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「iPhone」発表10周年、あらゆるものに変化をもたらしたその意義とは

 1月9日、アップルのiPhoneが、発表から10年を迎えた。

 2007年1月に発表され、同年6月29日に米国で発売されたiPhoneは、全面ディスプレイを採用し、滑らかで心地良い操作感などが高く評価された。いまでは当たり前となったタップ、フリック、ピンチイン/アウトといった操作も、その名称をアップルがあらためて提唱するなど、それまでグローバルで普及していたテンキー採用の携帯電話とは一線を画した。

2007年1月にiPhoneを発表する、故スティーブ・ジョブス氏

 2007年6月の発売日には、米国での店頭でも長い行列ができた。

日本で高いシェアを獲得

 日本では、翌2008年、ソフトバンクが「iPhone 3G」を発売。そして現在のように誰もが使う環境に繋がっていったのは、ソフトバンクが2009年2月に仕掛けた実質0円での販売キャンペーンが大きいとされる。また2008年後半には、「iPhone」が絵文字をサポートしたが、これもソフトバンクの働きかけによるものとされる。最新の「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」では、ついにSuicaやiDといった、非接触通信の「FeliCa」を使ったサービスにまで対応。海外と比べて、日本ではiPhoneのシェアが相当高いと評されるほど、日本における「iPhone」は隆盛を極めてる状況だ。

 ソフトバンクに続き、日本ではau、NTTドコモでもiPhoneが発売された。過去の記事を振り返ると、2007年6月の株主総会で、NTTドコモの幹部はiPhoneの発売に意欲を見せる発言をしていたが、発売に至ったのは2013年9月の「iPhone 5s」「iPhone 5c」。約6年もの間、両社の間でどういった交渉が繰り広げられたのか、公式な形では明らかにされていないが、過去、特許や販売数に関する課題があったと伝える報道もあった。

ROKR

 ちなみに今ではもうすっかり忘れ去られてしまったが、iPhoneが登場する2007年から遡ること2年、2005年9月にはアップルとモトローラが“iTunesケータイ”として「ROKR(ロッカー)」という携帯電話を投入していた。通信方式がGSMのみで、日本では利用できなかった機種だが、当時、海外では鳴かず飛ばずと伝えられた。

ハードウェアの進化も

 3.5インチというディスプレイサイズで登場したiPhoneは、その後、徐々に大型化。全体のシルエットも定期的にアップデートされ、現在では4インチの「iPhone SE」、4.7インチの「iPhone 7」、そして5.5インチの「iPhone 7 Plus」がラインアップされている。ディスプレイだけではなくカメラの進化もめざましく、「iPhone 7 Plus」のデュアルカメラでは新たな撮影体験をもたらした。スマートフォンでは、ファーウェイなどがいち早くデュアルカメラを搭載していたが、その体験をさらに広げた格好で、2017年のトレンドのひとつになると期待されている。

iPhone 7 PlusとiPhone 7

今後も革新もたらすか

 順風満帆に見えるiPhoneだが、日本での販売に関しては、総務省が示すガイドラインの影響が今後どれほどあるか注目される。そのガイドラインは端末割引に関する規制であり、単なる業界動向ではなく、iPhoneを含む、スマートフォンの価格が上昇する懸念がある。この規制は2017年6月以降に発売される機種が対象で、例年通りのタイミングであれば次期iPhoneへの影響は避けられないだろう。

 過去、日本では「iPhone」の新機種が発売されるたび、通話定額、大容量プランといった新たな料金体系が発表され、さらには実質0円を広く普及させたキャンペーン、はたまた旧機種の下取りといった取り組みも導入されてきた。iPhoneは、ハードウェア、ソフトウェアのみならず、アプリやWebサービスなどコンテンツ面にも大きな変革をもたらし、毎月支払う料金にも多大なる影響を与えた。ライバルとなるAndroidが機能面でiPhoneをリードすることも数多くあるが、まだまだ「iPhone」の存在は大きい。

 アップルのシニアバイスプレジデントであるフィリップ・シラー氏はiPhone登場10周年にあわせて発表した文書で、iPhoneがもたらした数々の変革を紹介しつつ、「これはまだ始まりに過ぎないと信じている」と今後も革新をもたらしつづける姿勢を示している。