ケータイソリューション探訪

ブライトコーブ、モバイル向け新ソリューション提供へ


米国では発売済の「iPad」を手にするMason氏

 2004年に起業した米ブライトコーブは、インターネット向け動画配信ソリューションを提供する新興企業だ。米国では、大手新聞社のThe New York Times(ニューヨーク・タイムズ)や雑誌のTIME(タイム)などで採用され、最近では、モバイル機器を対象にしたソリューションにも注力している。

 同社CTOのBob Mason氏は、そもそもインターネットにおける動画配信は、続々と登場する新技術へ対応していくこと自体が多くの企業にとって困難なことと指摘する。

 「ブラウザやデバイスなど新しいテクノロジーがどんどん登場します。たとえばアップルのiPadは6カ月前には存在しませんでしたが、今や対応しなければならないデバイスになりつつあります」(Mason氏)

 消費者などへアプローチする企業にとって、映像配信はマーケティングにおける1つの手段となるが、相応のコストが必要のため、そこへのソリューション提供がビジネスになり得る。

iPad対応のThe New York Timesのコンテンツ。中央の黒い四角は、HTML 5を使った映像パソコンで同じコンテンツを表示。ただし映像はFlash

 最近では無線通信技術の進化により、かつてよりも高品質/長時間の動画をモバイル環境でも楽しめるようになってきた。国内でもNTTドコモの「BeeTV」のようなサービスがスタートしたが、モバイル向け映像配信もまた、「iPhoneやAndroid、BlackBerryなどさまざまなプラットフォームが存在する」(Mason氏)ため、それなりの手間暇がかかる。

 多様なプラットフォーム、次々と登場する技術への対応という点は、モバイルに限らず、通信を通じたコンテンツ配信における課題となるが、ブライトコーブでは、今夏にも新たなモバイル向けソリューションを提供する意向を明らかにした。iPhoneやAndroid向けアプリ、Flash 10.1、HTML 5などに対応し、それぞれにSDKを提供する方針だ。またAndroid向けには専用プレーヤーを提供してタッチスクリーンの操作に対応するという。

Reebokのサイトで配信する動画。画面右の商品サムネイルから商品を購入できるNexus Oneでデモ

 既にインターネット向け映像配信、たとえば通販サイトでの映像配信では、映像が流れていく途中で、映像プレイヤーの横に商品画像が表示され、そこからモデルが身につけている洋服やアイテムを購入できるなど、ネットならではのインタラクティブ性を追求しながら映像配信を行う形が取り入れられつつある。その一方で、モバイルデバイスにおける映像配信では、どのような形が適しているか、まだ手探りの状況のようだ。顧客からはパソコン向けコンテンツと同じものをモバイルでも配信するよう求める声が多いとのことだが、今夏の新ソリューション提供の後、ブライトコーブでは年内にも映像配信における広告提供機能や、視聴解析機能の提供を予定している。

モバイル向け映像ソリューションへの新たな展開を語ったMason氏

 Mason氏は「当社が創業したのは、『動画はいずれ、テキストと同じように、多くの人に利用されるようになる』という信念があったから。徐々にそういった流れになってきていると思う。米国ではiPhoneなどの登場で、モバイルの概念が変わりつつある。そういった中でどういったユーザーエクスペリエンスが提供できるか、非常に面白いところだ」と語っていた。

 



(関口 聖)

2010/4/15 06:00