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2016年の「Android One」がヒット、第2弾仕掛けるワイモバイル寺尾氏の狙い

ワイモバイルを担当する寺尾氏

 ソフトバンクは18日、ワイモバイルブランドの新機種として、シャープ製および京セラ製のAndroidスマートフォン「Android One」シリーズ2機種を発表した。発表会の中で、「昨年発売したAndroid Oneで、ワイモバイルのAndroid分野でのシェアは約2倍にまで拡大した」と語ったのは、ソフトバンク Y!mobile事業推進本部 執行役員本部長の寺尾洋幸氏。

 DDIポケット、ウィルコムと20年以上にわたり、大手3キャリアと競争してきた寺尾氏は、ソフトバンクの一ブランドとなった今でも「一切遠慮していません」と笑う。

イチキュッパで認知度アップ、格安スマホシェアの40%に

 2016年から、認知度を高めるため、テレビCMなどに積極的なワイモバイル。その効果として、2016年4月~12月の間に販売したスマートフォンの台数は、前年度同期の2.5倍と大幅に伸びた。大手キャリアを除き、格安スマホのなかに限った市場では40%ものシェアを獲得した。

 その牽引役となったのは、昨春投入した「iPhone 5s」、そして昨夏発売した「Android One」だ。特に1号機の「Android One」(507SH)は、「発売前はメーカー独自の特徴もなく受け入れられるか不安だった」(寺尾氏)というが、好調に推移し、1年前と比べAndroid販売シェアは倍増。全体の25%程度にまで達した。

 他キャリアからの乗り換え、つまり過去にAndroidスマートフォンを手にしていたようなユーザーから人気を得ていたとのことで、メーカー、あるいはキャリア独自のプリセットアプリがなく、“素のAndroid”であることこそが評価されたと寺尾氏。そうした背景をもとに、今回はシャープ製と京セラ製の「Android One」を用意した。

 機種が増えるとショップ店員に求められる知識も増えるが、「Android One」はメーカーごとの違いが少ない機種。そしてあわせて発表したアンバサダープログラムによって、ショップ店員の知識を高めていくこともあって、機種数の拡大に踏み切った。

ワイモバイルのAndroidアンバサダー、500名へ

 発表会では、グーグルでAndroid/Google Playを担当する副社長のジェイミー・ローゼンバーグ氏も登壇。

寺尾氏とローゼンバーグ氏

 同氏はAndroidアンバサダープログラムについて「まずワイモバイルストアで導入することになった」と説明。ワイモバイルストアでは、アンバサダーとなるショップ店員から、1対1で、Androidの各種機能の手ほどきを受けられると述べ、サービスの手厚さをアピールする。

 寺尾氏は、2017年度中にも、ワイモバイルショップ店員のうち500名をアンバサダーに育成する考えも明らかにした。寺尾氏は「私どものスタッフもこれまで教育してきたが、グーグルと一緒にやることでより理解が深まり、的確に説明できるようになる。まだまだ勉強しなければいけない」と説明する。

 Android Oneの新機種、そしてアンバサダープログラムの導入と、ワイモバイルがAndroidへ大きく肩入れする格好だが、ワイモバイルは「iPhone 5s」もまた取り扱っている。寺尾氏は「積極的にAndroid、iPhoneに取り組んでいきたい」と述べ、どちらにも注力する姿勢を見せた。

SIMフリースマホ販売でSIM単体も売れた

 プレゼンテーションで寺尾氏は、「SIMロックフリーのスマートフォンの販売もこの冬から強化した」とさらりと触れる。

 具体的な実績値は明らかにされなかったが、SIMカード単体の契約数(販売数)はSIMロックフリースマホ1機種分に相当する規模になったのこと。もともとイー・モバイル時代から、SIMロックフリーについては積極的に取り組む姿勢を示し、ワイモバイルのサービス設計もSIMロックフリーを前提にしていた、と寺尾氏。他の大手キャリアではSIMロックフリースマホとセットでSIMだけ提供するという取り組みを行っていないことも、ワイモバイルの契約獲得に繋がったという。

ヤフーとの連携効果は?

 今回、Yahoo!ショッピングでのポイントが2倍→5倍へアップし、有料サービスの「Yahoo!プレミアム」相当の特典を無料で利用できることがあわせて発表された。

寺尾氏(左)とヤフー副社長の川邊健太郎氏(右)

 一度はヤフーの携帯電話サービスとしてスタートを切ろうとしたこともあって、ワイモバイルの契約があればそのままYahoo! JAPANへログインできるなど、かねてより連携を推進。同等の仕組みはソフトバンクにも採り入れられている。寺尾氏は、ワイモバイルとヤフーの連携の結果、ワイモバイルユーザーがYahoo!ショッピングで購入する金額はサービス開始から6カ月で約3倍に達したことを明らかにし、大きな効果があったことをあらためて見せつけた。