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「打診から30分でやろうと決めた」ニフティとBIGLOBEの100周年ナイト

100周年?ナイトで示された未来予想のひとつ。わりと会場は沸いた

 「買収されるらしいぞ。じゃあ何かイベントやろうか」――まさかのきっかけで開催されることになったのは、創業から30年を迎えた老舗ISP、ニフティとBIGLOBE(ビッグローブ)によるイベント「100周年?ナイト」だ。

 「100周年?ナイト」は、SNSで、両社創業から100年後、つまり2086年までの未来予想を募り、ニフティ名物の「デイリーポータルZ」のチームが写真にしたり、優秀なものは映像にしたりする――というもの。両社ともに30周年とあって、足し算しても60周年。イベント名の「100周年」には足りないが、これは創業~現在までを振り返るだけではなく、未来まで展望しようというもので、いわば日本のインターネットを支えてきたという両社の自負を表わす。

 未来展望のしっかりしたものは、野村総研が開示しているのでそちらに任せて……という、デイリーポータルZらしいゆるいスタンスとなった今回。制作中には、休日出勤でBIGLOBEの中の人がニフティを訪れて、イベントで披露するための素材を撮影することもあったという。

ニフティをイメージしたカクテル(オレンジ)とBIGLOBEをイメージしたカクテル(青)をお互い呑ませあうという乾杯でスタート

 だが、両社はそもそも同じフィールドで戦ってきた競合だ。ISPだけではなく、最近はともにMVNOサービスを手がけている。そんなライバルがひとつのイベントをこのタイミングで仕掛けたのは、2016年後半、両社が買収されるのでは、と報じられたことがある。

いいちことコラボして開発した「いいちこ棒」で“未来予想”として寄せられた各作品を評価。
観客がいいちこ棒が掲げると、どこかの仮装大賞のようにライトで評価を示す画期的なシステム。このタワーはタッパーを積み重ねただけというシンプル設計。壇上には、東京カルチャーカルチャー店長の横山シンスケ氏、デイリーポータルZで活躍する妄想造形家の乙幡啓子氏、林雄司氏で進行。BIGLOBEの中の人ももちろんいたが、この写真ではバルーンが中の人みたいになってしまった

 最終的にニフティはノジマ、BIGLOBEはKDDIに買収されることになったが、一時はKDDIが両社を手中に収めるのではという報道まであった。そんなニュースが飛び交った2016年12月、ビッグローブの中の人が「同じような会社に買われるような話がある。だったらイベントやったら面白いんじゃ」と思いついて、ニフティへ連絡。ニフティの中の人は当時、年末の納会中だったが、「BIGLOBEさんからこんな提案が……」と連絡があったことを聞くと、「やろう!」と即決。提案から30分でイベント実施が決まったという。

映像化されたのは2作品、そして実際に形になったのは1作品ということで、こちらは映像化されたうちのひとつ。
背景のポスターまで作り込んだという

 ニフティ、BIGLOBEが買収されることで、たとえばニフティはデイリーポータルZがどうなるのか、といった視点で今後の動向に注目が集まった。既にBIGLOBEは1月末にKDDI傘下となり、ニフティは4月からノジマ傘下となる。事業環境は大きく変化していくかもしれないが、今回のようなイベントが開催されたことは、これまで通りの両社の持ち味は保つ、それでいてさらに新しいステージに向かっていく――という中の人たちの思いが示されたものと言えそうだ。

大団円で幕を閉じた。楽しかったです