本日の一品
スマホ+低価格インカム「JF-BTHIBK」で快適バイクナビ
2016年8月9日 06:00
某アニメの影響でバイクに乗りたい若者(が増えているかもしれないが、バイクに乗る醍醐味はやはりツーリングだ。
筆者も最初に原付に乗り始めた頃は市内移動がほとんどだったが、関東には奥多摩や湘南、鎌倉、横須賀に箱根と、ツーリングスポットがいくつもある。
徐々に行動範囲を広げて西は大阪、東は会津・新潟あたりまで出かけるようになってきた。ただし、知らない場所に行くにはナビが必須。といっても、これもスマホで代用できるようになったので、ナビの音声を聞くために必須のアイテム「インカム」を紹介しよう。
インカムはスマホに接続するBluetoothヘッドセットを、バイク用にアレンジした製品だ。ヘルメットの中にスピーカーとマイクを仕込むというその仕組みのため、スピーカーは薄型でなければならないし、マイクもアームや貼り付け式で固定する必要がある。防水機能や長距離通信機能なども必要になるので、Bluetoothヘッドセットよりも高機能だ。
こうした理由で、インカムは一般的に3~4万円する高価なアイテムである。とはいえ、バイクに乗り始めるとインカム以外にも何かとコストがかかるもの。もしインカムの予算を安く抑えられたら、全体の負担も圧縮できるし、あるいはより重要なヘルメットやプロテクターに回す予算を増やすことができるだろう。そんなわけで、今回取り上げるのがJ-Forceの激安インカム「JF-BTHIBK」だ。
「JF-BTHIBK」は、実売5000円前後で販売されている。これはスマホ用Bluetoothヘッドセットとほとんど同じ価格帯だ。安価でありながら、IPX6準拠の防水機能を備えているので、急な雨に襲われても問題なく利用できる。通信はBluetoothで、A2DP/AVRCP/HSP/HFPプロファイルに対応しているから、ほとんどのスマホと接続できる。
一方で、その機能はシンプルだ。Bluetooth機能の通信距離は10mの範囲なので、1km以上の通信ができる高級機とは大きく隔たりがある。どちらかと言えば、スマホナビとの通信や、タンデム時のパッセンジャーとの通話がメインになるだろう。
ただ、10mを超えて通話する手段はある。簡単に言えば携帯電話の通話網を使うわけだが、「JF-BTHIBK」の良いところはこの操作をシンプルに実装している。「JF-BTHIBK」では、本体のボタンを2回プッシュすることで、直前にかけた番号にリダイアル可能だ。
携帯電話の通話網を使うため、深い山奥に入ると電波が届かず通話できない場合もあり、スマホのプラン次第は通話料が発生するといった点に注意が必要だ。
なお、ラジオ機能やチームツーリング(複数の相手とコミュニケーションをとる)機能はない。見たところ、ミュージックシェア(スマホの音楽をライダーとパッセンジャーで共有再生する)機能もないようだ。
構成もかなりシンプルだ。インカム自体はBluetoothレシーバーおよびスピーカー&マイクの2つのパーツで構成されている。そのほかの付属品は、ヘルメット装着用の両面テープ付き面ファスナーと、充電ケーブル、そしてマニュアルだ。面ファスナーは、ヘルメットの形状に合わせて薄いものと厚みのあるものと2タイプ付属している。ヘルメットへの装着に際しアダプターを介することはないし、ハンドルに装着するコントローラーなどもない。
レシーバーは、受話器マークのマルチボタンと、その左右に大小音量ボタンを備えている。インカムとしてはやや少なめのボタン数だ。レシーバーとスピーカー&マイク間の接続はminiUSB端子で、充電もこの端子から行う。
先に触れたとおり、基本的に面ファスナーでヘルメットのスポンジ部分に貼り付けていくだけで装着完了となる。レシーバーの装着も、面ファスナーをヘルメットの外装にペタッと貼り付けるだけだ。
装着に要する時間は5分とかからない。インカムの中には工具を用いて装着するものもあるので、そうした製品と比べれば簡単だ。きれいに配線するために、内装のクッションパッドのスナップを外す必要があるが最小限の作業で済む。気になる点を挙げれば、両面テープと面ファスナーはともに接着力が非常に強いので、装着を失敗した際にはがす作業が面倒だ。事前にしっかりと位置決めをして臨みたい。
今回はジェットヘルメットへの装着例となるが、アーム式のマイクなのでフルフェイスでも問題ない。一方で、いわゆる半ヘルは難しいかもしれない。耳当てのある半ヘルならスピーカーは貼り付けは問題ないが、おそらくアーム部分がブラブラしてしまうのではないだろうか。J-Cruiseでは、薄型の面ファスナーを使用した。
装着後、操作してみて気になったといえば、レシーバーを取り回すのが右側となる点だろうか。バイクのスロットルが右手側にあるため、走りながら操作をするということが難しい。スクーターでもマニュアル車でも、走行中、不意に右手を離してしまうと、エンジンブレーキがかかるので危険だ。もちろん、そもそも停車した状態で操作することが望ましい。
「JF-BTHIBK」の基本操作を説明しよう。まずマルチボタンを2秒長押しで電源が入りスピーカーからはピッと音がする。あとはスマートフォンなどの機器側でペアリングの作業を行なう。電源ONの状態からマルチボタンを3秒長押しすればペアリングモードだ。
この状態でスマートフォン側の設定からBluetoothの項目を開けば、しばらくして「JF-BTHIBK」が表示されるのでこれを選択する。なお、場合によってはパスキーが要求されるようだが、筆者の場合は不要だった。高級機のように音声で接続先を案内してくれるようなことはないが、接続成功時にはピッと鳴る。
ここまで進んだら、スマートフォンから音楽を再生させて動作確認をしておくとよい。マルチボタンを短く1回押せば音楽再生が一時停止し、もう1回押せば再び再生が始まる。
運転中、電話がかかってきた場合は、マルチボタンを短く1回押して受話となる。会話が終わったら、再びマルチボタンを短く1回押して通話終了だ。リダイアルは先に書いたとおりマルチボタンを素早く2回押す。とはいえ、基本的には運転中に通話することは注意力散漫を招くので、必ず停車した状態で操作しよう。
電源OFFはマルチボタンを7秒間押すことになっている。インカム間のペアリングが6秒長押しなので紛らわしいが、6秒、7秒経過後、電源OFFなら赤いLEDが、ペアリングなら赤青のLEDが交互に点滅するので、それで判断することができる。操作において唯一、+/-ボタンを押すことになるのが、スマホと接続した状態からインカム間通話に切り換えるとき。これは3秒長押しとなる。この程度だ。
バッテリー駆動時間は、通話が7.5時間、音楽再生が7時間、待受が80時間。Bluetooth 2.1を使用する点で、バッテリーの持ちはほかよりも短かめな印象だが、実際のところツーリングの出発から帰宅までずっと音楽再生し続けない限りは大丈夫だろう。
「JF-BTHIBK」装着後、1週間ほど運用してみたが、普段の自宅から編集部までの移動や私生活での移動においてはなんら問題なく使用できている。バッテリーの持ちも、今のところ1日あたり3時間程度の使用で、使いきる前に2日に1回充電するサイクルだ。極端に短いわけではないので、この点には安心した。
音質に関しては、一般的なインカムレベルだ。ただ、インカムの音質は、Bluetoothヘッドセットのそれとは比べ物にならないくらい悪い。ヘルメット内に装着することもあって、やはりこもった印象の音になる。まあ、音声通話に問題はないし、100km超のソロツーリングが寂しくない程度には音楽を楽しめる。スピーカーの収まり具合もまずまずだったが、これは個人差にもよるだろう。
このような具合で、「JF-BTHIBK」の安さのヒミツは、基本のみにフォーカスしたシンプルな機能だ。しかしインカムの基本を押さえているため、普段使いには十分だ。グループツーリングや長距離ツーリングの頻度が高まると、バッテリーー駆動時間や通信距離、mini USBケーブルなどで歯がゆさを感じるかもしれないが、その時になってあらためて検討すればよいだろう。とにかく、一番のポイントは、本来3~4万円するインカムがたった5000円で導入でき、予算をほかに回せると考えれば、かなりバイクライフを充実させてくれるアイテムと言えるだろう。この夏こそ快適なナビゲーションによって行動範囲を広げ、まだ見ぬ景色に出会いに行こう。
製品名 | 販売元 | 購入価格 |
---|---|---|
JF-BTHIBK | J-Force | 4736円 |