iPhone/iPad/iPod touch向け無線式ワンセグチューナー

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


iPhone/iPad/iPod touch向け無線式ワンセグチューナー

 つい最近アイ・オー・データから発売されたワイヤレスワンセグチューナー「SEG CLIP mobile(GV-SC500/IP)」を購入した。このニュースを読んでの予約購入なり。

アイ・オー・データのワイヤレスワンセグチューナーSEG CLIP mobile(GV-SC500/IP)。アイオープラザでの直販価格は1万800円

 SEG CLIP mobileはiPhoneなどに対応するワンセグチューナーで、その名のとおりiPhoneなどとワイヤレス接続して使える。具体的な対応機種は、iPhone 3GS以降、iPod touch 2G以降、iPad、iPad 2となる。これらの機種と無線LAN(IEEE 802.11b/g)で接続してワンセグ放送を観られるってわけですな。

 それからSEG CLIP mobile、iPhoneやiPod touchへ給電できるバッテリーとしても機能する。SEG CLIP mobileが満充電の場合なら、iPhone使用可能時間を約30%程度延長できるそうだ。容量的に緊急用てな印象!?

 無線式のワンセグチューナーで、iPhoneなどへの充電も可能ってあたり、ソフトバンクから出ているiPhone用ワンセグチューナーの「TV&バッテリー」によく似ている。が、SEG CLIP mobileは非常に小型軽量。スマートに常時携帯できる製品なのだ。

サイズ(約寸)は幅85×高さ41×厚さ11mmで、質量は約50g。ループ部分はアンテナになっているiPhone 4と並べてサイズを比べてみた。SEG CLIP mobileはガムのパッケージ的なサイズですな専用バッテリーGV-SC500BAは本体背面のフタを開けて交換可能。バッテリーの価格は3100円だ

 非常にコンパクトで常時携帯も楽勝な雰囲気。専用バッテリーは別売もされていて交換可能ってあたりもナイス。iPhone 4でワンセグ観たい欲が高まっている拙者において、さて、どのくらい役立つのか? 以降、SEG CLIP mobile購入理由を述べつつ、その機能や使用感などをレポートしてみたい。

 

SEG CLIP mobileを買った理由

 な~んで拙者がSEG CLIP mobileを買ったかと言うと、拙宅室内ではワンセグの電波状況がかなり悪いから。ワンセグを受信可能な機器はいくつかあるが、たとえばソニーのワンセグ対応AM/FMラジオXDV-G200でも窓際でないと受信できないのだ。このXDV-G200、けっこー受信感度イイんですけどねぇ。

 てか、家のなかならワンセグじゃなくて地デジとか観れば? とか思うでしょ。普段はそうしている。のだが、震災後の輪番停電時、停電しちゃうと地デジとか全然観られないってコトが判明。だいたいテレビの電源がなくなるし、アンテナもブースター経由で使っているし、停電時にテレビ放送観て情報を得るにはやっぱりワンセグだなぁ、と。

 じつは、そう考えてバッファローの「ちょいテレi」ことDH-ONE/IPを買ったんだが、これも窓際じゃないと使えなかった。前述のXDV-G200より感度が低いのか、窓際~窓の外でもテレビ埼玉しか受信できなかったりする。

 結局、XDV-G200もちょいテレiも、停電時拙宅室内における情報収集のためのワンセグ視聴には向かないのであった。窓際で立ちっぱなしってのも……ね。

 そこでSEG CLIP mobileですよ!! これならSEG CLIP mobile本体を窓の外とかに出して、ワンセグ視聴は室内でデキるかも!! [SEG CLIP mobile]……無線LAN……[iPhone]&[ワンセグ]→[俺]!! これだチューナーだけ窓付近で室内に俺鎮座&ワンセグ視聴!! とキタコレ顔で予約注文したんですけど、結果としては玉砕。

 SEG CLIP mobileも窓際でどうにかワンセグ視聴ができたという程度で、やっぱりテレビ埼玉しか受信できなかった。まあテレビ埼玉を「室内で座って視聴できる」だけ進歩したと言えばそうだが……。

 てなわけで、これ以降の記事では、室内でもワンセグ受信できたりする環境下でのSEG CLIP mobileレポートを。この記事の下のほーの「室内で強引にワンセグを観る!!」の項で紹介している方法を使った。ので、以降のスクリーンショットが少々風変わりなチャンネル表示になっているかもしれない。

 

迷わず使える単純明快さ

 前述のとおり、SEG CLIP mobileは無線LANで本体とiPhoneなどをつなげてワンセグ番組を視聴する機器。なので、購入したら(まず充電してから)iPhoneなどと無線接続する必要がある。また、iPhoneなどiOSデバイスでSEG CLIP mobileを扱うためのアプリのインストールも必要だ。けど、ぶっちゃけ、簡単っす。

(1)SEG CLIP mobileの電源をオンにしたら、iPhoneなどの設定からWi-Fiの項目にアクセスする。Wi-FiアクセスポイントをSEG CLIP mobileに変更するのだ(2)SEG CLIP mobileの電源が入っていれば、このようにアクセスポイントとしてSEG CLIP mobile本体がすぐに発見されるハズ。この項目を選ぶだけでOK(3)SEG CLIP mobileはパスキーなどを必要としないオープンなアクセスポイントなので、選ぶだけで接続が完了する。一度につなげられる端末は1台のみ
(4)次いで専用アプリを起動。アプリはiPhone用にSegClip、iPad用にSegClip for iPadがある(5)SegClipアプリを起動中。自動的にSEG CLIP mobile(デバイス)へと接続する(6)初回起動時や必要時、チャンネルの探索を行う。受信可能な局を探すんですな
(7)その結果、このように受信可能なチャンネル一覧が表示される。あとは観るだけ(8)iPhone 4(SegClipアプリ)での番組表示例。字幕表示もOK。録画などには非対応(9)コントロール表示はタッチすると現れ、しばらくするとこのように消える

 SEG CLIP mobileとiPhoneなどを無線LANで接続し、アプリを起動して受信可能な局を探索し、あとは局を選んで視聴するだけって感じですな。二度目以降のアプリ起動時、放送局リストは前回のものが引き継がれる。が、受信場所が大きく変わった場合、再度チャンネル探索が必要になる。

 一見面倒そうなSEG CLIP mobileとiPhoneなどの無線接続だが、iPhoneなどでWi-Fiアクセスポイントの設定をしたことがあれば迷うことはないだろう。アクセスのためのパスキーなども不要なので、「SegClipXXX……(Xは数値)」と名のついたアクセスポイントを「選ぶだけ」でつながる。

 SEG CLIP mobileで受信したワンセグ放送をiPhoneなどで観るためのアプリは2種類ある。iPhone用にSegClip、iPad用にSegClip for iPadが用意されている。どちらも無料でダウンロードできる。

 ただしこれらのアプリ、ワンセグを観ることしかできない。録画、予約録画、予約視聴といったことはできない。字幕表示や表示サイズ変更などには対応しているものの、結局は番組を観られるだけのアプリとなる。録画派には残念なところだが、観られればイイという人にとっては機能や操作のシンプルさ容易さに好感が持てる。

 なお、上のスクリーンショットはiPhone用のSegClipアプリのものだが、iPad用のSegClip for iPadアプリとは少々使い勝手が違う。iPhone用はチャンネル一覧が縦画面表示のみで、番組は横画面表示のみと、なんかこうちょっと使いにくかったりする。iPad用ではどのモードでも縦横表示対応で、細かい部分が使いやすく作り込まれているという印象だ。

iPad用アプリのSegClip for iPadでの表示例。チャンネル一覧と番組を一望できるより文字数の多いEPG表示を行える。ほかの項目と同時に見られるのが便利だ全モードで縦表示にも対応。ただしリストなどの操作性がすこ~しだけ変わる
iPhone用SegClipアプリと同様、iPad用SegClip for iPadアプリでも、表示サイズを3通りに切り替えられる。

 てな感じ。iPadの画面サイズと解像度だと、ワンセグという印象よりも、小型画面のアナログテレビというイメージで、かなり観やすい。それと、SEG CLIP mobileはUSB充電だが、充電しながらの使用も可能。iPadをApple iPad Dockに乗せて充電しつつ、SEG CLIP mobileも充電しつつ、いつも使えるわりと画面の大きなワンセグテレビとして活用するのも良さそうだ。

 

ひとり1台、ワンセグ周辺機器……!?

 SEG CLIP mobileを使ってみて感じるのは、やはりiPhoneなどの本体とケーブルなどで接続しないで使えるスッキリ感。やっぱワイヤレスっていいわ~♪ 的な開放感がある。

 その一方で、SEG CLIP mobile使用時にはその都度、iPhoneなどのWi-Fi接続設定をSEG CLIP mobileに対して行わないといけない不便もある。でもまあ画面上でポポンと操作するだけだし、実質、大した手間にはならない。

 満充電からの使用可能(ワンセグ視聴)時間は約4時間で、通勤通学などにガンガン使うとなるとビミョーにスタミナ不足って気がする。ややハードに使うと毎日充電必須ですな。ただ、前述のとおり、専用バッテリーGV-SC500BAは交換可能。予備を購入すればスタミナ不足は補えるだろう。

 アプリは、まあ必要最低限の機能しかないものの、それで十分とは言える。シンプルで使いやすいとも思う。……が、やっぱり録画/予約録画できたりすると嬉しい。アプリのバージョンアップとかで録画対応になったりしないのだろうか?

 てな感じで細かい部分にアレコレ思う次第だが、それ以前に、震災以降、この手のハードウェア~環境は、ひとり1台確保したほーがいいよなぁと思うようになった。ご存知のとおり、震災時のワンセグ対応端末の役立ちっぷりったら大したモンであった(と多数の方から聞いている)。停電時など非常時の情報源としても有用だし実用的ですな。

 とは言っても、ワンセグ専用ハードってモノがあまりないし、震災後は売れまくりらしくてまだ一部商品で品薄が続いていたりする。しかし考えてみれば、非常時だけワンセグが使えればイイってケースも多いハズ。

 そう考えると、SEG CLIP mobileのような、汎用的なハードウェア/端末にワンセグ受信機能を追加する安価なオプションは現実味がありますな。SEG CLIP mobileのようなサイズ/質量なら、もしものときのために常時携帯するのも現実的。SEG CLIP mobile以外にもけっこーイロイロな「ワンセグを観られるようになる周辺機器」があるので、防災~危機管理の観点からそういった製品を考えてみるのも興味深いと思う。

2011/7/4 06:00