【Mobile World Congress 2015】
エレコム、ネットワークカメラ向けLTEモデムでMVNOを差別化
(2015/3/6 17:04)
エレコムは今年も「Mobile World Congress 2015」(MWC)にブースを出展し、同社のモバイル向けの各種製品を展示している。MWCは欧州が主体のGSMアソシエーションのイベントで、日本企業の存在感や出展数もそれほど多くはないが、エレコムは積極的にMWCに出展をしている企業のひとつだ。
今回のエレコムブースについて、エレコムの葉田順治社長は、「エレコムショップのコンセプト」と語る。エレコムショップは海外では29店舗が展開していて、エレコムのフルラインナップが楽しめるようになっているという。しかし一方で海外ではブランドイメージが立ち上がりにくい面もある。そこで葉田社長は、「海外には日本への憧れとかがあるので、ウチはクールジャパンで行こうと考えた」と説明する。
一方でMWC全体について葉田社長は、「スマホでの盛り上がりは去年くらいがピークかな、と見ている。現在はソリューションなどにシフトしつつあり、ショー自体の盛り上がりもピークを過ぎたのでは」とも語る。
今回のMWCでエレコムは、ネットワークカメラとUSBドングル型のLTEモデムを組み合わせたデモを展示している。ネットワークカメラは、赤外線LEDや暗視カメラ機能、パン・チルト機能などを搭載する製品で、通常は有線LANか無線LAN経由で遠隔操作が可能だが、新製品であるUSBドングル型のLTEモデムを接続することで、LANのない場所での運用も可能になる。
エレコムはMVNO事業も展開しており、そのMVNOのネットワークを利用する製品として、エレコム自身がデータ通信専用のLTEモデムを発売する形だ。NTTドコモのLTEモデムも接続できるが、MVNOとしてサービスを提供する場合、NTTドコモのモデムを調達する手段がないため、エレコムがLTEモデムをラインナップするのだという。価格などは決まっていないが、発売は5月ごろになる予定。個人向けにも販売するが、B2B向けをメインに展開するとのこと。
この製品のビジネスについて葉田社長は、「ハイブリッド戦略」だという。SIMカードの入るUSBドングルを組み合わせることで、ロケーションフリーで運用できるようになるが、そこに通信やサーバーを提供するビジネスを展開できる。葉田社長は「我々の通信ビジネスはハードと組み合わせてやろうと考えている」と説明する。
オーディオ製品を拡充、Lightningコネクターのイヤホンも
このほかにもエレコムブースにはさまざまなスマートフォン関連製品が展示されている。とくにブースの前面で展示され、強くプッシュされているのが、エレコムのオーディオ関連製品だ。エレコムはこのジャンルに非常に力を入れていおり、さまざまな製品を投入している。また、一部には開発中の未発表の製品も展示されていた。
開発中のiPhone/iPad向け、Lightningコネクター接続のデジタルイヤホンも展示されていた。これはiOS向けのデジタルアンプユニットを搭載した製品として開発されており、マイクも搭載している。このデジタルアンプユニットはアップルが認証したもので、iOS機器上からファームウェアアップデートなども行なえるようなものだという。ドライバにはエレコムのハイレゾ対応のグレードのものが使われ、価格帯も1万円を超える可能性があるとのこと。夏頃の発売を予定している。
Bluetoothオーディオも、開発中の製品がいくつか展示されていた。大型ドライバを搭載した製品は、左右のユニットがケーブルでつながっているだけのボックスレスデザインで、コントロール部もイヤピース部分にある。イヤホンケーブルを上から耳たぶの裏に回すデザインを採用。1万円程度の価格帯で7月に発売予定とのこと。
同様に高音質を追求した製品としては、広域に対応したベリリウムドライバ搭載の製品も展示されていた。ベリリウムは軽量でありながら剛性を持つ金属。スピーカーなどの振動板として一定の評価を得ていたが、製造工程で生じる有害な粉じんが製造現場を汚染することから、あまり使われないが、製造工程が改善され、汚染の心配がなくなったことから、今回採用に至ったという。価格は未定だが、こちらも7月頃に発売予定とのこと。
このほかにもデザイン性を重視したBluetoothヘッドセットや入浴中にも使える防水スピーカーなどの未発表の製品も展示されていた。