富士通とインフォテリア、法人向けスマートデバイス活用ソリューションで協業
富士通株式会社とインフォテリア株式会社は2月23日、インフォテリアのスマートデバイス向け社内情報配信サービス「Handbook(ハンドブック)」と、富士通のSIを組み合わせたビジネスで協業すると発表した。7月を目途に富士通のタブレットとSI、インフォテリアを組み合わせたサービス第一弾の提供を目指す。数字的には、3年間で30万IDを目標としている。
左から、インフォテリア株式会社 代表取締役社長兼CEO 平野洋一郎氏、富士通株式会社 執行役員常務 大谷信夫雄氏、富士通株式会社 ユビキタスビジネス戦略室 室長 寺師和久氏 |
Handbookは企業のカタログや会議資料などを、スマートデバイスで閲覧するためのドキュメント管理システム。PC側の管理ソフトでは、閲覧可能なメンバーの設定、閲覧履歴も参照できるなどの管理・共有設定機能を備える。ペーパーレス化とともに、古いカタログとの入れ替えといった業務上の手間や混乱も防ぐことができ、閲覧権限の設定や閲覧履歴により秘匿性の高い資料の漏えいなどを防ぐセキュリティ面でも評価されている。
今回の協業により、企業内のドキュメントやファイルなどの情報配信、情報共有といったHandbookの機能に加え、顧客のニーズに合わせた基幹システムとの連携や閉域網でのセキュアなネットワーク接続などが提供可能になる。
第一弾のサービス発表は2012年第二四半期、7月頃になる見込みだが、Handbookと富士通のAndroidタブレット「ARROWS Tab」を用いた、コンテンツ配信サービスと業務システムとの連携までをワンストップで提供するソリューションになる模様だ。
スマートデバイスの急速な普及で、企業内でもスマートデバイスを活用したいというニーズが高まっている | 協業の概要 | 協業の狙い |
富士通株式会社 執行役員常務 大谷信雄氏は、「基幹業務を手掛けるような大手が見落としていた部分というものがあり、その代表がHandbookのようなシステムだ。Handbookのような仕組みも富士通で作って1社提供すればいいのではないか考えもあるだろう。実際それは不可能ではないだろうが、Handbookはすでにたくさんの導入実績を持っている。これからわれわれが始めてもすぐに追いつくわけではない。そういうやり方では時代にどんどん遅れてしまう。インフォテリアさんのような(ピンポイントのニーズに合うサービスを素早く提供するような)軽やかな動きは富士通ではなかなかできないので、Handbookに限らず、こうした協業には積極的に取り組んでいきたい」とした。
大谷氏はまた、「逆にインフォテリアさんが苦手とするのは、基幹の方だと思う。たとえばHandbookを導入した企業が、Handbookで商品カタログや資料を顧客に見せて説明し、では一度使ってみようかということになった時に、在庫はあるのか、納期はどのくらいかかるのかという話になる。これまでは社に戻って確認してご連絡しますといった対応になると思うが、協業により、その場で基幹システムから在庫数を引き出し、在庫と納期を伝えるといったことが可能になる」と具体例を上げて、基幹システムとのつなぎ込みのメリットを説明した。
端末からサービスまでをトータルで提供する垂直統合モデルのサービス | 顧客ごとにニーズに合わせた業務システムとの連携も可能に | 協業のスケジュール |
インフォテリア株式会社 代表取締役社長兼CEO 平野洋一郎氏は、「提供開始から3年経ち、すでにHandbookは数多くの企業で導入されている」として、導入事例を上げて説明した。
野村證券では、会議資料の配付にHandbookを導入。取締役から営業会議まで、紙で配布していた資料をHandbookで閲覧するようになった。取締役会では前日の何時までといった資料の〆切りがあったが、コピーを用意する必要がないため、資料の締切もなくなり、証券市場や為替市場の数字なども最新のデータを入れることが可能になった。野村證券ではさらに利用を拡大、全国の支店へのカタログ配布にも使用されている。
また、エーザイでは1700名いるMR担当がHandbook導入により、最新の薬品の情報を伝えることが可能になったほか、紙の資料では当日持っていく資料が限られ、同種の他製品について聞かれた際にすぐに資料が出せないこともあったが、そうしたこともなくなったという。
平野氏は、「現在Handbookを導入しているのは、こうした先進企業になる。協業により、富士通さんの持つタブレット端末、基幹システムとのAPIを介したつなぎこみ、また業種別の深いノウハウと知識を持ったSI担当者が合わせて提供可能となり、顧客企業側で導入ノウハウがなくてもニーズに合わせた提供が可能になる」と協業のメリットを説明。「Handbookの強味をもって、富士通の基幹技術、ハードウェアの技術、これによって実際に普通の企業がスマートデバイスが普通の仕事に使っていくという進化を遂げると確信している」と述べた。
Handbookについては他社製のAndroidタブレットでも利用可能だが、富士通株式会社 ユビキタスビジネス戦略室室長 寺師和久氏は、「富士通のデバイスも合わせて提供することで、さらにグレードアップした内容を提供できるようにサービスのリリースに向けて準備している。サービスは垂直統合モデルで、富士通のものであれば、手間が全部省けますよといった形になる」とコメント。7月リリース予定のサービスの価格設定については、「初期導入コストが少ない課金モデルを想定している。課金は、月額課金、年額課金と両方あると思うが、いま詰めているいるところで、価格設定についてはリリースの段階で発表する」とした。
2012/2/24 06:00