最新型ポメラことDM100を試してみた!!

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


最新型ポメラことDM100を試してみた!!

 今回はキングジムの「ポメラ DM100」について。2011年11月25日に発売された最新型のポメラで、機種としては第四世代目となる。

 俺の場合、初代ポメラのDM10、その上位機種となるDM20、さらに廉価版ポメラのDM5まで使ったが、最新型ポメラのDM100にはこれら旧機種になかった要素が多々あり興味津々。なので、サクッと実機を拝借してザザッと試してみた。

キングジムの「ポメラ DM100」。メーカー希望小売価格は3万7800円だが、2011年12月現在の実勢価格は2万7000円前後となっている画面は5.7インチTFTモノクロLCD(800×600ドット)でバックライト付き。暗い場所でも表示を問題なく確認できるようになったのだキーボードは「折り畳めないタイプ」。本体サイズは幅26.3×奥行き11.85×高さ2.46cm(突起部含まず)で質量は約399g(電池含まず)

 DM100の特徴は、まず上の写真のようにストレートタイプのキーボードになったこととバックライト付きのモノクロ液晶を搭載したこと。ポメラと言えば折り畳めちゃうメモ書きデバイスという印象だったが、DM100はノートPC的なイメージになった。

 それからBluetooth対応になったり、親指シフト入力を行えるようになったり、SD/SDHCメモリカードに対応したり、CSV形式の表を作れるようになったり、いろいろと追加や変更がある。詳しくはDM100の製品紹介ページ説明書をチェックしてみて欲しい。

 さておき、とりあえずココでDM100試用後の俺的印象を大雑把に述べると「旧機種ユーザーならDM100に乗り換えたくなると思う要素が多い」と感じた。羨ましき最新型、的な。てなわけで以降、ポメラDM100の良さげな機能やイケてた使用感をレポートしてみたい。


DM100は優等生的ハードウェア

 まずはモバイルなハードウェアとしての使用感から。

 DM100のサイズは幅26.3×奥行き11.85×高さ2.46cm(突起部含まず)で、質量は約428g(アルカリ電池を入れての実測値)。薄くて軽い板ですな。バッグに入れやすく収まりも良い。折り畳める従来機種のポメラの携帯性も悪くなかったが、DM100と比べると嵩張る印象はある。DM100は非常にスッキリとスリムに携帯できるポメラだと言えよう。

 ただ、ちょっと開きにくいという印象も。パカッと開けば即電源オンとなる点はほかのポメラと同様だ。DM100の場合はキーボードを折り畳む手間がないのでワンアクションで開いて使えるようになる。んだが、液晶パネル上部が指を引っ掛けにくい形状なので、慣れないと「開くのにまごつく」てな感じ。慣れれば二つ折りケータイ感覚で「開けば即使える」のが快適なんですけどネ。

音楽CDケースとサイズ比較。けっこーコンパクトだ手に持った感じ。滑りにくく持ちやすい形状ですな液晶パネルの形状から、少し開きにくかったりする

 それからキーボード。下の写真のようにマトモ感のある日本語配列キーボードだが、幅25cm×奥行き9cmとやや小型。しかし配列がヘンだとか各キーのサイズが大きく異なるなどの「変態仕様ではない」ので、実際にタッチタイピングしてもすぐに慣れることができた。打鍵感としてはフツーな感じではあるが、キーボード全体の剛性感がやや低い感じ。強く打鍵しがちな人にとっては「やや頼りないキーボード」になるかもしれない。でもまあ、実際には静かに打てるし慣れやすいしで、実用的なキーボードだと思う。

キー配列。マトモな感じの日本語配列ですなこのように少し傾いている。タイプしやすい液晶パネルはこんな角度まで無段階で開ける

 そしてバックライト付きモノクロ液晶。5.7インチで800×600ドットと、なかなか高精細な見栄えだ。やっぱり結局バックライト付きという点が非常にイイですな。当然、バックライトは明るさの調節が可能。暗めの場所でも昼間の屋外でも問題なく使える。ただし消すことはできない。

十二分に明るいバックライトを搭載しているバックライトの明るさは5段回に調節できる電池は単3形×2本。アルカリとeneloopに対応

 ちなみに、電源は単3形アルカリ乾電池×2本もしくは単3形エネループ×2本。アルカリ乾電池使用時は約30時間の連続使用が可能。エネループだと約25時間。バックライト付きなのにバッテリー持続時間も比較的に長く、単3形アルカリ電池は入手性も良いので、電源における心配や不便を感じさせない。

 従来機種と比べるとギミック的な面白さが減少したDM100とも言えるが、実用性がグッと高まった優等生機種に仕上がっていると思う。とは言っても、たとえばキーボードの打鍵感や液晶画面の見栄えなどは、ユーザーによって評価が分かれるところ。携帯感の良し悪しなども含め、店頭などで実機に触れて確かめてみて欲しい。


またネットにツナガラナ~イ!!

 DM100っていうか「次に出てくるポメラ」に対して「Wi-Fi対応くらいにはなって欲しい」と希望的妄想をしていた俺。だが、今度のポメラもやっぱりネットにツナガラナ~イ!! のであり、かなりの残念感をつのらせた。これだけちゃんと書ける端末なのに、スタンドアロンとは寂しい。ポメラからツイートとかしたいよーん、的な。

 しかし実際にDM100を使ってみると、この印象は大きく変わった。DM100がネットにつながってくれたら嬉しいのは同じだが、ネットにつながらなくてもけっこー快適にネット方面利用ができるな、と。

 ポイントはDM100などとiPhoneを連携させるアプリ。俺の場合はDM100を試用して知ったのだが、2010年6月8日からiOS用アプリ「ポメラQRコードリーダー」の無料配布が始まっていたようだ。DM100などが生成するQRコード(中身は文章)をiPhoneなどでスキャン&解読できるアプリですな。

 DM100では最大で全角4800文字のテキストをQRコード化できる。文字数が多いとQRコードが複数生成(最大16)され、読み取りを何度もする必要がある。DM20のときに試したが、当時の環境では「そうとう必要がない限り使わない機能かも」とも思った。

 が、この「ポメラQRコードリーダー」を使ったら考えが一変。アプリのQRコード読み取り速度が非常に速い。また、読み取り時、DM100側の操作も非常にシンプル。DM100などとiPhoneを組み合わせての実用性が物凄く高い。

画面左側にある「QRコードサイドキー」を一押しすればテキストをQRコード化できるQRコードをiPhoneで読み取っている様子。QRコードを自動で認識して自動で読み取るアプリ上にテキストが現れた。QRコードを介してスマホなどに文章を送れるんですな

 上の写真のように、アプリでDM100に表示されたQRコードを撮り、テキストに変換する。読み込まれたテキストはメール本文などとして利用でき、またアプリ上に履歴として200件まで保存しておける。とか文字で書くとなんか面倒っぽいステップを踏む必要があるように見えるが、実際はテキストがスムーズにDM100→iPhone(アプリ)→ネット上に流れていく感覚だ。

 具体的には、DM100でQRコードを表示したら、iPhoneで「ポメラQRコードリーダー」を起動してDM100に向けるだけ、みたいな。iPhoneのカメラがQRコードを捉えたかナ? と思うが早いかQRコードが読み取られてテキスト化される。

 複数のQRコードを読み取らせる場合、次のQRコードを表示させるためにDM100のキー操作が一度加わる。が、アプリ側の読み取り速度が非常に速いので、片手でiPhoneを構えて片手でDM100のキーをポンポンポンと押せば読み取りが進む。複数のQRコードを非常にスムーズかつ素早く読み取れるのだ。

 また、読み取った直後、テキストをメールとして送ることや、ツイートすること、さらにEvernoteに送ることもできる。操作的にも超スムーズで、iPhoneの画面を一度タップするだけで済む。DM100でジックリと文章を作り、さぁデキたと思ったらササッとiPhoneで読み取ってネットに送信という使い方が十分現実的だと思う。

「ポメラQRコードリーダー」のトップ画面。テキストを200件まで保存しておける読み取ったテキストはメールなどのほか、twitterやEvernoteにワンタップで送れるDM100で書いたテキストをクイックにEvernote上に送れるのだ。非常に利用幅が広い

 この使用感、「ポメラQRコードリーダー」の性能の高さと使いやすさがあればこそのものだ。アプリはDM100のみならずDM20/DM2OY/DM11Gでも使える。超高い読み取り速度/性能を誇る「QRdeCODE」アプリに肉薄する性能を持ち、使用感もクイックでスムーズなので、DM100やDM20などと併せてぜひ一度「ポメラQRコードリーダー」を試してみて欲しい。

 なお、DM100はBluetooth対応で、PCやAndroidスマートフォンと連携利用(テキストファイルなどの共有)ができる、ハズなのだが、今回試したところどーにもDM100とほかの機器がBluetooth接続できず玉砕。試用した実機がサンプル機だからかもしれない。後日トライして、うまくいったらまたレポートしたい。


そのほかの便利な機能たち

 ほかにもDM100には多々の便利機能が搭載されている。単純なところで、画面左右にあるサイドキーと、ダイレクトに呼び出せるアプリが便利ですな。

 サイドキーにはBluetooth、QRコード、カレンダー、英語、英和、和英といった文字が振られている。BluetoothはBluetooth接続するためのキーで、QRコードは表示中のテキストをQRコード化して表示するキーだ。

DM100の画面左右には合計6つのサイドキーがある。特定の機能を呼び出す物理的なショートカットボタンだBluetoothサイドキーを押したところ。DM100を無線キーボードとして使うか、ファイルを転送するかを選べるQRコードサイドキーを押したところ。QRコードは一瞬で生成される。待たされ感、モッサリ感などはほぼ皆無だ

 ちょいと良かったのがカレンダー。DM100のカレンダーには、日付メモと呼ばれる「日付ごとに添付できるメモファイル」を作成できる。結局の話、カレンダー上に毎日メモを書き込める感じの、従来機種にもあった機能だ。

 が、これがプチ進化していて、週表示や日表示にすると、書き込んだメモのプレビューを表示できる。ので、たとえばスケジュールをメモ書きしておけば、週表示にして「今週のスケジュールを一望」したり、日表示にしてその日の予定の詳細を見ることができる。日記なんか書くのもよさそうですな。

カレンダーを月表示にしたところ。日付メモを登録したところに「●」が表示されるカレンダーを週表示にすると、日付メモの内容がカレンダーの上にプレビューされるカレンダーを日表示にすると、さらに詳細な日付メモの内容をプレビューできるのだ

 英語、英和、和英といったサイドキーは、「明鏡国語辞典MX」「ジーニアス英和辞典MX」「ジーニアス和英辞典MX」といった辞書を使うためのキー。文書作成中に英語/英和/和英の電子辞書を使って語句を調べられ、その結果をコピペして文章内に引用することもできる。これら辞書類、使用感がなかなか良い。軽快に動くし、わかりやすい。作成している文章のなかにある単語を選択し、サイドキーを押せば選択した単語の意味などを各辞書でサクッと調べられたりもする。

作成/表示中の文章にある単語を選択すれば、その語句をすぐに各辞書で調べられる単語選択後に、国語サイドキーを押したところ。瞬時に単語の意味を調べられるのだ電子辞書の表示は、コピー&ペーストして利用できる。もちろん全文をコピーできる

 ほか、2つのテキストを同時に開くことができたり、フォルダを使ったファイル管理を柔軟に行えたり、行間の調整やフォントサイズ設定も容易だったり、縦書きが可能だったり、「1行○字詰め」の原稿を書くときに便利な機能があったり、イロイロと実用性が高まった最新ポメラのDM100。万人向けというイメージの製品ではないものの、必要最小限の機材で十分快適にテキストを書きたいと思う人なら要チェックのモバイルメモガジェットですな。

 個人的には前述のQRコード。以前は「キングジムらしい工夫から生まれた機能」だと感心していた程度だったが、「ポメラQRコードリーダー」アプリで利用すると、なんかこうDM100の主要機能と考えちゃうほど実用性が高いと感じる。iPhoneユーザーの人は、このアプリをインストールしてから店頭に実機チェック&アプリ使用感チェックをしに行くとおもしろいのではなかろうか。

2011/12/12 06:00