【ワイヤレスジャパン2013/WTP2013】

NTTブース、「Xiフェムトセル」など通信関連技術を展示

 NTTグループのブースでは、NTTドコモを含め、グループ各社の通信関連技術が紹介された。

 携帯電話関連では、2012年12月より導入が始まった、LTEとW-CDMA方式に対応した小型基地局「Xiフェムトセル」が展示されていた。宅内の固定ブロードバンド回線に接続することで、Wi-Fiルーターのような感覚で自動的にLTEおよびW-CDMA網が周辺に構築できる。現在、100件程度、導入実績があるという。展示ブースでは、LTEで100Mbps程度のスループットが出ていた。

 なお、「Xiフェムトセル」は、要望があった住宅やオフィスに、ドコモのスタッフが調査した上で導入されるもの。周辺の通信環境に応じて、フェムトセルではなく、外の電波を宅内に引き込むレピーターなどが導入される場合もあるという。通信設備関連では、今年3月から導入が開始されたばかりの700MHz帯対応のマルチバンド基地局アンテナも展示されていた。

 このほか、ドコモの展示としては、現在トライアルサービスを展開しているアプリ「タップでコンシェル」なども紹介されていた。このアプリは、音声を使って機能やサービスを呼び出す「しゃべってコンシェル」を、音声なしで使えるようにするためのものだという。利用者がよく利用する機能などをアプリ側で学習し、日時などと照会した上で、ユーザーが利用したいものを推測する。トライアル期間は9月30日まで。今回、撮影は許可されなかったものの、さらに利便性を高めたサービスとして提供されるようだ。

 NTTの技術関連の展示では、2020年の規格商用化を目指すWi-Fi関連技術が展示されていた。IEEE802.11acの次の世代にあたるもので、5月にHigh Efficient WLAN(HEW)study groupが設立されたばかりという。

 HEWの研究は、Wi-Fiの効率化を図り、下り回線にマルチユーザーMIMO技術を、上りにOFDMA技術を適用するというもの。しかも、アクセスポイントが周辺の通信環境に応じてチャネルを制御することで、電波干渉を引き起こすことなく通信できるという。

 MIMOは複数の通信アンテナを束ねて高速化を図る技術。IEEE802.11nで定義され、1つのアクセスポイントに対して1つのWi-Fi機器で高速化を実現した。続くIEEE802.11acではマルチユーザーMIMOをサポートし、1つのアクセスポイントで複数のWi-Fi機器による同時ダウンロードが行えるようになった。説明員によると、隣家のWi-Fiが干渉するといった懸念があり、速度低下に繋がるという。HEWの研究は、アクセスポイント側で周辺の環境に合わせてチャネルを制御することで、効率的なマルチユーザーMIMOを実現できるとしている。

津田 啓夢