iPadの動画再生を快適に、横置きに対応したiPadスピーカー


フォースメディアiPad用スピーカー

 iPadの良い点は今さら列挙する必要は無いだろう。不満な点をあえて挙げるとすればスピーカーの音だ。ノートPCなど、ポータブル機器全般に言えることだが、音楽や映像を楽しむときには物足りないと感じてしまう。iPhone、iPod用のスピーカーは数多く売られているが、iPad用のスピーカーは種類が少ない。今回紹介するのは、iPadで動画を快適に楽しめる一品だ。

 筆者は、iPadで動画を長時間見ることは少ない。ソファーでテレビを見ている途中で何か検索したり、メールを確認したりすることが大半だが、短い尺の動画ならiPadを手で持ったまま見ることは苦にならない。

 しかし、たま~に長時間の動画を見ようと思うと、手で持ったまま見るのはイマイチ。動画の内容によっては少し良い音で聞きたいと思っていた。iPadスピーカー購入の条件としては、スタンドとして使えること。そこそこ良い音で聞けること。横置きに対応していること。価格が安いことだ。

 斜めに設置するスタンドは、ケースやジャケットなどでも対応できる。実際に筆者が使用してるレイアウトのフラップタイプ・レザージャケットは角度を変えることも可能だ。イヤホンで聴くならこのジャケットで問題は全てクリアだが、室内でイヤホンの長時間視聴はなんとなく疲れる感じがする。横置きという条件は動画再生を意識すると必須。価格は常時使用するわけではないので高額な買い物をする気はないということだ。


iPad内蔵スピーカーは背面設置ということもあり音に不満
レイアウトのフラップタイプ・レザージャケット角度を変えて設置ができる

 

 これらの条件にフィットしたのが、フォースメディア(ブランド名はJ-Force)のiPad用スピーカー「JF-ARS20iA」だ。その特徴はDockコネクター部分にスイングアームという構造を採用し、縦置き、横置きが可能なことだ。


iPad用スピーカー「JF-ARS20iA」
スイングアームを採用しDockコネクタの位置が変えられるギミックがユニーク

 

 筆者はそれほど必要としていないが、FMラジオ、目覚まし時計などの機能も搭載しており、iPod、iPadなどの音楽を再生して目覚まし音として使うことも可能だ。再生周波数は100Hzから16kHzで、Hi-Fiとは言えないがiPad標準のスピーカーよりははるかに良い音が期待できる。


SOURCEは入力切り替え、DIMMERは前面液晶パネルの明るさが変えられる目覚まし時計の機能も搭載している
縦横の設置が可能
音楽再生時もそこそこの音質となる。ジャケットは高解像度のものにしたい

 

 実際に映画や音楽を再生してみると音の差は歴然。絶対的な音量はもちろん、中低音域が普通に聞こえるようになった。簡単な測定を行ってみたのでグラフをご覧いただきたい。音源はパソコンで作成したサイン波。周波数は1000Hzから上下4オクターブだ。

 ダイニングのテーブルでiPadスピーカーから1メートル離れた位置に騒音計を設置。iPadスピーカー使用時と、同じ位置でiPad内蔵スピーカーの音圧を比較している。元々の騒音レベル(暗騒音)は約30dB、騒音計の測定限界も30dBという条件だ。定在波の影響もあるので、絶対値ではなく両者の差を見ていただきたい。


赤線がiPad内蔵スピーカー、青線がiPadスピーカー

 

 1000Hzの音圧差は14dBと圧倒的にiPadスピーカーの方が大きな音で聞くことができる。顕著な差が出るのは中低音域で、63Hzの音にいたってはiPad内蔵スピーカーからは無音、聴感上も聞こえないし測定上も全く反応がなかった。

 時節柄、消費電力を実測すると待機時で0ワット(測定限界以下)、iPadを充電しながら動画再生をすると15ワット、満充電での動画再生は9ワット、FMラジオ再生時で3ワット程度だった。

 最後の条件となる価格はなんと3000円(筆者の購入時)。製品の発売当初は9000円くらいしたようだが、大きく値下がりしている傾向にある。このiPadスピーカーだけでなくiPod、iPhoneスピーカーなども値下がり傾向が強い。調べてみると、iPodからiPhoneにユーザーが移ったことにより、電話機をスピーカーに設置するということに抵抗感があり、結果としてiPodスピーカー系の市場が縮小し、発売当初の半額以下で売られている製品が珍しくないのが現状だ。逆に言えば、今後の新製品投入が減る市場なので、このジャンルの製品を検討している人は今のうちに買わないと選択肢がなくなる可能性が高いと考えられる。

 iPadジャケットを付けたままではiPadスピーカーに接続はできないが、レイアウトのフラップタイプ・レザージャケットは取り外しが簡単。初代iPadと純正ケースの様に一度装着したら外すのに一苦労といったことはない。ちなみにこのジャケットの価格は約4000円。普通の価格だが、値下がりしたiPadスピーカーがそれより安く買えるのは不思議な感じがした。

 

製品名製造元購入価格
iPad用アラームクロックスピーカーフォースメディア2980円

 

 

(奥川浩彦@アイピーアール)

2012/5/21 06:00