スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

ケーブル1本でAndroidとWindows PCが融合!?

ケーブル1本でAndroidとWindows PCが融合!?

 今回のネタはエバーグリーンの「Android OS用 スマートフォン-PC ミラーリングケーブル DN-84254」(以下、DN-84254)。Androidスマートフォン/タブレットの表示をPC画面上に映したり、PCのキーボードやマウスでAndroid端末を操作できたりするというので、興味&必要性から購入した。上海問屋で……というか上海問屋限定発売品なのだが、3999円だった。

エバーグリーンの「Android OS用 スマートフォン-PC ミラーリングケーブル DN-84254」。モノとしてはUSB接続のケーブルで、PCにつながったマウスやキーボードでAndroid端末を扱えるようになる

 DN-84254は、単なるUSBケーブルのように見える。が、Windows PCと対応Android端末を接続することで、PC画面上にAndroid端末の表示と同じものを表示(ミラーリング)できたり、PCに接続されたマウスやキーボードおよびPCの日本語IMEを使い、Android端末に対して操作や入力が行えたりするらしい。

 また、Androidの表示がそのままPC上にも表示されるので、容易にスクリーンショットが取れるっぽい。Android端末上で動いているアプリに対し、PC上のテキストをコピペすることもできるようだ。

 ……AndroidとPCが融合!! とまでは行かないかもしれないが、コレってかなり便利かも♪ 仕事上、Android端末のスクリーンショットを取ったり、PC上のテキストをAndroid端末に転送して使うようなことも多いので、うまく使えればこのDN-84254、かなり実用的なツールになる予感。てなわけで鋭意使用開始した。

PC上にAndroid端末が出現♪

 ぶっちゃけた話、このDN-84254、何となくトリッキーな機能を持つ製品に見えるし、上海問屋専売だし(失礼!!)で、「も~しかしたらインストールや利用に手こずるかも!?」と思っていた。しかし結果オーライ。フツーにインストールでき、フツーに使い始めることができた。

DN-84254をPCと接続すると、DN-84254内のインストーラソフトウェアが見える。ので、これを開いてインストールを開始する
ウィザードに従ってクリック。一般のソフトのインストールと同じですな
「KMC6105 Android Mirror Control」がインストールされるので、これを起動。以降、表示に従って操作していけば、JavaやJavaアプリのインストールやAndroid端末用USBドライバのインストールが行われる。説明書とともに表示を見ていけば、わりとスンナリとセットアップできると思う

 セットアップ完了後、「Android Mirror」(KMC6105 Android Mirror Control)アプリケーションを起動すると、しばらくして、PC画面上にAndroid端末と同じ表示が現れる。ちなみに、拙宅PC環境だと、Androidと同じ表示が現れるまで1分半ほど待たされる。

 また、処理が進捗しない場合もあり、そのときはDN-84254をいったん抜き、再接続してからAndroid Mirrorアプリケーションを起動すると、うまくいくようだ。このあたり微妙に不安定なのがアレだが、いったんアプリケーションが起動すれば、それ以降はほぼ問題なく安定して使える感じ。

左がPC上に現れたAndroid Mirrorアプリケーションのウィンドウ。右が接続したAndroid端末の表示(端末上でのスクリーンショット)。Android端末の表示がPCにミラーリング表示されたわけですな。これら2枚の画像は便宜上縮小している

 てな感じで、まずはAndroid端末の表示がPC上にミラーリングされる。この状態でAndroid端末を操作すると、一瞬のタイムラグはあるが、PC上の表示も端末と同じ状態になる。

 Android Mirrorアプリケーションの表示はマウスやキーボードでも操作できる。PC上にミラーリングされているAndroid端末の表示は、単なるミラー表示ではなく、「Android端末のUIそのもの」として扱える。たとえばマウスでアプリアイコンをクリックすれば、そのアプリが起動する。もちろん、PC側にもAndroid端末側にも、アプリが起動する様子が表示される。

 てか、いきなりけっこー衝撃的。PC上にAndroid端末出現。PCにつながっているマウスやキーボードで、PCとUSB接続したDN-84254の先につながっているAndroid端末を操作できちゃってるのだ。

マウスやキーボードでAndroid端末を操作可能

 DN-84254を使うと、PCに接続された「使い慣れたキーボードやマウス」を使って、Android端末を操作することができる。USBホスト機能対応のAndroid端末なら、物理的に「使い慣れたキーボードやマウス」をUSB接続してAndroid端末を操作することができるが、DN-84254の場合、それとはちょいと意味合いが異なる。

 DN-84254の場合は「使い慣れたキーボードやマウスおよびそれらに関わる設定や環境まで含めて使って」Android端末を操作できるのだ。たとえば使い慣れたキーボードで、鍛え上げた日本語IMEを利用しつつ、Android端末に日本語入力できたりするのである。

左は、PCに接続したマウスを使い、PC上のAndroid Mirrorアプリケーションの表示をドラッグし、Android端末のホーム画面ページを切り替えている様子。もちろんAndroid端末側の表示も追従する。ほか、Android Mirrorアプリケーションのウィンドウ上部のボタンでAndroid端末をコントロールできる

 PC上からは、Android Mirrorアプリケーションを使ってAndroid端末を操作する。このアプリケーションではマウスやキーボードでAndroid端末のUIを操作できるほか、ウィンドウ上部のボタン類でAndroid端末をコントロールできる。Android端末の「ホーム」「メニュー」「戻る」や「ボリュームUP/DOWN」に対応したボタンもあるので、ほとんどの操作をPC上から行える。

 ちなみに、PC上のAndroid Mirrorアプリケーションの表示は、Android端末の画面の向きに合わせて自動的に回転する。Android端末が縦向きでもアプリによっては表示が横向きになるようば場合、Android Mirrorアプリケーションで強制的に表示の向きを変えることもできる。

Android端末の表示向きに合わせて、PC上のウィンドウ/表示向きも自動的に変わる。PC上のウィンドウの表示向きを強制的に変えることもできる

 ちなみに、表示の「追従性」や「動きの滑らかさ」だが、DN-84254使用時は「PC側もAndroid端末側も操作に対する追従性も動きの滑らかさも低下する」というイメージ。操作に対して表示の遅延が発生するんですな。たとえば、ページめくりやスクロールなどがややカクカクした印象になるし、動画などの表示はほんの少しコマ落ちしたような見栄えになる。

 ので、DN-84254は「Android端末上で動いているゲームをPC上で遊ぶ」ような用途には向かないと思う。「Android端末上で再生されている動画をPC上で観る」ことなら、まあどうにかギリギリ、イケるような気がするが、反応の速さや十分なインタラクティビティが必要な用途には使いにくい、あるいは、使えないだろう。

なかなか使えるPCからの文字入力とコピペ

 DN-84254にはいろいろな活用法があると思うが、俺的に「これは便利」と感じられたのが、PCからAndroid端末への文字入力と、PC上でのAndroid端末のスクリーンショット取りだ。まずは文字入力から。

 Android端末上で使うアプリにもよるが、PCにつながったキーボードを使ってテキストを入力できる。英語ならカーソルがある位置に直接入力できる。日本語の場合は、入力モードを切り替え、テキストボックスを表示させ、いったんそこに入力し、アプリなどへ渡すというカタチになる。一手間増える感じですな。

英語は直接入力可能。Android端末を操作して入力したときと同様の挙動をする。日本語を入力する場合はテキストボックス経由で入力するので、Android端末を操作した感じとは少々異なる

 テキスト入力は、総じてあ~んまり快適ではない。キーボードからの入力がAndroid Mirrorアプリケーション上に現れるまで、一瞬のタイムラグがあるので、いつもPCで行っているようなテンポの良い入力が行えないのだ。でも、まあ、まずまず実用的だとは思う。

 より便利なのはPC上のテキストのAndroid MirrorアプリケーションつまりAndroid端末へのコピー&ペースト。テキストボックスを経由してのコピペとなるが、いろいろな用途に使えると思う。

PCのウェブブラウザ上のテキストをコピーし、これをAndroid Mirrorアプリケーションのテキストボックスにペースト。次いで[Send]ボタンをクリックすれば、ペーストしたテキストがAndroid端末のアプリに引き渡される

 PC上のテキストをAndroid端末へ送信する方法はいろいろあるが、DN-84254の場合は「ダイレクトにコピペできる」というのが便利。多くのケースで「これまでのテキストデータ送信方法よりステップ数が減る」ように思われる。まあ、送るテキストの量にもよるが、ちょっとした用途の多くをDN-84254でまかなえるような気がする。

ラクにスクリーンショットを取れる♪

 もうひとつ、スクリーンショット。業務用途って感じではあるが、DN-84254を使うとヒジョーにラクにAndroid端末のスクリーンショットを取れる。方法は、Android Mirrorアプリケーションウィンドウ上にある「カメラのカタチのアイコン」をクリックするだけだ。

Android Mirrorアプリケーションではアイコンをクリックするだけでスクリーンショットを取れる。写真右が取ったスクリーンショット

 以前は、Android SDKとかDDMSとかをインストールしてスクリーンショットを取っていたわけだが、そのインストール自体が面倒だし時間がかかった。Android 4.0からは「電源ボタン」と「音量の-ボタン」の同時長押しでスクリーンショットが取れるようになったが、端末内のスクリーンショットをPCに転送するのに一手間かかる。

 DN-84254を使った場合は、PC上でワンクリックだけでスクリーンショットが取れて、その画像はPC上に保存される。ので、非常に手っ取り早くスクリーンショットが得られるし利用できるという印象。仕事でAndroid端末のスクリーンショットを取りがちな人にはとても便利だと思う。

 ただ、DN-84254(Android Mirrorアプリケーション)で取ったスクリーンショットと、Android端末で取ったスクリーンショットは、少々違う。

 まず、Android端末で取ったスクリーンショットは、ヘンな言い方だが、ドットバイドット。表示内容の1ドット1ドットが正確に再現され、画像ファイルとして保存される。

 DN-84254の場合、ウィンドウサイズは任意に調節でき、表示内容もウィンドウに合わせてリサイズされる。DN-84254のスクリーンショットは、そのリサイズした表示を画像として保存するので、Android端末で実際に表示されるイメージとは異なるのだ。これにより、たとえば文字が潰れたり、本来のグラデーションが出ないようなことが起きる。
 ただし、DN-84254のAndroid Mirrorアプリケーションのウィンドウは、Android端末の本来の解像度との比率をパーセンテージで確認できる。PC上の表示を100%調節してスクリーンショットを取れば、Android端末上で取ったスクリーンショットとほぼ同じになる。

左がAndroid端末上で取ったスクリーンショット、右がDN-84254のAndroid Mirrorアプリケーションで取ったもの。どちらもドットバイドットだが、DN-84254で取ったスクリーンショットはグラデーションの滑らかさが少々欠ける

 「ほぼ」というのは、DN-84254でスクリーンショット取ると画質的にほんの少し劣化しちゃったりすることから。しかし、通常の用途なら、まあ比べても「あんまり変わらない」という見栄えだろう。

 むしろ、DN-84254を使ってのスクリーンショットは「得られる画像サイズをあらかじめ調節してから取れる」というのが便利。ウィンドウのサイズを「このくらいでいいかな」と調節して、そのサイズのスクリーンショットを取れる。スクリーンショットを取ってからのリサイズなどの手間が省けるので、もしかしたら多くのケースで「DN-84254で取るスクリーンショットの方がラクでいい」となるかもしれない。

 てな感じで、Android端末がPC上にウィンドウとして現れて扱えるDN-84254。やや対応機種が少なめであり、機能的にも「フツーの人にはさほど必要ない」という感じかもしれないが、非常にユニークであり、ハマれば便利なツールだと思う。興味のある方はぜひ一度チェックしてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。