【Mobile World Congress 2015】

サムスン担当者が語る「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」の特徴

「もっとも美しく、もっともパワフルなスマートフォン」

 サムスン電子はスペイン・バルセロナ市内で3月1日(現地時間)、Galaxyシリーズのフラッグシップモデルとなる「Galaxy S6」および「Galaxy S6 edge」の2機種を発表した。同社関係者によると、日本では、NTTドコモおよびKDDIが取り扱いを予定しているという。Galaxy S6とS6 edgeは、ベースとなるスペックがほぼ同じで、後者にのみ左右が湾曲した「エッジスクリーン」が採用される。ここでは、本機種のマーケティング担当者および開発担当者から得られたコメントを元に、2機種の特徴を見ていきたい。

アルミフレームにガラスを採用した「Galaxy S6」
左右両側にエッジスクリーンを搭載した「Galaxy S6 edge」

 Galaxy S6、S6 edgeは、「ZERO」というコードネームで開発されたスマートフォン。「純粋なイノベーションに集中するという、原点回帰を果たす」(マーケティング部門バイスプレジデントのDavid Kong氏)モデルとして、ゼロから開発を見直した1台となる。Galaxy史上「もっとも美しく、もっともパワフルなデバイス」(グローバル商品企画部門 シニアマネージメント Men Seok Kang氏)といい、改めて“最高”をサムスン流に表現したのが、この2機種という位置づけだ。

原点回帰のGalaxy S6、S6 edge、その3つの特徴

 具体的には、「デザイン、カメラ、パワーという3つの特徴」(Kong氏)を備える。まずデザインは、従来のプラスティックボディを一新。フレームにはアルミを、背面にはガラス素材を採用しており、Galaxyシリーズの中ではもっとも高級感がある仕上がりになっている。

アルミフレームを採用

 Kong氏が「カラーは今までのモバイルフォンで見たことがないものになっている」と自信をのぞかせるように、ガラスの下には光学フィルムが挟まっており、これによって光が乱反射を起こす仕掛けが取り入れられている。見る角度によって、まったく異なる色合いに見えるのは、そのためだ。背面がガラスになったことで、耐久性を心配する向きもあるかもしれないが、こうした声に対する回答として、擦り傷や落下の衝撃に強い「ゴリラガラス4」を採用した。

背面のガラスは、光の当たり方によってまったく違った表情を見せる。写真はGalaxy S6 edgeのブラックサファイヤで、光源を変えたもの
深い緑や鮮やかな緑に見えるグリーンエメラルド

 2番目の特徴がカメラで、ここには「2つのすばらしい機能を搭載しした」(Kang氏)。使い勝手の改善として取り入れたのが高速起動。ホームボタンをダブルクリックすると、どの画面からでもカメラが「0.7秒で立ち上がる」(同)。もう1つが「トラッキングAF」。こちらはカラーパターンで被写体を認識しているため、人物以外でも動くものを追尾できるという。

 カメラに関しては、写りもさらに改善された。「低照度時に強く、リアルタイムHDRをリアカメラとフロントカメラの両方に入れた」(同)といい、光学式とソフト式の両方で手ブレ補正をかけることもできる。リアカメラは1600万画素、フロントカメラは500万画素で、レンズのF値はどちらも1.9となっている。

こだわりのカメラ機能。オートモードだけでなく、ホワイトバランスや露出を手動で設定できる、「プロ」モードも用意
3次元的に映像を記録できる「バーチャルショット」

 3つ目の特徴として挙げられていたように、パフォーマンスについても全面的な見直しが図られている。「パワフルと同時に低消費電力」(同)というチップセットはサムスン製のオクタコアCPUで、14nmのプロセスで製造されたもの。これに加えて、RAMには「LPDDR4」が採用されており、これが「パフォーマンスをさらに上げている」という。

ワイヤレスチャージにも対応する

 低消費電力になったものの、Galaxy S6、S6 edgeは、背面にガラスを採用したため、バッテリーを取り外せなくなっている。バッテリー自体もS6が2550mAh、S6 edgeが2600mAhと、そこまで大容量ではない。これに対してサムスン電子は、充電方法を改善した。ワイヤレス充電はWPC(Qi)とPMAの両方に対応。高速充電も行える仕様で、「10分の充電で2時間ビデオが再生できる」(同)。100%の充電も、「たったの80分」(同)で行えるという。

そのほかの特徴

指紋センサーは、ホームボタンに指を置くだけで動作する方式になった

 そのほかの特徴は次のとおり。ディスプレイは5.1インチのQHDで、ピクセル密度は577ppiとなる。明るさも600カンデラまでアップさせており、「Eメールなどを屋外でも十分見られる」(同)。また、新たに決済サービスの「Samsung Pay」も搭載。NFCのほかに、磁気方式の決済システムでそのまま利用できるMFT(Magnetic Secure Transmission)にも対応しており、北米と韓国でサービスを開始する。日本での展開は未定だが、「ほかの国にもすぐに広げていく」(同)見込みだ。

 決済機能を搭載したのと同時に、セキュリティも強化した。大きく改善されたのが指紋センサー。ホームボタンに搭載されているのは「GALAXY S5」や「GALAXY Note Edge」とは同じだが、スワイプの必要がなくなった。iPhoneに搭載される「Touch ID」と同じ感覚で、指をホームボタンの上に置くだけでロックを解除できる。

ユーザーエクスペリエンスにも磨きをかける

 「我々はユーザーエクスペリエンスにも注力した」(Kong氏)といい、ソフトウェアのデザインや使い勝手も大きく見直されている。デフォルトのホーム画面は2つに絞り、「本当にクールで役に立つアプリケーションをプリインストールした」(同)。この中には、マイクロソフトのアプリも含まれており、Kang氏によると「マイクロソフトとは特別な関係を結んでいる」といい、OneDriveの容量が無料で100GB増え、合計で115GBになる特典を受けられる。

電話帳など、基本アプリのデザインも一新
マイクロソフトのアプリをプリインストールする
エッジスクリーンは、ディスプレイと周囲の風景を溶け込ませるギミックとして採用されている。シャープがフレームレスディスプレイに発想は近いが、アプローチが異なる

 また、Galaxy S6 edgeには、エッジスクリーンを生かした機能が盛り込まれている。ただし、片側にエッジスクリーンを搭載し、手帳のインデックスのような役割を持たせたGALAXY Note Edgeとは、コンセプトが若干異なる。Galaxy S6 edgeのエッジディスプレイはディスプレイの額縁を見えにくくするための仕掛けで、同時に手に取ったときの持ちやすさにも貢献している。

 手帳のインデックスではないため、ここにはアプリのショートカットは置けないが、新たによく連絡する人を5人まで設定して付箋のように表示できるようになった。この付箋は色分けをすることが可能。本体を裏返して置いておくと、着信があったとき、エッジスクリーンと机の間から色つきの光がこぼれる仕掛けになっている。着信時には、背面に搭載したハートレートモニターをタッチすると、自動的にメッセージを送り返すこともできる。

付箋のような形で、よく連絡する人を登録できる
裏返しておいたときに、光がこぼれる。ハートレートモニターをタッチしてメッセージで返信も可能
エッジスクリーンの設定画面。GALAXY Note Edgeのものより、機能は絞り込まれている

 アクセサリーも充実しており、背面のガラスを生かすためのクリアカバーが用意される。GalaxyシリーズでおなじみのS VIEWカバーやFlip Walletも発売する見込みだ。

アクセサリーも用意

石野 純也