芯出しメカニズムにこだわった独リンダウア社のボールペン


 今や筆記具の代表的存在となったボールペン(英語での正式呼称は「ボールポイントペン」)は、国内年間出荷額が約300億円もある巨大産業だ。油性・水性両ボールペンがほぼ市場を分け合っている。

 日本は世界的に見ても大きなボールペン供給国であり、今まで多くの素材的、技術的、構造的に優れたボールペンを提供してきている。リフィルインクの種類も油性、水性、ゲルと多様化し、昨今では“消せるボールペン”の登場により、新しい市場も開拓してきている。一方、一般的には、“ノック式ボールペン”の登場が構造的な到達点であるかのように思われているが、昨今のボールペンブームの理由の1つに、各社が提供する多様な“芯出しメカニズム”がある。

 一般的なボールペンの芯出しメカニズムとしては、以下のようなものがある。


  1. 手動操作のキャップ式
  2. 親指の腹を使うノック式。多色ボールペンに多い。側面のスライダーを親指の爪先で滑らせるノック式の変形
  3. スライド式。少し特殊な範疇に入るが、握ったボールペンを振る
  4. 振り出し式。伝統的な、高級イメージのボールペンが採用している。両手指先でボールペンの上下部分を持って捻る
  5. ネジ式

 本日、ご紹介する独リンダウア社のボールペンは、ノック式とスライド式のハイブリットメカニズムを採用したボールペン「ボトルペン」だ。メカニズムのベースになったのは、400年もの歴史あるオランダの王室御用達のビール会社「グロールシュ(Grolsch)」社が100年以上も前に考え出したボトルキャップのデザインだ。

一目見た多くの人は、その変わったメカニズムに興味を持つイタリア旅行のお土産に頂いたリキュール「リモンチェッロ」も同様の栓を採用している

 「スイングトップボトル」と名付けられた素晴らしいデザイン性と確実な密閉度を実現するメカニカルな栓は、多くの液状製品に使用されることが多く、筆者の自宅にもあったイタリア製のリキュール「リモンチェッロ」にも、同様のメカが採用されていた。

 芯出し動作は、針金で出来たリング状のフックを親指の腹で静かに押し下げるだけ。角度にしてわずか約60度回転させることで、回転操作を、スライドの押し出し操作に換え、ボールペンのスムースな芯出しを実現する。

 針金リングを押した指先に反発してくる“タクタイル感”は極めて心地よく、筆記の必要がない時でも、ついカチカチやってみたくなる癖になる快感だ。身につける道具にはこういう遊びのメカが必ず必要だ。

 交換用リフィルには世界中何処でも入手可能なパーカー社のモノが適合する。筆者は、青のボールド(太字)のリフィルを装填して毎日愛用している。“リンダウア社”のボールペン「ボトルペン」は、極めてオーソドックスなリフィルに、極めて特殊な芯出しメカニズムを組み合わせたオシャレなボールペンだ。国内にもこういうチャレンジをするボールペン企画会社が出現して欲しいモノだ。

ボールペンには不要なオレンジ色のゴム栓がアクセントになってデザイン効果を高めているカチカチと四六時中癖になりそう。親指先へのタクタイル感が商品への愛着を加速する。

商品名実売価格購入場所
リンダウア社 ボトルペン(ブラック)3150円信頼文具舗

(ゼロ・ハリ)

2011/1/6 06:00