本日の一品

使わにゃ損!な「ScanSnap Evernote Edition」

ScanSnap Evernote Edition

 縁あって「ScanSnap Evernote Edition」を使う機会に恵まれた。Evernoteが好きで、ScanSnap S1500も使っている自分にとって、このスキャナーは非常に気になるモデルだったのだ。Evernoteのサイトでその説明を読み、ふむふむこれはよさそう……とは思っていたのだが、実際使ってみたら、とんでもなくよかった。「ScanSnap Evernote Edition」は、Evernote使いならEvernoteをもっと活用できる幸せのスキャナであり、EvernoteもScanSnapも使ったことがない方でも、細々した書類や紙の管理に悩んでいるなら導入すべし! と背中に蹴りを入れたいくらいの製品なのである。

 「ScanSnap Evernote Edition」の性能は「ScanSnap iX500」がベースになっており、Wi-Fi接続も可能だ。しかし、デザインもアプリも、すべてEvernote専用にカスタマイズされている。ラバー製のボディやグリーンのロゴ、同じくグリーンに光るボタン類など、デザインにはEvernoteの世界観がそのまま反映されており、ファンなら思わずニンマリしてしまう。

 スキャナー本体のほかに、ACケーブルとアダプター、USBケーブル、クイックインストレーション、安全上のご注意(冊子)、A3キャリアシート、PFUの保証書、注意書き、プレミアム会員用コード(1年分)がセットになっている。難しい取扱説明書はない。同梱資料に書かれたサイトにアクセスし、専用ソフトウェアをインストールすると準備から設定までをナビゲートしてくれる。基本的にはそれだけで使えるので心配は無用。専用ソフトウェアはオリジナルモデル用のScanSnap Maganerとは違うため、すでにScanSnapを導入済みでも共存できる。Wi-Fi接続で使いたい方は、あらかじめ使い方ガイドをチェックしておきたい。無線LANアクセスポイントとの接続はWPSとなっている。

背面
フルオープンにした状態
ボタンは緑。小さいランプはWi-Fi接続されていることを表す
ScanSnap S1500(右)との比較
ほんの少しだけ大きいが、必要なスペースはかわらない
ScanSnap S1500(右)との開けた状態での比較

 オリジナルとの大きな違いは、保存先がEvernoteと決まっている点だろう。そのおかげで細かいことに悩まなくなったと感じた。スキャナーを使う際、準備をしながら何気なく考えていることはたくさんあるはず。JPEGよりはPDFのほうがいい? どこに保存したら見つけやすい? これはEvernote“にも”保存しておいたほうがいいかも? なんてことも考えがち。だが、「ScanSnap Evernote Edition」を使うとそんなことを考えなくなる。とにかくすべてが楽なのだ。

 準備として、パソコンに公式サイトからダウンロードした専用ソフトウェアをインストールする。すると、Evernote内に「写真」「名刺」「文書」「レシート」の4つのノートブックが自動的に生成され、アクセスしやすいようショートカットに並ぶ。あとはパソコンとUSBケーブルで繋いでボタンを押すだけだ。

専用ソフトウェアを見れば概ねわかる
専用ソフトウェアは、6つのモード選択と、設定だけというシンプルさ
名刺を読み取ると1枚ごとにこのようなノートができる。まだ文字認識に問題があるため、取り込み後のチェックは必要。精度は名刺ごとに違うようだ

 まずは、名刺の束をひょいと置いてボタンを押す。すると、Evernote内の「名刺」というノートブックに、1枚ずつ保存された。驚いたことに連絡先がテキスト化されており、ノート名にも名前が入っていた。1分間に25枚の両面読み取りが可能なので、速く、きっちり読み取られる。423枚の名刺を読ませたが、1度の紙詰まりもなくあっという間に終わってしまった。

 チラシを載せてボタンを押せば、「文書」というノートブックに保存された。迷わず処分できる。時計などを買ったときにもらう保証書、小さくていつも紛失してしまうので、これもすかさず読み込ませる。やはり「文書」に保存された。束になった年賀状も、1つのPDFファイルとして「文書」に保存された。これなら見返しやすいし、保管に困らない。

紛失しがちな小さな説明書や保証書も気軽にスキャン
「文書」に保存される。写真の多い年賀状も文書としてPDF化された

 続いて写真。数枚の紙焼き写真が引き出しから出てきたので、それも読み込ませると、「写真」というノートブックに保存された。昔、フラッドベッドスキャナーに並べて読み終わりを待っていたのがウソのようなスピードである。一時はスキャナー代わりにとスマートフォンで撮影したこともあった。手間がかかったわりに、他のなんてことはない写真に混じり、ストリームの彼方に消えてしまった。ここならそんな心配もなさそうである。

引き出しから出てきた古い写真も、重ねてセットするだけであっという間に読み取る
写真の画質や圧縮率は設定で調整できる
レシートもまとめてガンガン読み取る。いつの日か合計金額も教えてくれたら……

 ここまでくればおわかりだろうが、レシートを読み込ませると「レシート」に保存された。薄くて細長いが、しっかり読み取られている。長さは違っても、幅さえしっかり固定すれば連続読み取りもできる。今のところ、「スキャンしたレシート」というタイトルと読み取った日付がノート名になる。もしかしたらそのうちレシート内の日付がノート名に反映されたりするのかもしれない。「名刺」を見ていると期待せざるをえない。

 以上、日常的に生じがちな紙物をのせてはボタンを押してみたが、実にスッキリ適切なノートブックに保存してくれた。これが「ScanSnap Evernote Edition」の素晴らしいところだ。ラフに乗せても綺麗に読み取ってくれるところも気に入っている。いずれも専用ソフトウェアのモードを「自動」にしておくだけだが、モード指定も可能だ。それでも「文書(PDF)」「文書(JPEG)」「名刺」「レシート」「写真」5種類のみで、選択に迷うことはない。読み取り時に迷いそうだな、と思ったときだけ指定すればいい。設定では、それぞれファイル形式やカラーモード、画質、圧縮率、読み取り面、向きの自動回転などの設定が可能となっている。

 もちろん、チェキで撮影した小さな写真が「名刺」に保存されたり、名刺の画像が回転したまま修正できなかったり、テキスト化で文字化けのような誤字があったりと完璧ではない。それでも、スキャナーを使う前に生じていた「どういう形で保存すると、一番使いやすいだろうか?」という悩みはほぼゼロになった。

 なにせ保存先がEvernoteである。テキスト検索だけでなく、画像内の検索もできる。パソコンの1フォルダになんでもかんでも保存するより明らかに探しやすい。実際、名刺を探すのも検索で簡単に見つけることができた。大量の名刺の管理場所としてもうってつけのようだ。

 おまけに最近のEvernoteは入力中の単語に反応し、関連するノートを自動的に探し出して並べてくれる。書いたことすら忘れていたメモも容易にでてくるのだから驚かされる。画像中の文字が反応したことはないが、保存時にタイトルを修正するなどの一手間で、探そうと思わなくても探せる環境が手に入る。だったら積極的に資料を保存しておきたいだろう。

 Evernoteは検索性の高いクラウドストレージとしても使えるのだ。「ScanSnap Evernote Edition」は、そのための強力なツールといえる。ドキュメント整理の改革を望んでいる方にはぜひお勧めしたい。使うなら、すぐ手の届く場所に設置するのがお薦め。手を伸ばせば触れ、フタを開けてすぐボタンを押せるくらいの距離がちょうどいいはずだ。

 ちなみに、バンバン使うと転送量が増える。画像内検索をするためにも、アカウントのプレミアム化は欠かせない。先述したようにパッケージにはプレミアム会員1年分のコードも同梱されているので、ひとまずはご心配なく。

製品名発売元購入価格
ScanSnap Evernote EditionPFU、Evernote4万9800円

すずまり