スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

ソニーの「α7S」、もぅ最高~っ♪

ソニーの「α7S」、もぅ最高~っ♪

 2014年の6月20日に発売されたソニーのミラーレスカメラ「α7S ILCE-7S」(以下、α7S)。ワタクシ、コレを発売から2カ月くらい経ってから(2014年の8月29日に)買いました。具体的には、東京・中野のフジヤカメラにて、「α7S フジヤカメラセット」としてα7Sボディとレンズ「Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS」のセットが売られていたので、それを買いました。ちなみに、α7Sボディの実勢価格は21万円前後です。

ソニーのミラーレスカメラボディ「α7S ILCE-7S」とFEレンズ「Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS」を組み合わせて使っています。α7Sは35mmフルサイズセンサーを搭載し、最高ISO感度をISO409600に設定でき、高感度撮影時のノイズ耐性が非常に高いカメラです。 ※一部画像はメーカーウェブサイトより抜粋。

 発表~発売当初は、α7Sにぜんっぜん興味がなかったんですけど、ある用途について「α7Sならデキるかも!?」と思い立って試したらデキまくりでもう最高♪ って感じなので、今回改めてα7Sの使用感などについて書いてみたいと思います。

 α7Sは発売後2カ月程度経過しているので、既に多くのレビュー記事があります。ので、α7Sの基本的な事柄についてはデジカメWatchの「新製品レビュー」などをお読みください。また、動画撮影性能に関してはAV Watchで小寺信良氏による詳細なレポートが読めます。

 さて、ワタクシがなぜα7Sを買ったか? それは「瞳孔が開いた夜の猫」を撮りたかったからです。猫って周囲が暗めになると瞳孔が開いて愛らしい表情になりますな。アレをビシバシ撮りたかったんです。

どちらも同じ猫です。左は、昼間撮った写真で、周囲が明るいので瞳孔が細い縦線のようになっています。右は夜撮ったもので、環境があまり明るくないので瞳孔が開いて丸くなっています。

 α7Sは、ISO感度を最高で409600(40万9600)まで設定できる「超高感度カメラ」です。また、優れた低ノイズ特性を持つとも言います。ので、夜間の猫の様子を、フラッシュなどの補助光を使わず、手ブレしにくいシャッター速度に設定して、ノイズ抑えめで撮れるかも? と考えて試してみたらバッチリ~♪ イーヤッハァ~最高~♪ という結果が得られまくったのでした。

 ちなみに、上の右の写真、α7Sで撮ったものです。シャッター速度1/100秒でF4.0という設定です。環境の明るさは本を読むのにはやや暗めという感じですが、ISO感度が32000(3万2000)に設定されているので、十分な光量がある環境下で撮った写真のように見えます。

 てゅーか、ISO32000(3万2000)ってスゴくないですか? 「アイソさんまんにせん」で、上の写真のような、クリアな写真って、凄くないですか!? 凄~いっ♪ てなわけで以降、暗い環境下での撮影にメチャ強いα7Sについてアレコレ書いてみたいと思います。

ISO感度1万2万アタリマエ!! 被写体によっては6万以上も

 ISO感度をすんごく高く設定できるα7S。つまり暗い場所でも不都合なく写真が撮れるデジカメなんですな。ともあれ、細かい話はヌキにして、α7SはどのくらいISO感度を高められ、そうして撮った写真がどの程度「ツカエル」のかを、写真で見ていきましょう。

 なお、以下の写真は左が掲載用に縮小したもので、右が等倍(ドットバイドット)です。色調補正などは施していません。少し黄色みがかった写真がありますが、これは部屋の照明が古い電球色の蛍光灯で、その影響が出たものです。

ISO4000で撮影した写真。光源は台所の蛍光灯照明(18W)で薄暗い環境です。高感度ですがノイズも見当たらずクリアに撮れました。
ISO5000。こちらも同じ台所です。シャッター速度を1/100秒に設定しています。猫があくびをする様子ですが、被写体ぶれを抑えつつ撮影できました。
ISO6400。冷蔵庫の上で、近くに電球色蛍光灯の天井照明があります。まだまだノイズ感が少なく良好です。
ISO8000。フィッシュアイコンバージョンレンズを使用しています。
ISO10000(1万)。このくらいの感度から、被写体や状況によっては偽色のようなものが発生してきます。この環境だと黄色い偽色のようなものが出てきがちですが、この写真ではあまり目立ちませんな。
ISO12800(1万2800)。この感度でも十分に良好と言える画像が得られます。
ISO16000(1万6000)。よく見ると、画質のクリアさが少々失われつつあるようです。
ISO20000(2万)。毛の細部などの解像感も少し怪しくなってきました。
ISO25600(2万5600)。シャッター速度1/100秒で、毛繕いの瞬間をどうにか撮れました。ただ、細部を見ると偽色のようなものがさらに多くなり、解像感も失われがちです。
ISO32000(3万2000)。全体としては悪くありませんが、拡大して見ると細部がノッペリしていることがわかります。
ISO40000(4万)。超高感度撮影でも、細部のノイズや解像感不足が気にならないケースもあります。この写真はその典型かもしれません。
ISO51200(5万1200)。ドットバイドットで見ると画像が破綻しかけていることがわかりますが、全体としては悪くない画質です。
ISO64000(6万4000)。このくらい高いISO感度だと画質はイマイチな感じになることが多いのですが、この写真の場合は悪くないかも、です。
ISO80000(8万)。厳しい言い方をすれば「コンパクトデジカメで感度を上げて撮ったようなキタナイ写真」ですが、被写体や用途によってはこの感度でも使えたりしますな。

 上のような瞳孔が開きがちな猫写真、以前だと外付けフラッシュやモノブロックストロボを使わないと撮れませんでした。そういった機材ナシで撮ろうとすると、シャッター速度を遅くする必要が出てきます。結果、手ブレや被写体ブレにつながり、失敗が非常に多くなるんですな。

 α7Sの高感度・低ノイズ特性は、フラッシュ類を不要にし、シャッター速度も上げられます。労せず上のような瞳孔開き猫写真が撮れるので、ワタクシ的にはホンット~に嬉しいわけです。あまりの嬉しさにTwitterに猫写真投稿しまくりの最近です。

 ちなみにワタクシがα7Sで使うISO感度ですが、だいたいISO20000(2万)くらいまでは「OK」としています。ISO25600(2万5600)以上になると被写体や状況次第で、「OK」となる場合もありますが、「ちょっと色がヘンな箇所が多い」とか「ザラザラしてるな~」と思うこともあります。

 ただ、ISO64000(6万4000)を超えた設定でも「どうにかツカエル」とか「見られないわけではない」という写真が撮れちゃうのは、やっぱりα7Sの凄いところ。ほかのカメラではまずアリエません。

暗~い場所でも手持ちで撮影OK♪

 それから、α7Sは超が付くほど高感度の設定が可能なので、暗い場所でもシャッター速度を速く設定できます。これにより、これまで手持ちでは撮影不可能だった状況でも写真が撮れます。例えば手元がよく見えないほど暗い場所でも、手持ちで撮影できます。

手元がほとんど見えないくらい暗い場所での撮影も可能です。左が「肉眼で見たものに近い明るさを再現した写真」で、中央はISO64000(6万4000)で撮影、右はISO409600(40万9600)で撮ったもの。 ※EXIF情報としてISO409600(40万9600)は、PC上などで正しく表示されないかもしれません。

 暗闇のような状況も昼間のように明るく撮れてしまうα7Sなんですな。もちろんISO409600(40万9600)などの超超高感度だと画質も荒れ放題です。が、これまで撮れなかったものが撮れること、不可能が可能になったことは、映像の世界を大きく広げたのだと思います。

 この「不可能が可能になった」ということの具体例として、夜間の風景撮影が非常に手軽になったことがあります。ワタクシは趣味的に夜の風景撮影をするんですが、これまでは三脚必須でした。しかしα7Sの場合は手持ちで問題なく撮れます。

 実際に夜間にα7Sで撮った風景写真を並べてみます。以下の写真は、左が「肉眼で見たものに近い明るさを再現した写真」(一部明るさ調整をしてリサイズしています)で、右が明るめの風景に写るよう露出を設定したもの(リサイズのみ施しています)です。記載した露出値などは右の写真のものです。全て手持ちで撮影しています。

コンビニの灯りが、道路を昼間のような明るさで照らし出します。ISO51200(5万1200)、シャッター速度1/100秒、F4.0。
薄暗い裏道がパッと明るく!! ISO160000(16万)、シャッター速度1/100秒、F4.0。
夜空の雲も浮かび上がります。ISO256000(25万6000)、シャッター速度1/100秒、F4.0。
高速道路のサービスエリアの建物です。これも昼間のような明るさに。ISO16000(1万6000)、シャッター速度1/100秒、F4.0。
こちらはパーキングエリア。ISO64000(6万4000)、シャッター速度1/100秒、F4.0。

 さすがにISO100000(10万)を超えると画像はかなり荒れてしまいます。が、手持ち撮影でも夜間の風景を明るく写せるという点が凄いですな。確かに、これまで不可能だったことを可能にしてくれています。

細かな使いにくさもあるが、結局許せちゃう

 最後になりましたが、細かな使い勝手について少々。まず、前述の高感度・低ノイズ特性の件は置いておくとして、35mmフルサイズセンサー搭載のレンズ交換式カメラとして、かなりコンパクトなのがイイですな。組み合わせるレンズにもよりますが、気軽&軽快にフルサイズ一眼を持ち歩けるのは嬉しい点です。

 操作性もまずまずだと感じます。露出補正ダイヤルがあるのもイイですね。動画撮影ボタンも誤押下しにくくて実用的。ソフトウェアUIもまごつくことなく使えました。

 ただ、ボタンやダイヤルの大きさと位置に、若干の疑問を抱きました。MENUボタンやC2ボタンは妙に奥まっていて押しにくく、前後の(露出補正ではない)2つのダイヤルもやや使いにくく感じます。慣れの範疇だと思いますが、操作性を追求した一眼レフなどと比べてしまうと劣る部分かもしれません。

 ホールド感は良いと思いますが、これは軽めのレンズを付けたときの話。重いレンズを装着すると「ガッチリと握りにくい」「安定感がいまひとつ」といったイメージになりがちです。まあボディが軽め・小さめなのでしょうがないんでしょうネ。

 凄いな~と思ったのは、サイレント撮影機能。シャッターのメカ部分を一切駆動させない電子シャッター撮影モードなんですが、完全に無音で撮影できます。取材カメラによく向くように思います。

 スマートフォンやPCとの連携機能も便利です。PlayMemories Mobileアプリを使って画像をスマートフォンに転送したり、無線LAN経由でPCへ画像を自動保存できたり。スマートフォンからα7Sの遠隔操作を行うこともできます。詳しくはココにあるとおりです。

 あとこれはかなり個人的な印象ではありますが、α7Sのデザインが気に入れないでいます。レンズマウントのオレンジ色とボディの黒のコントラストはカッコイイな~と思いますが、ほかはあまりカッコ良く思えないんですな。

 ぶっちゃけた話、あんまりカッコ良くないし、ダイヤルとかな~んか使いにくいし、ホールド感もそんなに良くないしで、難点も少々あると思えるα7S。しかし、圧倒的な感度と低ノイズ特性には「爆発的」とも言える実用性と魅力があります。ので、少々の難点は全然問題なく許せちゃう感じです。

 ともあれ、とにかく凄まじい高感度・低ノイズ特性を備えているα7S。その実力にぜひ一度触れてズギャッと驚いちまってください。映像に対する考え方が変わるかもしれません。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。