ニュース

「若い人のエンタメガジェット」フレンチデザインで価格も攻めるWiko

2017年はあと2~3機種の投入を計画、周辺機器やプロモーションも積極展開へ

 ウイコウ・ジャパン(Wiko Japan)は、フランスのモバイル端末ベンチャー・Wiko(ウイコウ)のAndroidスマートフォン「Tommy」(トミー)を2月25日に発売する。価格は1万4800円(税抜)で、予約は2月14日から開始する。SIMロックフリーの端末として、販売チャネルは家電量販店、eコマースサイトから始まり、今後はMVNOからの提供も予定する。端末についての概要は別のニュース記事を参照していただきたい。

Wiko Asia Hub Product ManagerのStephen FENG(ステファン・フェン)氏(中央左)、Wiko Japan 代表取締役社長の前田浩史氏(中央右)
WikoのAndroidスマートフォン「Tommy」

33カ国で1000万台を出荷、フランス発のスマホベンチャー「Wiko」とは

 日本ではまだ馴染みがないWikoは、2011年にフランスのマルセイユに設立されたモバイル端末のベンチャー企業。フランスを中心に“地元である欧州発のブランド”としてデザイン性の高さや比較的安価な価格戦略が支持され、南欧、東欧を含め急速に販売台数を伸ばし、アフリカや中東にも市場を拡大。2014年には、“フランス発のブランド”としてシンガポールを皮切りに東南アジアにも進出し、今回の日本は34カ国目となる。

 販売台数は現在、2年で2倍のペースで拡大しており、2016年はグローバルで1000万台を出荷。2017年は1500万台の販売を目指している。フランスでのシェアは2位、西ヨーロッパ各国でも5位以内にラインクインするブランドに成長しているという。日本でもSIMフリー端末でシェア5位以内が目標としている。

Wiko Japan 代表取締役社長の前田浩史氏

得られるノウハウをグローバルに展開

 14日に開催された日本参入の発表会には、Wiko Japan 代表取締役社長の前田浩史氏が登壇。モトローラをはじめ長年海外の通信系企業で新規事業の立ち上げに携わっており、プレゼンテーションや質疑応答、囲み取材などで柔軟に参入の背景や意気込みなどを語った。

 前田氏は日本市場に参入する理由について、2020年のオリンピック開催を控えて、ネットワーク環境の整備が一層進むと予想されていることや、SIMフリー端末の市場が現在大きく伸びていることなどを挙げる。一方で、「今を逃すと機会損失ではないか」と、参入するタイミングとしてはギリギリだともしており、日本向けラインナップの方向を修正した関係で、参入時期が計画よりも遅れたことを明かしている。

 また、日本市場のインフラは同社にとってもメリットがあるとしており、「日本のすばらしい技術と通信インフラから得られるノウハウを、グローバルに展開していきたい」との意向も示している。

「Tommy」は若年層がお小遣いで買える「遊び心のあるガジェット」

 仏Wikoはスペック・価格で非常に幅広い種類の端末を開発しており、欧州、アフリカ、中東、東南アジアなど各国・地域に合わせて端末を投入している。

 Wikoは同社のスマートフォンを「エンターテイメントガジェット」と位置付けており、旧来から続く通信端末の視点とは異なる観点からのチャンレンジとする。具体的には、メール(eメール)や通話を主体としたものではなく、SNSを中心に無料通話サービスを使いこなす若い世代がターゲットとし、フランスの10~20代の世代が(親から買い与えられることは稀であるため)自分の小遣いで変える端末価格を実現した。

 日本で第1弾として投入される「Tommy」は、イタリアのTIMやフランスのOrangeなど大手通信キャリアの意見を取り入れながら開発した、若年層に向けたモデルで、これらの国ではキャリアモデルとして販売されている実績もあることから、日本にも適したモデルとして選ばれたという。「遊び心のあるガジェットとして打ち出していく。使っていて楽しいと思ってもらいたい。しかもおしゃれでフランスデザイン」ともしており、フランス発というデザイン性やカラーのセンスなども前面に打ち出しながら展開していく方針。

 若年層をターゲットとすることで、日本のマジョリティである30~40代は対象外になってしまうのではという懸念に対しては、「そのマジョリティ層って、スマホ使いこなしていますか?」ともしており、日本のスマホユーザーとして(あるいは人口構成的にも)メインターゲットになる40代を中心としたユーザー層ではなく、SNSなどを使いこなす、若い層に向けたものとしてアピールしていく方針が示されている。

 Wikoは、欧州を中心に、サッカーチームのスポンサーや音楽イベントへの協賛など、若い層をターゲットにしたプロモーションやイベントを積極的に展開しており、「日本でもやっていきたい」という意向も示している。もっとも、前田氏は「会社としは宿題」ともしており、若年層に訴えていく具体的なプロモーション施策については、今後明らかにされる見込み。

 日本向けの第1弾端末である「Tommy」では、防水・防塵やFeliCa、おサイフケータイなどの対応は見送られている。こうした点については「防水・防塵には対応していないが、NFCやFeliCaは十分に考える余地がある。必要があれば対応していく」と回答している。

 日本市場でのサポート体制については「非常に実績のあるところに頼んでいる。全く心配はしていない」としている。同日、シネックスインフォテックからは、Wiko JapanのTommyを取り扱うと発表されている。

 スペックや価格帯で競合すると思われる「FREETEL」を引き合いに出されると、「(市場が盛り上がる)相乗効果を狙ったらいい。彼らは“スマホスマホ”している。我々は観点が違い、パーソナルエンターテイメント、ガジェットとして打ち出していく。“フランス”を強調しているが、リベラルな端末でありたいと思っている」として、Wikoがスローガンとして掲げる「Game changer.」のように、伝統的なものや旧来のものに挑戦していくというスタンスを打ち出している。

Wiko Asia Hub Product ManagerのStephen FENG(ステファン・フェン)氏。スペックを紹介した

2017年はあと2~3機種投入、アクセサリーや周辺機器も

 日本で今後展開するという端末については、「(2017年に)あと2~3機種の投入を考えている。Wikoのプロダクト・ポートフォリオは常に20機種ぐらいあり、アフリカで売っている50ユーロなどの端末から300ユーロ前後の端末まで幅広いバリエーションを持っている。日本に適したものを導入していく。Tommyとは違うセグメント、違う特徴のモデルを発売するだろう」と語り、第1弾とは異なる位置付けの端末を投入する予定とした。

 その価格帯についても、Wikoのグローバルのラインナップでは100ユーロ、200ユーロ、300ユーロという大まかな価格帯があるとした上で、「日本のSIMフリーでは、3万円前後の魅力のある価格帯で、ハイスペックで斬新なデザインのモデルを導入したら、けっこういい勝負ができるのではないか」としている。

 前田氏はまた、Wikoとしてさまざまなアクセサリーや、周辺機器のスピーカーやアクティビティトラッカーなどをラインナップしており、こちらも「逐次日本でリリースしていきたい」としている。

質疑応答
囲み取材