本日の一品

腕時計をしない世代向きの「blink time」ウォッチ

ブリンクタイムは雑貨店で安価で売られているファッションアイテムだ

 現代は太陽の位置を見て現在時刻を考える時代でも無く、年間3000万台以上出荷されるスマートフォンの全ては多様な時刻表示の機能を標準的に搭載している。しかし、不思議なもので、スマホも徹底的に使いこなそうとユーザーが志向すると、ポケットの中から出て、人間の腕首に近づこうとするおかしな習性があるようだ。

 結局、テクノロジーが進化して大脳に直接アクセスできないうちは、目で見て何かを知るのが数万年前からの人間の本能だ。一時的にシュリンクした腕時計のマーケットも“低価格+ジョーク系腕時計”と“真面目+センス溢れる腕時計”を中心に復活の兆しが強い。

 「blink time」(以降ブリンクタイム)と名付けられた柔らかいラバー製の腕時計も前者の代表だ。ブリンクタイムは現在時刻や月日表示をデジタル形式で表示する。腕時計の表示エリアに盛り上がった文字列でblink timeとブランドロゴが描かれているが、“time”の“m”か“e”辺りの下に隠れているボタンを軽く押すことで約5秒ほど現在時刻を表示させることができる。

腕時計表面から隠れたボタンを押すことで、現在時刻や月日を表示させることができる

 時刻が表示されている間に、再度同じボタンをすことで、月日に切り替え表示させることが可能だ。十分に光量のある赤いLEDを使用しているので、常時時刻を表示するには無理がある。現在時刻を知りたい時にボタンを押す“オンデマンド型LEDデジタル腕時計”だ。

 同じような腕時計は市場には多い。DIGITONAと名付けられたなんちゃってDaytonaモデルも同じ様に任意のボタンを押せば、現在時刻や月日が表示される。シンプルでファッショナブル、そしてチープという3つを狙ったブリンクタイムはメカ部分をラッピングしているシリコンラバーの関係で、時刻の表示状態の時に写真では多少滲んだように感じるが、実際の眼で見る限りほとんど問題は無い。

 筆者は、よりシンプルなホワイトカラーのブリンクタイムを購入したが、他にブルー、ブラック、ピンク、オレンジ、グリーンとカラフルな6色が用意されている。全部買ってもごく普通の腕時計1個分よりも安そうなので、着るものやTPOに合わせて腕時計もカラーコーディネーションすることも楽しめそうだ。

 明るいLEDの為、ラッピングのシリコンラバーの色による視認性に差は出ない。ただし、シリコンラバーという素材の関係上、ブラックが顕著だが、ホワイト以外のカラーは埃や塵、衣類や動物の毛などが付着すると極端に目立つので、汚れに神経質な人は、それらを拭き取るためにウェットティッシュが必須となってしまうだろう。

 製造工程が複雑で高価なメカニカル腕時計に対して、最終的には低価格帯市場を埋めるべく登場したのがデジタル腕時計だった。量産効果で極めてコスト削減効果の上がる液晶表示を採用し、爆発的な出荷を実現し、既に40年以上の年月が経過した。

デジタル腕時計も誕生から40年以上が過ぎ、様々な種類、価格帯が登場した

 同じデジタル表示の腕時計だが、今後はブリンクタイムの様に徹底して、シンプル、チープ、ファッショナブルを目指す大量生産商品と、DEVON社のTREAD1の様に、メカニカル、バリュー、マニアックな希少価値のデジタル腕時計の二極分化が進み、デジタル腕時計市場はますます面白い世界になって行くだろう。

同じようなオンデマンド型LED発光腕時計も最近はよく見かける。右側は少しだけ高級なDIGITONAモデル。アナログ文字盤はダミーだ
デジタル腕時計の方向性を現す2台。左はスーパーカーメーカーが作ったDEVON TREAD1
製品名輸入元購入価格
ブリンクタイム腕時計ガラクタ貿易980円

ゼロ・ハリ