360度なbloggieを使ってみた!!

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


360度なbloggieを使ってみた!!

 今回のブツはソニーのモバイルHDスナップカメラbloggie。「ブロギー」ですな。MP4形式のHD動画および500万画素の静止画を撮れる映像ガジェットだ。2機種あり、回転レンズ式のbloggie MHS-PM5Kと、ベーシックなシューティングスタイルのbloggie MHS-CM5となる。

ソニーのbloggie、MHS-PM5K。回転式レンズを備えたわりとカジュアルな感じの機種で、付属の「360ビデオレンズ」を使えばパノラマ動画/静止画撮影も可能。2010年2月現在の実勢価格は2万3000円前後ソニーのbloggie、MHS-CM5。ベーシックな縦型シューティングスタイルの機種。光学5倍ズームレンズを搭載する2010年2月現在の実勢価格は2万6000円前後

 その名前からも何となく想像がつくように、bloggieはネット接続をやや前提にしたビデオカメラですな。bloggieで静止画/動画を撮ってサクッとYouTubeとかにアップして、カンタンにみんなと共有、みたいな。

 とは言っても、もちろんスタンドアロンで撮って観ることもできるし、撮った静止画/動画をPCなどに転送して再生することもできる。お手軽カンタンに携帯して使える低価格なビデオカメラで、ネットへのアップロードもラク、てな製品である。

bloggie MHS-PM5Kを手に持ったところ。サイズは幅19×高さ108×奥行き54mmで質量は約130g。ケータイやポータブルオーディオのような携帯性だbloggie MHS-CM5を持ったところ。サイズは幅39×高さ101.4×奥行き67.1mmで質量は約196g。やや厚めのコンパクトデジカメ、てな携帯感である記録メディアは、両機とも内蔵メモリ約26MBおよびメモリースティックPROデュオ(MARK 2)/メモリースティックPRO-HGデュオ……に加えて!! ナンとソニーなのにSD/SDHCメモリーカードにも対応する

 両機共通の基本スペックとしては、1/2.5型のCMOSセンサを搭載し、静止画の有効画素数が約503万(2592×1944ピクセル/アスペクト比4:3)、動画の有効画素数が約207万(1920x1080ピクセル30p/アスペクト比16:9)。記録メディアは内蔵26MBメモリに加え、メモリースティック(PROデュオ/PRO-HGデュオ)やSD/SDHCメモリーカード(!!)に対応する。両機種とも顔検出や手ブレ補正(電子式)などの機能を持ち、デジタル4倍ズームが使用可能(MHS-CM5は光学5倍ズームも使える)。

 また、両機種とも本体内に動画/静止画アップロードに適したPMBポータブルアプリケーション(Windows/Macintosh対応)を内蔵する。あらかじめソフトをインストールしていないPCでも、bloggieをUSB接続すればこの内装ソフトが使えて、撮った画像を動画共有サービスサイトなんかにサクッとアップロードできるというわけだ。

 ほか、細かなスペックはココにあるとおりだが、ぶっちゃけた話、両機ともビデオカメラとして見ると凝った機能などはない。たとえば動画のビットレートや静止画の圧縮率などは固定だったりする。あくまでも手軽さを追求し、仕様も簡素になっているというイメージ。

 でもガジェットとして使いやすそうだしおもしろそう……てなわけで、早速このbloggieの回転レンズ式のほー(MHS-PM5K2)を試用してみた。以降、その使用感などを書いてみたい。

気楽に撮れてUPできる、回転レンズ式bloggie

 まず、触り始めてイキナリ感じることは、ほとんど迷うような部分がナイということ。誤解を恐れずに言えば、ケータイの動画撮影機能……よりも手早く使えるという印象がある。

 たとえばレンズをクリッと出すと電源が入る(電源ボタンを押してもOK)。で、液晶右上~その横にあるボタン類を操作すれば撮影できる。起動も速いしボタン数も少ないしで、わかりやすさとともに手っ取り早く撮影できる。

オフ状態。レンズは下向きで格納(保護)されているレンズを起こすと電源が入る。レンズは向こう側~手前まで回転し、自分撮りなんかもラクだ撮影に使うボタン類は本体手前右側に集まっている。電源ボタンを使えばレンズを起こさずとも起動できる

 メニューも非常にシンプル。下の写真のとおりだが、デジカメやビデオカメラの機能設定をしたことのある人なら、全メニューを見る/設定するのに5分とかからないだろう。

静止画サイズは、5M(約500万画素/2592×1944ピクセル)、4M(約400万画素/2592×1728ピクセル)、3M(約300万画素/2048×1536ピクセル)、2M(約200万画素/1920×1080ピクセル)、VGA(640×480ピクセル)から選べる動画撮影モードは、1080/30p(1920×1080ピクセル30p/16:9)、720/60p(1280×720ピクセル60p/16:9)、720/30p(1280×720ピクセル30p/16:9)、VGA/30p(640x480ピクセル30p/4:3)から選べる。720/30pおよびVGA/30pを選んだときのみ、電子式手ブレ補正機能を使える電子式手ぶれ補正が使える解像度(720/30pとVGA/30p)の場合、この手ブレ補正のオンオフメニューが現れる
顔検出(顔認識)のオンオフほかの機能設定はさらに一階層下のメニューから行う。これは蛍光灯などのフリッカー低減をするかどうか操作音の有無や液晶の明るさなど本体の基本設定
メモリ関連のメニュー時刻設定メニュー操作は液晶画面下部のボタンと押下可能な4方向ボタン(スティック)で行う

 レンズ開いたらすぐ起動し、直後に撮影可能。非常にカジュアルに使えるbloggie MHS-PM5Kだが、PCとの接続も容易だ。

 具体的には、本体下部のスライドを動かすとUSBのオスコネクタがせり出す。ので、コレをPCにつなぐだけ。PC側のUSBコネクタ周辺の状況でbloggie MHS-PM5KのUSBコネクタを直接挿せない場合は、付属のUSB延長ケーブルを使う。

 PCとUSB接続すると、bloggie MHS-PM5K内蔵のPMBポータブルアプリケーション(Windows/Macintosh対応)を使って動画/静止画を再生したりPCに保存したり、あるいはネット上にアップロードすることができる。

本体底面にはスライド式のレバーがある。これをスライドさせるとUSBコネクタが出てくるのだこのようにUSBのオスコネクタが現れる。このままPCに接続USBコネクタの形状などからPCのコネクタへうまく挿せない場合、付属の短いUSB延長ケーブルを使用する
bloggie内にあるアプリ、PMB Portableを起動したところ動画や静止画の再生、PCへの取り込みを行える動画などを選択し、アップロード先(動画や静止画の共有サービスサイト)を選び、IDやパスワードを入力する程度でネットへのアップロードを完了できる

 本体内にこのアプリが入っているので、あらかじめアプリをインストールしていないPCでも動画アップロードなどが行えるという点も手っ取り早いですな。アップロード自体もカンタン。ネットへの動画投稿などをしたことがない人でも容易に行えるだろう。ちなみに、PCとUSB接続すると、bloggie本体は充電される。

360ビデオレンズは超楽しい!!

 bloggie MHS-PM5Kの大きな魅力のひとつは、付属の“360ビデオレンズ”だ。このレンズをbloggie MHS-PM5Kに装着して撮影すると、ナンと“360度のパノラマ動画”を作れちゃう。もちろん360度パノラマ静止画もOK。

 またそのパノラマ画像は、クリックした方向を自由に見ることができる。なんつーか動画/静止画内をバーチャルに視点移動して鑑賞できるのである。……ちょっとイメージしにくいと思われるので、とりあえずソニーの製品紹介ページでそのイメージを掴んでみておくんニャさい。

 ただし、パノラマ画像を作るにはPCにPMB(Picture Motion Browser)ソフトウェアをインストールする必要がある。

bloggie MHS-PM5Kに付属する360ビデオレンズ装着したところ。この状態だと、水平方向360度を一度に撮影できる撮影結果はこんな状態。丸いんですな。これをPMBで変換するとパノラマ動画/静止画として観られるようになる
変換したい動画などを選び、PMBの活用メニューから360ビデオコンバートツールを選んで処理(.wmv形式などへの変換)をする出来上がったパノラマ動画。PMB上でしかパノラマ再生できないが、動画を360度どの方向でも見られるのは新鮮。ソニーのサイトでそのイメージが掴めるだろう360ビデオレンズを付けて静止画を撮れば、このようなパノラマ写真も作れる。ただし適切な再生はPMB上のみで可能となる

 とりあえず、そーとー楽しい!! 撮った映像をどんなふうに見られるかが興味深いし、アレもコレもと試してみたくなるパノラマ撮影ですな。いろいろ発展の余地がありそうでもある。

 こんなコトして遊べちゃって、えーと、実勢価格2万3000円前後でしょ……買うかも!! とか一瞬思っちゃいがちなんだが、若干注意が必要かも!?

 上の丸い画像(動画/静止画)は、PMBアプリで変換すると、横長のパノラマ画像になる。で、これをPMBアプリ上の360ビデオプレイヤーで再生すると、見る方向を自由に動かせるパノラマ画像として楽しめるようになる。

 んだが、見る方向を自由に動かしつつ鑑賞できるパノラマ再生を行えるのは、基本的にPMBアプリの360ビデオプレイヤーからのみということ。また、このPMBアプリのMac版では、丸い映像からパノラマ映像を作ることができないので、結局、Macじゃ上記のインタラクティブ風なパノラマ映像体験ができないのだ。

 あ。それから、当然ではあるが、360ビデオレンズを使って撮った丸い映像、bloggie上では丸いまんま再生される。bloggie上ではパノラマ画像への変換は行えない(PCに転送/PMBでの処理が必須)んですな。

画質は……価格相応!?

 ヒッジョーに手軽に扱えるし、何しろ360度パノラマ画像を楽勝で撮れて遊べるbloggie MHS-PM5K。実勢価格2万3000円前後ってのも手を出しやすいですな。

 ただ、要注意っていうか理解しておくべきってか心得ておきたいのが、その画質。具体的な画質の評価はAV Watchで見ることができるのでご参照いただきたい。

 で、bloggie MHS-PM5Kの画質、ビデオカメラというモノとして拙者的観点で評価すると、んむむむ~、高画素デジカメ搭載ケータイのそれよりはイイ気がするけど……高画質とは言い難い。低画質ってわけではないが、キレイに残すとか素材として撮るってのとは方向性も質も違いますな。

 また、撮影機材的な側面でも、高機能とか高性能は求められない。機能面は前述のとおりで、ま、これは手軽さを重視していて実際にチョー手軽に扱えるから良いと思う。が、性能面で「これはビデオカメラなの?」と問われたら思わず「いやあのビデオというのとはまたちょっと別方向のキカイでぇ」的にフォローしいそうである。

 たとえば、動画の720/30pとVGA/30pで機能させることができる電子式手ブレ補正だが、今時的ビデオカメラと比べたら補正されてるかどうかわかんない的な効きだ。液晶画面の視野角もミョーに狭く、視線と直交させないと快適には見えない感じ。それに……と、ビデオカメラとして考えちゃうと「コレはちょっとな~」的難点が多々見えてきたりするのだ。高画質とか手軽に綺麗なHD映像とかそーゆーコト考えるなら、値段の差はあっても絶対ハンディカム買った方がいいスよ、みたいな。

 しかし、それでも魅力を感じるbloggie MHS-PM5K。360ビデオレンズのオモシロさもあるんだが、何よりポケットからサッと出してザッと撮ってPCにUSB接続してスコッとネットに動画UPできたりするのがイカス。実質、起動~撮影~PC接続&ネットへの転送がマジ速攻で可能なことと、携帯と使用におけるフットワークの軽さはbloggie MHS-PM5Kならではだと感じる。

 たとえば……体験したコト行ったトコロ見たモノ等々、アレコレ考える前にまず動画でスナップしちゃって、とりあえずYouTubeとかにアップしちゃって、あとはチョチョッと文章書いて動画エンベッドしてブログエントリ量産、てなシチュエーションを想定したら、bloggie MHS-PM5Kは最強に便利だろう。

 もーね、そういうケースだと機能だの性能だのってより、ライブ感ですしネ。即撮ってナンボ、みたいな。また、ビデオカメラとかデジカメとかに比べたらイマイチ画質のbloggie MHS-PM5Kとは書いたが、ブログのエントリ用やYouTubeでサラッと見せる動画/静止画としてなら十分な画質と言える。ともあれ、ユーザーのそういうスピードに付いてきて、足手まといにならず役立つ映像ガジェットが、bloggie MHS-PM5Kだと思うのだ。

2010/2/22 06:00