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ワイモバイル2017年春商品の発表会、寺尾氏囲み取材一問一答

 18日、ソフトバンクは、ワイモバイルブランドの春商戦向け新機種を紹介する発表会を開催した。プレゼンテーションの後、ソフトバンク Y!mobile事業推進本部 執行役員本部長の寺尾洋幸氏が囲み取材に応えた。報道陣との主なやり取りを紹介する。

――去年の春商戦はiPhoneが非常に好調だった。今年も「iPhone 5s」でいくのか。

寺尾氏
 んー、ノーコメントですね。「iPhone 5s」(の販売)は続けますが、次の手は考えてますから。

――店頭やネット販売で非常にキャッシュバックをやっている印象がある。SIMカードに紐付くものか?

寺尾氏
 お役所のガイドラインは当然守っています。(キャッシュバックの金額もガイドラインに違反しない)その額です。

――シャープ、京セラ以外のメーカーと「Android One」の開発で交渉しているのか。

寺尾氏
 交渉しているかどうかはノーコメント。ただ、複数のメーカーと常に話をしている。どこかに肩入れするというより、多く参入してもらうことで裾野は広がると思っている。

――ワイモバイルとして用意するAndroidは「Android One」だけで、その他の機種が欲しければSIMフリーで、ということか。

寺尾氏
 そこまで一気に割り切りたいが、基本的に我々が進めるサービスは「Android One」向けに作っていきたい。(ショップなどで)お客さまに説明する部分はハードルが高く、できるだけ「Android One」に揃えていくのが良いのではないかと考えている。ただし魅力的な端末も多い。お客さまからのニーズを見ていきたい。

――「Android One」はメーカーごとの違いを打ち出しにくい。どれも同じ使い勝手になってしまい、逆に言えばメーカーが提供する体験を味わえないことになる。どう考えているのか。

寺尾氏
 んー、メーカー間の差とは何でしょうね。

――たとえばカメラ機能や省電力機能など、メーカーがそれぞれ開発している機能がある。

寺尾氏
 たとえばシャープではIGZO液晶を採用したり、(京セラ製Android Oneでは)赤外線があったりするなど、ハードウェアでの違いは今後も出てくるだろう。最終的なユーザー体験が同じようになるよう開発をお願いしている。たとえば今後、デュアルカメラがスタンダードになれば、デュアルカメラもあれば、シングルカメラの機種もあるのではないか。我々はハードウェアを縛るのではなく、ユーザー体験をグーグルにあわせたいと考えている。

――サービス面でYahoo!プレミアム無料化があったが、ソフトバンクもヤフーとの連携を強化している。

寺尾氏
 いい質問ですね(笑)。ワイモバイルはまだまだ小さな所帯。我々はかつて、通話定額の「だれとでも定額」を発明し、今では携帯各社にも導入された。我々は常に新しいことを考えて行こうというスタンス。

――これまでもスタッフ教育を進めてきたなかで、アンバサダープログラムを導入するのは、そちらのほうがコストが割安なためか?

寺尾氏
 いえ、両方ともやります。コスト面で言うと、ショップのサポート部門やカスタマー部門といったバックヤードは、ソフトバンクと共通化が進んでいる。スタッフの教育も一定のところまでは一緒にしている。

――Googleアンバサダープログラムはもともとインド市場向けとなっていたと聞いているが。

寺尾氏
 Android Oneももともと新興国向けでした。そこは国によって事情が異なるのでしょうが、ただ、我々がお客さまとコミュニケーションすると本当にスマートフォンの基本的なところがまだ理解されていない部分がある。ワイモバイルは、フィーチャーフォンから乗り換えた方が多い。ワイモバイルの料金はシンプルにしたが、端末については電話のかけ方からレクチャーするケースがある。そうした場合のツールも用意しているが、グーグルと協力することで、もっとわかりやすいツールが作れるのではないか。そこで得た知見をグーグルさんに戻し、それがまた我々に還元される。そして世界へ、日本へ広げて行ければベストケースだとは思う。もっともまだこれからの話。半年後はどうなっているかわからない。

――SIMロックフリーの販売でSIMカードが売れているとのことだが、要因は?

寺尾氏
 SIMロックフリースマホの機種数が増えてきたが、セットで提供されるSIMは大手キャリアから提供されていない。価格で言うと、MVNOのほうが安い。しかし我々のネットワーク品質や、サポート体制を評価していただいて、増えているのではないかと。ワイモバイルはSIMだけで売れるような仕掛けを最初に入れていた。3年後、5年後に「こういう仕掛けだったんだ」と成ればいいなと思っている。

――ワイモバイルが調達する機種は減らすのか。

寺尾氏
 そこはちょっと悩んでいます。我々がサポートする端末のほか、グループ会社のソフトバンクC&SではSIMフリーな端末を扱う部門もある。少なくともスマホデビューする方にはわかりやすい端末、料金を提供しないといけないと思っている。

――2017年のSIMフリースマホ市場、格安スマホ市場はどうなると見ているのか。

寺尾氏
 市場としては堅調に進むと思う。でも、競争は激化している。プレイヤーの数は減るのではないか。

――格安スマホで40%のシェアとのことだが、それ以上は難しいか。

寺尾氏
 社内の目標は常に高いです、ソフトバンクですから。私はいつも「お前はいつも未達だ」と言われています(笑)。シェアは最終的な結果で、我々がどれだけ多くのお客さまにサービスを広められるかに力点を置きたい。“数”については“技”があります。でもそれは本質じゃない。Android Oneも最初に出すときには、満足してもらえないのではないかと不安もあったが、販売数は伸びて、満足しているという声もいただいた。結果的にシェアが上がればいいが、まずは我々の想いを届けるところに注力したい。

――Yahoo!ショッピングのポイント倍率だが、月曜に発表されたソフトバンクの例では最大20倍だがワイモバイルは17倍だ。

寺尾氏
 「5のつく日」に増えるという同じ計算をすると、ワイモバイルは21倍になる。今回は、Yahoo!プレミアムの特典無料が(他社に先駆けた)一歩先を行った取り組みという位置づけだ。(ヤフー社長の)宮坂とも話しをするが、Yahoo!プレミアム、ショッピングの上でさらに新たなサービスを伸ばしていきたい。ワイモバイルは安価に提供しているが、物を作るコストも安くしたい。ヤフーのサービスを利用すれば開発コストなしで展開できる。Yahoo!プレミアムの価値は今後も伸ばしていかねばならない。伸ばすと売上の確保にもなり、ヤフーも注力していくのでは。

――ソフトバンクと比べると、ソフトバンクの特徴は(ファミチキなどがプレゼントされる)「SUPER FRIDAY」だけという印象になる。同じ社内だが、ソフトバンクに遠慮せずに攻めていいということなのか。

寺尾氏
 あの、一切遠慮していません。が、なんと言うんでしょうね……当たり前なんですが、ワイモバイルを解約して大手キャリアに戻られる方がそこそこいらっしゃるんですね。理由を伺うと、ご家族が使っていたり、サポート体制だったりといった声があります。お客さまから見た場合、ワイモバイルは安いが、見方によっては物足りないかもしれない。ソフトバンクは体験価値を上げていくことですみ分けできるのではないか。

――他キャリアは大容量プランを提供しているが、ワイモバイルはLLプランを用意しないのか。

寺尾氏
 昨年、学割を実施したところ、(高校入学にあわせてスマートフォンを使い始める)高校デビューがすごく多かったですね。でも、親からするとスマホ代の負担は大きい。大容量プランを7000円、8000円で提供することはできるが、ワイモバイルのお客さまはそこを求めているのだろうかと。容量などちょっとだけ我慢するとこの値段になりますという形です。かしこく使うにはいい料金ではないか。

 我々は満点なキャリアではなく、どこか我慢していただくことになる。昨年、Android Oneを出したときにも「普通だ」という評価もあったが、普通なんです。必要かつ十分な端末なんです。それをリーズナブルな価格で提供することが我々のやることだと思う。質問忘れちゃいましたが、そういうことです(笑)。

――昨秋ごろからUQ mobileが注力している。影響は?

寺尾氏
 あるようなないような……。KDDIさんが非常に注力し、ライバルとして注目している。しかしMVNOさんの市場が拡大するなかでUQさんも伸びておられるのだろう。

――格安スマホ市場がさらに盛り上がったという影響か。

寺尾氏
 にぎやかになりましたよね。MVNO各社さんもCMを放映されている。我々のサービス、商品を知っていただくことが一番重要。ワイモバイルについてはまだまだ知られていないが、市場自体が盛り上がって認知度が上がっている。全体が伸びているのではないか。

――ストレートの「603SI」を出す意味は?

寺尾氏
 「The 電話」です(笑)。少し年をとってくると、画面を目から離さないと見づらくなってくる。そうなるとタブレットをオススメしたい。

 その一方で、従来のフィーチャーフォンとして折りたたみ型だけでいいのかなと。ウィルコム時代でもストレートタイプはかなり売れていたが、今の市場にはほとんどない。フィーチャーフォンとタブレットのセットという新しい売り方ができるのではないか。折りたたみ型とのセットもやっていたが、コストを下げてよりリーズナブルに提供できるのではないかというチャレンジ。

――PHS方式ですか?

寺尾氏
 いえいえ、違います。

――「603SI」でPHSを巻き取るのか?

寺尾氏
 んー、これからですね(巻き取るかどうか検討中、という意味か)。実際、エリアからすれば携帯電話のほうが使いやすいし、PHSではカバーできないところがある。音声でもVoLTEを提供している。

――VoLTE対応なのですか?

寺尾氏
 はい、そうです。