするためのもの」などと説明し、レイヤー2接続によって音声通話サービスを実現できたことをアピールした。

 また、常務取締役CFO兼CMOの福田 尚久氏は、「今回は技術的な革新だけではなく、レイヤー2接続という制度の革新によって実現できた。今後は複数回線をまとめる機能や、留守番電話機能、FAXを受信したらPDFデータでメール通知したりできる機能などを年明け後、1カ月に1つ、というペースで追加していく」と述べ、今後も機能拡充を図り、スマートフォン向けにも展開する方針を示した。

将来的にFAX機能も留守番電話機能も統合

 



(関口 聖)

2009/12/2 18:21