俺の頭蓋を震わせる! 通話・音楽OKなステレオ骨伝導イヤフォン


骨伝導機能搭載Bluetooth ハンズフリーヘッドセット PTM-BEM7
「PTM-BEM7」のパッケージ内容

 今から8年ほど前、当時のツーカーブランドの骨伝導携帯電話が発売されたとき、個人的にはなにかビビッとくるものがあった。あったのだけれど、結局なんだかんだで試す機会はやってこず、耳で聴かなくても音が聞こえるという不思議テクノロジーを一度も体験することなく今に至ってしまった。いつか自分の頭蓋を響かせてクリアな音を聞いてみたいなあ、という思いを募らせていたら、最近は骨伝導イヤフォンという形でいくつか発売されているということを知ったのだった。

 というわけで、プリンストンテクノロジーの「PTM-BEM7」というBluetooth接続のハンズフリーヘッドセットを入手。他社から発売されている同種のヘッドセット製品は片耳だけに装着するタイプが多いのだが、この「PTM-BEM7」はステレオ対応なのがミソ。本体側のイヤフォンと、“拡張ステレオイヤフォン”として接続できるもう一つのイヤフォンの両方にスピーカーと骨伝導ユニットがあり、通話に使えるのはもちろん、ステレオ音楽も楽しめるのだ。

 対応規格はBluetooth 2.1+EDRということで、多くのスマートフォンやフィーチャーフォンでヘッドセットとして利用できる。しかも“マルチポイント機能”もあって、本製品とペアリングした2台の端末の着信を同時に待ち受けることが可能。ケータイを複数台持ち歩いている人にとってはうれしい機能だ。個人的には、所有しているAndroidスマートフォンがイヤフォン端子のないDIGNOなので、わざわざMicro-USB端子に接続する専用のイヤフォンコネクタを用意しなくても音声を聞けるというのがありがたい。

 肝心の音の聞こえ方については、静かな場所で聞く分には他の一般的なインナーイヤー型イヤフォンと変わらない気がした。電車に乗って音楽を聴いたところでは、電車の走行音の方が大きくイヤフォンの音がかき消されるので、はっきり聞こえるようにするにはそれなりにボリュームを上げる必要がある。カナル型イヤフォンより少し聞こえにくいかな、という程度だ。しかし、電車が地下に潜ったりしてさらに騒音が激しくなると、逆にカナル型イヤフォンより聞き取りやすくなってくるから不思議。骨伝導の本領発揮というところだろうか。

 騒がしい場所での通話はどんなものなのか、パチンコ店内で試してみると、会話すらままならないと思われる騒音の中でも相手の声がよく聞こえる。逆に自分の声が相手に聞こえていないんじゃないかと心配になったが、きちんとこちらの声も届いているようだ。通常の通話スタイルではスピーカーに片耳を押し当てて“外側にある音を聞く”ような感覚となるのに比べ、「PTM-BEM7」では骨伝導で直接内耳に届くとともに、両耳で聞くことによって相手の声を“頭の中で聞ける”という感覚がある。“拡張ステレオイヤフォン”を接続せずに片耳だけでも利用できるが、両耳で聞いた方がより「PTM-BEM7」の良さを実感できるだろう。

 ただ、音楽を聴くことを考えているなら、音質にこだわりのある人にはおすすめしにくいかも。わたし自身は音質に敏感な方ではないと思うけれど、高音域のキンキン音がかなり目立つ印象を受けるのだ。あとは、イヤフォン部分が大きくて、自分の耳にうまくフィットさせられなかったのも残念なところ。付属のイヤークリップである程度固定できるはずなのにイマイチしっくりこないのは、自画イラストのように耳が前方に向かって立っているからなのか……(実際にこんな耳をしているんです)。とはいえ、そんな不安定な状態でもきちんと音が聞こえるので、骨伝導はスゴい!と改めて思ったりもした。

付属のイヤークリップで固定できるのだが……わたしの耳の形がよくないせいか、イマイチしっくりこなかったのが残念

 

製品名製造元
骨伝導機能搭載Bluetooth
プリンストンテクノロジー

 




(日沼諭史)

2012/5/18 06:00