スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

かな~り楽しい「EXILIM EX-FR10」♪

かな~り楽しい「EXILIM EX-FR10」♪

 2014年8月26日に発表されたカシオの「EXILIM EX-FR10」。モニター部とレンズ部が分離するデジタルカメラですな。「これはオモシロそう!!」と思ったので予約注文して購入しました。

カシオの「EXILIM EX-FR10」。合体した状態でも分離した状態でも使える新機軸のデジタルカメラです。モニター部とレンズ部はBluetooth(独自プロトコル)で無線接続されます。実勢価格は4万円前後。
合体時は、ヒンジを軸に自由な角度に曲げられます。必要性があるかわかりませんが、真横を撮るようなことも可能。二つ折りにすれば一般的なデジカメに近いスタイルで撮れます。

 この合体変形ギミックを見ただけで「これは何かオモシロいことができそう♪」みたいな気分になっちゃうワタクシ。スペック的にもソソるものがあり、たとえばレンズは35mm判換算で21mmの超広角。そして防水・防塵、耐衝撃、耐寒のタフ性能。オプションのアタッチメントを使えばアクションカメラ的な使い方もできそうです。

 てなわけで早速使ってみたところ、かな~り楽しめました。普通のデジカメではちょっと無理なポジションから自由なアングルで撮影できるので、とりあえず何を撮っても新鮮&愉快です。ともあれ以降、「EXILIM EX-FR10」の機能や使用感について書いてみたいと思います。

分離合体変形するタフなデジカメ

 まずは「EXILIM EX-FR10」の仕様をザッと。有効画素数1400万(1/2.3型 裏面照射型CMOSセンサー)のコンパクトデジカメで、静止画に加えてフルHD動画(1920×1080/30fps)を撮影できます。レンズは35mm判換算で21mm/F2.8の超広角単焦点レンズで、4倍のデジタルズームが使えます。撮影モードやISO感度は基本的にカメラ任せのオートで、手ブレ補正機構はありません。

 タフ性能については、水中1mでの防水性能、2mの耐落下性能、防塵性能、そして-10度の耐寒性能を備えています。ダイビングなどには使えないと思いますが、アウトドアユースによく向くタフさがある感じです。

 そしてやはり、何と言っても特徴的なのが合体変形ギミック。モニター部とレンズ部を分離して使えるので、アイデア次第でいろいろな撮影にチャレンジできそうです。

モニター部とレンズ部は、合体時も分離時も無線で接続されています。カメラ側の黒いプレートは、レンズ部をモニター部に取り付けたり、あるいはレンズ部を自立させたり三脚に固定したりするためのものです。プレートはヒンジを中心に180度(と少々)可動します。別売アタッチメントへカメラを装着する場合も、このプレート部分が使われます。
分離し、カメラ側プレートでカメラを自立させてみました。レンズ部にもモニター部にもシャッター(動画用および静止画用)があり、どちらを操作しても撮影できます。モニター部をオフにし、レンズ部のみで撮影することも可能。レンズ部とスマートフォンをWi-Fiで接続して撮影や再生もできます。ちなみに、充電はレンズ部とモニター部に対してそれぞれ個別に行う必要があります。
付属の「三脚ナット」を使えば、レンズ部を三脚や自分撮り用のモノポッドに装着することもできます。レンズ部の質量は約63gなので、モノポッドのポールを長くしての自分撮りなども軽快に行えます。

 レンズ部とモニター部はBluetooth(独自プロトコル)で無線接続されます。ユーザー側でペアリングなどのセットアップをする必要はなく、レンズ部とモニター部の電源を入れれば自動で無線接続されます。

 イメージとしては、Wi-Fi対応デジカメとスマートフォンを無線で接続しての撮影という感じではありますが、「EXILIM EX-FR10」の場合はほとんどのケースでクイックに接続されます。Wi-Fiデジカメにありがちな「接続までにわりと待たされる」という感じはしません。

 また、レンズ部とモニター部は、一定時間でスリープやディープスリープに移行して電力消費を最小限に抑えます。が、そこからの復帰は素早く、たとえばモニター部のボタンを押すなどすれば、すぐに撮影スタンバイ状態になります。

 モニター部にはレンズ部で捉えた映像がライブビューで表示されますが、表示の遅延もまあまあ短めで、ストレスがたまるほどではありません。動いている被写体を素早く正確にフレーミングするのには向かないものの、多くのシチュエーションでまずまず問題なく使えるライブビュー表示だと感じました。

 ただ、レンズ部とモニター部を個別に充電するのがちょっと面倒ですな。また、電池は内蔵式で、交換できません。電池の保ちは後述しますが、「EXILIM EX-FR10」は「撮影が楽しいのでついつい長時間使い続けてしまうカメラ」なので、「あっ もう電池切れ」ということも少なくありません。電池は交換式にしてほしかったところです。

自分撮り、置き撮り、アタッチメントでの撮影

 では、イロイロと撮ってみたので画像を見ながらご説明をば。分離型デジカメでありかつ21mm相当の超広角ということで、まずは自分撮りですな。無理に手を伸ばさなくても自分のバストアップ写真が撮れてラクなんでありました。

左の写真は、なんかほかの人が撮ったみたいな雰囲気でしょ? でも自分撮りです。右は高い場所から怖い感じの自分撮りを狙ったのですが、う~ん、そんなに迫力は出ませんでした。

 それから置き撮り。猫の顔の近くにレンズ部を置いて撮ってみました。被写体に約10cmまで寄ってもピントが合い、また超広角なので、独特の雰囲気の映像が得られますな。

赤い矢印の位置にカメラを置いて撮りました。明るいレンズということもあってか、「EXILIM EX-FR10」で撮った写真の多くはノイズ少なめという印象です。
こちらも赤い矢印の位置にカメラを置いて撮りました。こういうトリッキーなポジション/アングルでの撮影もラクです。

 オプションのアタッチメントも使ってみました。「マルチアングルクリップ EAM-2」を使ってデイパックのショルダーベルトにカメラを装着したり、「マルチアングルベルトセット EAM-3」で頭部にカメラを装着したり。

「マルチアングルクリップ EAM-2」を使い、デイパックのショルダーベルトにカメラを取り付けました。カメラの傾きを自由に変えられるクリップではありますが、意識して姿勢を正さないと斜めの写真が撮れがちです。
【動画】こちらは肩にカメラを付けての動画撮影です。やはり傾きがちなのと、歩行時の振動がけっこうカメラに伝わって揺れがちな動画になってしまいます。
「マルチアングルベルトセット EAM-3」で頭部にカメラを装着して撮ってみました。首で構図を決められるので、水平の合った静止画を撮りやすいですな。
【動画】こちらは頭部のカメラで撮った動画。肩にカメラを装着したときと比べると、振動が少なく見やすい動画になりました。

 頭部にカメラ装着は案外イイですな。まあ街中でやってると「なにアノ人?」的に注目されたり職質されたりする可能性がありますが、アウトドア・アクティビティにおいてなら「なんかの装備」と思われる程度かも。頭がカメラの雲台になるわけですが、わりと安定した映像が得られるので、頭部カメラはアリな撮影法だと感じました。

いわゆる「自撮り棒」を使って撮影♪

 ワタクシ、アクションカメラなどを買うと、いつも試してみるコトがあります。それは、いわゆる「自撮り棒」を使っての撮影ですな。先端に雲台がある伸縮式の棒で、そこにカメラを装着して自分撮りをしたり、あるいは高所から見下ろしての撮影をしたり。

伸縮式の棒の先に雲台がある「自撮り棒」。「一脚」と同じくモノポッドと呼ばる場合もあります。このモノポッドの場合、縮めた状態では約21.5cmで、最長約110cmまで伸ばせます。Amazonで1000円前後で買った記憶があります。価格のわりにはけっこー活躍してくれている撮影機材です。

 この「自撮り棒」に「EXILIM EX-FR10」のレンズ部をセットして撮影してみました。モニター部は手に持って。まずはレンズ部を天井近くの高さに上げ、天井から見下ろした目線で撮影。棚の上、天井付近で寝ている猫を撮ってみました。

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、天井近くから下を見下ろしている構図です。普通ではなかなか撮れない写真ですが、「自撮り棒」と「EXILIM EX-FR10」を組み合わせれば容易に撮れます。

 次に屋外で。「自撮り棒」は前述のとおり110cmくらいまで伸びます。ワタクシがそれを持って手を伸ばすと、地上3m少々の高さに「EXILIM EX-FR10」のレンズ部を構えられます。そんな高さから見下ろした映像ですな。

やや上空から見下ろした感じの映像が撮れます。右はダム脇の見晴台のような場所で撮ったものです。もうちょっと怖い感じになるかなと思ったんですが、いまいち迫力不足ですね。
【動画】こんなふうな動画も撮れます。「EXILIM EX-FR10」はカメラ部が軽いので、わりと長い時間こういう撮影をしていてもあまり疲れませんでした。

 平日のダムにてオッサンがボッチで自撮りしてるのもアレですが、「自撮り棒」と「EXILIM EX-FR10」の組合せは、正直、かな~り楽しいです。新鮮な視点からの映像が撮れるので、とりあえず何を撮っても楽しめちゃうという感覚です。

スマートフォン連係も可能

 それから「EXILIM EX-FR10」はスマートフォンとWi-Fiで接続して使うこともできます。スマートフォンと接続してデキることは、リモート撮影と、撮影した静止画や動画をスマートフォンへ転送することです。転送後の画像は、もちろん、転送した静止画や動画をSNSなどにアップロードすることも可能です。

 なお、スマートフォンとのWi-Fi接続時には専用の「EXILIM Link」アプリを使います。アプリはiOS版Android版があります。

iOS版「EXILIM Link」アプリを使っている様子。スマートフォンからリモート撮影ができます。各種設定を変えたり、自分撮り用に表示を反転させたり、デジタルズームを使ったりできます。ちなみに、スマートフォンと「EXILIM EX-FR10」のWi-Fi接続中は、モニター部は使用できません。
撮った静止画や動画をスマートフォンに転送し、スマートフォン上で再生することもできます。アプリ上から画像をSNSなどに投稿することもできます。右のスクリーンショットはスマートフォンに転送した画像をサムネイル表示している様子です。

 てな感じの「EXILIM EX-FR10」。全体的な使用感は、手軽なことと、楽しいことですな。一般的なコンパクトデジカメでは得られにくいポジションやアングルの映像(構図)でも容易に撮れますので、撮影中はいつも愉快な感じです。

 が、そういった容易さ楽しさがある一方、ついつい長く使ってしまい、「あらもう電池切れ」ということもアリガチです。「EXILIM EX-FR10」のバッテリー持続時間は、静止画撮影枚数(CIPA規格準拠)が約255枚、フルHD動画実撮影時間(CIPA規格準拠)が約1時間05分、連続再生時間が約4時間05分となっています。まずまず電池は保ちそうですな。

 しかし実際に使ってみると、モニター部を使い続け、「もっとおもしろい構図にならないかな」的にアレコレ試したり、「これをこう撮ったらおもしろいかも」とやはり試しまくったりしがち。そして、大して枚数を撮影していないのに電池切れになったりして。ワタクシの場合、まずモニター部が電池切れになりがちです。

 というわけで、バッテリー持続時間についての印象は「気を付けないとすぐ電池が切れる」みたいな感じ。ヒッジョーに楽しいカメラなのに若干残念ですな。電池交換非対応なのも残念です。

 それ以外はイイ感じです。繰り返しますが、トリッキーな構図でも容易に撮れますし、使っていて楽しいです。また、レンズ部とモニター部を合体させて二つ折りにすれば普通のコンパクトデジカメのようにも使えますので、「ツブシが利くカメラ」だとも思います。アクションカメラにもコンパクトデジカメにもなるカメラという点もひとつの魅力かも、です。ともあれ、相当遊べるカメラであることは確かなので、映像に新しい楽しさを求めるなら、ぜひ一度チェックしてみてください。

【編集部より】YouTubeにアップロードしたストリーミング動画では元画質より画質が落ちるため、元画質を確認したい方は以下から各動画ファイルをダウンロードしてローカル環境で再生していただくようお願いいたします。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。