スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

デノンの小型ネットワークオーディオを使う

デノンの小型ネットワークオーディオを使う

 今回のブツはデノンのネットワークオーディオ「DRA-N5」とブックシェルフスピーカー「SC-N5」AirPlayを鋭意利用中の俺なんですけど、この「DRA-N5」、AirPlay対応だし他にもイロイロ使えそうだし、ちょっと良さそうということで購入。ネット通販で、「DRA-N5」が2万9520円、「SC-N5」が6300円だった。

デノンのネットワークレシーバー「DRA-N5」と、それにマッチするスピーカーシステム「SC-N5」。前者は、無線/有線LAN機能を備え、AirPlay、DLNA、ネットラジオ受信に対応し、iPod/iPhone用Dockも備えている。後者は汎用的なパッシブスピーカーですな。合計約3万5000円

 購入の決め手は、AirPlayを始めとするさまざまなネットワーク系オーディオ機能ももちろんだが、サイズや価格が手ごろだった点も大きい。ネットワークレシーバーのDRA-N5は、サイズが幅180×高さ9×奥行き23.4cm(脚/ツマミ/端子含む)。iPadのサイズが約幅18.6×高さ24.1cmなので、iPadを平置きできるスペースに収まる感じ。

 機能は後述するが、このサイズでけっこーイロイロな機能が使えて、どの機能もちょっと良さそうな感じなのであった。コンパクトで高機能。そのあたりにかなり惹かれて購入した感じ。てなわけで以降、DRA-N5の使用感を中心に書いてみたい。

AirPlay対応

 DRA-N5はアップルのAirPlayに対応している。単純に「AirPlay対応アンプ」として使えるのだ。

 AirPlayは、iTunesやiOSデバイスにある音楽/動画/静止画をLAN経由で伝送し、同じLANにつながった他のAirPlay対応機器上で再生する技術。たとえば手元のiPod touch上の音楽をアッチのAirPlay対応アンプに送り、アンプにつながったスピーカーから音楽を流せる。詳しくはココに書いたが、手軽かつ高音質かつコード/ケーブル類に邪魔されることなく音楽などを楽しめるシクミですな。

 で、DRA-N5はそのAirPlayに対応した(音楽再生用の)アンプとして使える。既にLAN環境があれば、そこにDRA-N5をつなぐ程度で、AirPlay利用環境ができあがる。

 LANとDRA-N5は有線接続でも無線(Wi-Fi)接続でもOK。Wi-Fi接続の場合、無線LANルータやWi-FiアクセスポイントがWPS(Wi-Fi Protected Setup)接続対応なら、ボタンを数度押す程度の手間で、DRA-N5によりAirPlay利用環境のセットアップが完了する。マジお手軽っス。

DRA-N5をLANに接続すると、iOSデバイスのiPodアプリやPCのiTunes上の曲を、AirPlayでDRA-N5に送信することができる。iTunesからなら同時に複数のAirPlay対応機器に音楽を送れる
AirPlayで曲を再生時、DRA-N5のディスプレイにはアーティスト名や曲名が表示される。もちろん日本語表示にも対応している

 てな感じで、まずサクッとAirPlay環境が作れる点が、DRA-N5の利便のひとつですな。コストパフォーマンスや自由度の高さ、それから無線通信の速度などと考えると、アップルのAirMac Expressベースステーション+光デジタル入力対応アンプが理想的だったりする。が、後述の機能を含め「ネットワークオーディオ方面を手間無くいろいろ楽しみたい」という場合は、DRA-N5の手軽さと多機能さは魅力だ。

コレって要らなくね?

 じつはDRA-N5購入直前、本体上部にあるドックについて「これ無くてもいいのになあ」と思っていた。ドックにはiPodやiPhoneをセットでき、iPodやiPhoneの音楽をデジタルのままDRA-N5に送って再生できる。ちなみにドックコネクタは「Apple 30ピン Dockコネクタ」で、従来からあるタイプですな。

 てか、DRA-N5はAirPlay対応なので「AirPlayでiPodやiPhoneの音楽をデジタルのままDRA-N5に送れる」のである。ドックにいちいちiPodやiPhoneをセットして、ドックの上のiPodやiPhoneを操作して……なんつー面倒なことしませんから!! とか考えていた。

DRA-N5の上部には、操作ボタンおよびiPod/iPhone用ドック(30ピンタイプ)がある。ここにiPodやiPhoneをセットすれば、高音質で音楽を再生できるほか、充電もされる。……けど、AirPlay対応アンプなんだから、ドック要らなくね? とか思っていた

 のだが、実際に使ってみると印象がちょいと違ってきた。俺の場合だが、「このドックはあったほうがイイ」と感じられた。

 このドックにiPodやiPhoneをセットしただけで使った場合、「AirPlay対応アンプなのに、なぜわざわざアンプの前まで来て操作しないといけないの」的な疑問が出てきちゃう。その面倒を完全になくすためのAirPlayでもあるからだ。

 しかし、「Denon Remote App」を使うと話が違ってくる。結論から言うと、このアプリにより「AirPlay風な便利な使い方」ができたりする。

 Denon Remote Appは、iPod touch/iPhone/iPadおよびAndroid端末からDRA-N5を無線で操作できるようにするアプリ。Wi-Fi経由で同じLAN内のDRA-N5を無線操作できるようにする、DRA-N5のリモコンアプリ、みたいな。これを使うと、DRA-N5の電源オンオフや入力ソースの切り替えなど、いろいろな操作を無線で行えるようになる。

 で、このアプリ、DRA-N5のドック上にセットしたiPodやiPhoneなどの曲を、無線で選曲したり再生したりできるのだ。もちろん、DRA-N5のドックにセットする端末のほかにもう1台、Denon Remote Appを入れるためのiOS端末なりAndroid端末なりが必要にはなるが。

Denon Remote AppをiPad mini上で使っている様子。同じLAN内にあるDRA-N5を無線操作できるアプリだ。DRA-N5のドックにセットしたiPodやiPhoneの中にある曲を、自由にブラウズして再生することもできる

 ドックにiPodやiPhoneをセットしておけば、AirPlay感覚とまでは行かないが、「iOS端末がある場所に行かなくても曲の再生などの操作が可能になる」というわけだ。ドックに、可逆圧縮の音楽ファイルが大量に入ったiPod Classicをセットしたりすると、無線機能のないiPod Classicでも、接続コードなどを気にせず、無線で操作できるようになる。

 ほかにも利用法はあると思う。ともあれ、なるほど、セットしたiOSデバイスをWi-Fiで遠隔操作できるとなると、このドック、ちょっと便利かも、と思った次第である。

 ちなみに、ドック上のiOSデバイスにある音楽ファイルを、Denon Remote Appで扱った感じだが、表示や検索などに若干のタイムラグはあるものの、まあまあ実用的という印象だ。ハッキリ言うと、操作時のレスポンスとしてはAirPlayのスムーズさとは比較にならないので、「タイムラグとかイヤ!!」という人は素直にAirPlayを使うのが吉だと思う。……そういう人にとっては、このドック、単なる充電台になっちゃう感じかも。

 ちなみに、充電という観点でもうひとつ。前述のドック上に置いたiOSデバイスはちゃんと充電されるわけだが、DRA-N5の前面にあるUSBポートも充電に使える。試してみたところ、GALAXY Note IIやiPad mini、iPadを充電することができた。「DRA-N5には2種の充電用コネクタがある」という点、小さなコトだが、わりと便利だったりする。

いろいろな音源を遠隔操作できる

 当初はAirPlay対応アンプとして購入したDRA-N5だが、前述のドックの件を始め、イロイロと便利な機能が備わっていることを改めて実感した。たとえば、DLNA対応なのでNASなどに保存した音楽を再生できる。あるいは、本体前面のUSBポートに音楽ファイル入りUSBメモリを挿せばDRA-N5で再生できる。このUSBポートにiOSデバイスを接続した場合も、端末内の音楽を再生できる。また、これらの操作は、前述のDenon Remote Appを使って無線で操作できる。

 DRA-N5の妙味は、Denon Remote Appによる無線操作かもしれない。どこにある音源(音楽ファイル)でも、Denon Remote Appを操作すれば扱える、というイメージ。iOSデバイス上の音楽はAirPlayでDRA-N5に送信して再生ということになるが、そのiOSデバイスにDenon Remote Appを入れてDRA-N5を無線操作してもいい。

 Denon Remote Appは、DRA-N5で再生する曲などとりまとめて扱える無線コントローラーって感じですな。使い始め、たとえば音源(ソース)によってDenon Remote Appの使い勝手が変わることなどに違和感があるが、慣れたら「なるほど無線で統合的に音源を扱えるのは便利かも」と感じるようになった。

 個人的に意外だと感じられたのは、インターネットラジオの再生。なんでも、DRA-N5には「1万8000局以上のインターネットラジオ局が登録されているvTunerのデータベースからお好みの局を検索」することができるらしい。が、逆にそんなに多量の局があったら選局が面倒で使いませんから!! オーディオ機器のリモコンと表示で扱うのはなおさら無理だから!! とハナから使うつもりはなかった。

 が、Denon Remote App経由でインターネットラジオ局の一覧を見たりすると、けっこー使う気になってくる。単純な話、Denon Remote App上で局の検索などを行うのがラクだからだ。

Denon Remote AppでDRA-N5のインターネットラジオ放送受信機能を無線で使っているところ。地域やジャンルでラジオ局を絞っていけて、ラジオ局一覧も見やすい。ので「じゃあ聴いてみるかな」という気になる。また気に入った局は「お気に入り」として登録できる。「お気に入り」はDenon Remote AppでもDRA-N5上でも登録/呼び出しができる

 てな感じで、膨大な数のインターネットラジオ局から選んでいくのも、まあ、そんなにイヤじゃないかな、的なラクさ加減。無線&見やすい画面&ラクな操作でデキるとなると、重い腰が上がるんですな。

買いやすいオーディオかも!?

 最後に「ツイデ的に買ったスピーカー」なども少々。SC-N5というスピーカーで、「DRA-N5と組み合わせに最適」として売られている。が、別のアンプにつなげても使える汎用のパッシブスピーカーだ。

DRA-N5と別売スピーカーSC-N5を組み合わせた様子。質感的にもサイズ的にもよくマッチする。右はDRA-N5の背面端子類。前面はシンプルに見えるオーディオ機器だが、十分な入力系統を持っていたりする

 DRA-N5とスピーカーSC-N5を組み合わせて使う場合は、DRA-N5側の設定で「Speaker Optimization(スピーカーの最適化)」をオンにする。これによりスピーカーSC-N5の特性に合わせたフィルターが機能し、最適の音質で鳴らせるようになるという。

 実際、この「Speaker Optimization」をオンオフしてみると音質がけっこー変わる。オフにするとSC-N5は少々ドンシャリ気味な音質となる。曲によっては若干聴きにくいかな、的な。オンにすると音質がよりフラットな印象になり、弱かった中音域が豊かになり、バランスの良い音となる。オンにした方がかなり聴きやすくなるかも。

 前述のように、このスピーカーはペアで6300円だった。実勢価格だが、1本3150円のスピーカーとしてはかな~り頑張っていると思う。音楽をBGM的に聴くなら十二分に良い音だと感じた。音楽をジックリ鑑賞するには? そのあたりは聴く人の好みによりけりなので、ぜひ試聴を。

 あとDRA-N5、上の写真のとおり、入力系統もわりとしっかり装備している。光デジタル入力とアナログ入力があるので、ネットワークオーディオ専用機というわけでもない。サブウーファー出力があるので、けっこーアレコレ使い回せるアンプでもありますな。

 てな感じのDRA-N5。前述のとおり、DRA-N5を2万9520円、スピーカーのSC-N5を6300円で購入した。スピーカーは、音質的にけっこーなお値打ち価格だとは思うが、DRA-N5と好みのスピーカーを組み合わせて使うのも楽しいだろう。

 DRA-N5単体で単体で3万円弱、スピーカーと合わせて約3万5000円。「DRA-N5が持つ機能の多くを使うなら」という条件付きだが、コストパフォーマンスが高いネットワークオーディ製品だと思う。興味のある方はぜひ一度吟味してみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。