法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

第2世代ダブルレンズカメラで進化を遂げたHUAWEI P10&P10 Plus

国内向けに発表された「HUAWEI P10Plus」(左)と「HUAWEI P10」。ボディやディスプレイ、バッテリー容量などが異なるが、基本的な仕様は共通

 今年2月、スペイン・バルセロナで開催されたプレスカンファレンスにおいて、グローバル向けに発表されたファーウェイのフラッグシップモデル「HUAWEI P10」「HUAWEI P10 Plus」がいよいよ国内向けにも発表された。ライカとの協業によるダブルレンズカメラで、国内でも大ヒットを記録したHUAWEI P9の後継モデルに位置付けられる。ひと足早く実機を試すことができたので、その内容と仕上がりをチェックしてみよう。

オープン市場をリードするファーウェイ

 ここ数年、国内のモバイル市場はMVNO各社が提供する「格安SIM」が注目を集め、昨年あたりからは「サブブランド」キャリアも攻勢を強めてきたことで、SIMフリー端末を中心としたオープン市場が急速に拡大している。当初、SIMフリー端末を求めるのは、ごく一部のリテラシーの高いユーザーが中心と言われてきたが、最近ではごく普通のユーザーがSIMフリー端末を手にしたり、SIMフリーでしか販売されていないモデルを目当てに大手キャリアから移行するユーザーも増えてきている。

 そんなオープン市場において、常に高い人気を得ているのがファーウェイだ。ファーウェイは国内市場において、大手キャリア向けにスマートフォンやタブレット、モバイルWi-Fiルーターなどを供給する一方、スマートフォンとタブレットについては国内のオープン市場にも積極的で、魅力的な製品を相次いで投入し注目を集め続けている。なかでも特徴的なのが、はじめてスマートフォンを手にするようなエントリーユーザー向けのコストパフォーマンスの高い製品だけでなく、他社製品にはない特徴を持つハイエンドスマートフォンも販売し、高い人気を得ている点だ。

ファーウェイ「HUAWEI P10 Plus」、約153.5mm×74.2mm×6.98mm、約165g。グリーナリー(写真)、ダズリングゴールド
ファーウェイ「HUAWEI P10」、約145.3mm×69.3mm×6.98mm、約145g。プレステージゴールド(写真)、ダズリングブルー、ミスティックシルバー、グラファイトブラック

 今回発表された「P10」「P10 Plus」は、これまでファーウェイが販売してきたフラッグシップモデル「Pシリーズ」の最新モデルであり、昨年、ライカとの協業によって開発されたダブルレンズカメラの搭載で、各方面から高い評価を得た「P9」の後継モデルに位置付けられる。

 前世代ではフラッグシップの「P9」と同時に、普及モデル「P9 lite」が国内向けに投入されてが、今回はフラッグシップとして、ダブルレンズカメラを搭載したP10とP10 Plusの2機種をラインナップ。あわせて、コストパフォーマンスの高い「HUAWEI P10 lite」の国内投入も発表された。5月30日には、10.1インチの2Kディスプレイを搭載したタブレット「MediaPad M3 lite 10」も発表されている。本稿では「P10」「P10 Plus」を中心に解説しよう。

MediaPad M3 lite 10
10.1インチの2Kディスプレイを搭載した「MediaPad m3 lite」
底面にもスピーカーを備え、クアッドスピーカーの構成で映像や音楽を楽しめる
指紋認証センサーはP10 PlusやP10と共通のものを採用。これもナビゲーションキーの役割を設定することが可能。
LTEモデルもラインナップ。SIMカードはnanoSIMに対応し、本体側面にSIMカードトレイを備える。microSDメモリーカードと排他利用だが、デュアルSIMも利用可能。

カラーバリエーションによって違う2つ仕上げ

 今回発表されたP10とP10 Plusだが、ディスプレイサイズやカメラのレンズなど、一部を除いて、基本的なデザインやスペックはほぼ共通したモデルとなっている。

 まず、メタル素材が採用されたボディは、従来のP9に比べ、ボディ周囲の角の曲線をより丸くするなど、デザインを一新している。前面にディスプレイ、右側面に音量キーと電源キー、左側面にDSDS(2回線同時待受)に対応するデュアルSIMカードスロット、下面にUSB Type-Cの外部接続端子、3.5mmのイヤホンマイク端子を備え、背面にはP9から継承したダブルレンズカメラがレイアウトされている。外見上、もっとも異なるのは前面に備えられた指紋認証センサーで、後述する設定の変更により、ナビゲーションキーと同じ役割で使うことができる。

P10 Plus(左)は約5.5インチ、P10は約5.1インチのディスプレイを搭載。幅が約3mm、高さが約5mm違うが、手に持ったときの差はあまり大きくない
P10 Plus(下)とP10の厚さは同じ。どちらもUSB Type-C端子、3.5mmイヤホンマイク端子を備える

 ボディの大きさは約5.5インチディスプレイを搭載した「P10 Plus」が幅74.2mm、約5.1インチディスプレイをの「P10」が幅68.3mmに抑えられている。両機種とも厚さ6.98mmというスリムボディとも相まって、非常に持ちやすく、扱いやすい。

 P10 Plusは同サイズのディスプレイを搭載するiPhone 7 Plusに比べ、幅で3.7mm、高さで4.7mmもコンパクトにまとめられている。それでありながら、バッテリーは3750mAhと大容量のものを搭載し(iPhone 7 Plusは2900mAh)、標準的な利用で約2日間の電池持ちを実現している。今回の試用中でも他のスマートフォンに比べ、バッテリー残量の減りが緩やかだった印象だ。P10は3200mAhの大容量バッテリーを内蔵し、こちらも標準的な利用で約1.8日の電池持ちを可能にするという。両機種ともコンパクトなボディに仕上げながら、バッテリーは十分な性能を確保していると考えていいだろう。ちなみに、充電は従来同様、急速充電に対応し、付属のACアダプターを利用することで、35分の充電で約1日程度の利用が可能になるとしている。

すっきりとした背面のデザイン。ダブルレンズカメラとファーウェイのロゴが目を引く
同梱されているカバーを装着した状態。クリアカバーなので、本体カラーをしっかりと見える

 また、ボディで特徴的なのは、カラーバリエーションによって仕上げが異なる点だ。今回試用したモデルはいずれもマットな表面のサンドブラスト仕上げだが、P10 Plusの「ダズリングゴールド」、P10の「ダズリングブルー」は細かい模様のような仕上げを施したハイパーダイヤモンドカット仕上げが採用されており、指紋の跡やキズが付きにくいだけでなく、これまでの機種とは違った独特の触感が楽しめる。また、P10 Plusの「グリーナリー」とP10の「ダズリングブルー」はPANTONE社とのコラボレーションによって選ばれたトレンドカラーとされる。ちなみに、パッケージには同社のP9 liteやnovaなどと同じように、樹脂製カバーが同梱されており、購入直後からキズを付けないように、カバーを装着して利用できる。

 ディスプレイはP10 Plusが1440×2560ドット表示が可能な約5.5インチの2K対応ディスプレイ、P10が1080×1920ドット表示が可能な5.1インチフルHD対応ディスプレイを搭載する。ディスプレイ面を覆う2.5Dガラスは、Corning社の「Gorilla Glass 5」(ゴリラガラス4)を採用。従来のGorilla Glass 4に比べ、落下強度を80%向上させているという。

 P10 Plusの2K(WQHD)対応ディスプレイはファーウェイの国内向けスマートフォンとして、最高スペックという位置付けになる。2Kディスプレイはグローバル向けで争うライバル機種が国内向けにも各携帯電話会社から供給されているが、それらと張り合うだけのスペックを実現したことになる。ディスプレイそのものの視認性については非常に良好で、カメラで高解像度の写真を撮影できることを鑑みてもメリットは大きいと言えそうだ。解像度が高くなった分、当然のことながら、ディスプレイ(主にバックライト)の消費電力が増え、連続稼働時間が短くなることも懸念されたが、今回、短い期間ではあるものの、試用期間中にバッテリー消費の多さに困るようなことはなかった。

P10 Plus(下)とP10はSIMカードトレイの位置などもまったく同じ
P10 Plus(下)とP10の右側面のデザイン。電源ボタンの位置なども同じ
P10 Plusの底面。3.5mmイヤホンマイク端子、USB Type-C端子を備える
P10の底面も3.5mmイヤホンマイク端子、USB Type-C端子を備える
右側面には音量キーと電源キーを備える。電源キーには切りかけがつけられているので、手触りもわかりやすい
右側面には電源キー、音量キーを備える
P10(左)とP9のボディはほぼ同じサイズだが、ボディの角の処理が異なり、P10の方が少し丸みを帯びている
P10(手前)とP9のカメラ部分。基本的に同じレイアウトで同じデザイン
P10 Plusのパッケージ同梱品。背面のクリアカバーも標準で同梱。画面の保護フィルムも出荷時に貼り付け済みなので、購入後、すぐに利用できる

新しいユーザビリティを実現する指紋認証センサー

 今やミッドレンジ以上のスマートフォンではほぼ標準装備となりつつある生体認証だが、ファーウェイは比較的早くから指紋認証センサーを搭載し、同社の定番機能のひとつとして定着していた。前モデルのP9やMate 9をはじめ、これまでのモデルでは主に背面の中央やや上の位置に指紋認証センサーが備えられていたが、P10 PlusとP10では本体前面のディスプレイ下に移動している。

 P10 PlusとP10に搭載されている指紋認証センサーは、金属リングがなく、本体前面のボディカラーと同じカラーで統一された楕円形で、本体前面が少し凹んだようなデザインに仕上げられている。最近のAndroidスマートフォンで言えば、モトローラのMoto G5 Plusなどと同様の仕上げだ。

指紋認証センサーはタッチ式を採用。ナビゲーションキーの機能を割り当てることも可能。その場合は画面内のナビゲーションキーの部分がなくなり、表示領域が拡大する
P10のタッチ式指紋認証センサー。こちらも同じようにナビゲーションキーの機能を割り当てられる。
指紋認証センサーにナビゲーションキーを統合することが可能。ナビゲーションキーの各キーの並びも変更可

 P10 PlusとP10の指紋認証センサーは単に指紋認証でロックを解除するだけでなく、設定を変更することにより、Androidスマートフォンの標準的なユーザーインターフェイスであるナビゲーションキーの動作を再現することが可能だ。具体的には指紋認証センサーの中央をタップすると[戻る]キー、長押しすると[ホーム]キー、左右にスライドすると[履歴]キーの操作が利用できる。Googleアシスタントで利用する[ホーム]キーの長押しについては指紋認証センサーの横あたりの画面端から上方向(画面内側)に向かってスワイプすると起動する。この設定変更により、画面内にはナビゲーションキーが表示されなくなるため、その分、画面を広く使うことができる。

 逆に、ナビゲーションキーを画面内に表示する場合についても[戻る]キー、[ホーム]キー、[履歴]キーの割り当てを変更できるようにしている。画面が広いことを考慮し、画面最上段から下方向へのスワイプで表示するクイック設定パネルを簡単に開くことができるボタンも追加できる。他機種からの乗り換えの場合も変わらない使い勝手をできるだけ再現できるようにしているわけだ。

 スペックについては両機種とも基本的には共通で、ファーウェイ傘下のHiSilicon製のオクタコアCPU「Kirin 960」に、4GBのメモリと64GBのストレージを搭載。最大256GBのmicroSDメモリーカードの追加することが可能だ。メモリについては独自の「Huaweiウルトラメモリ」という機能が搭載されており、機械学習により、動作メモリの配分を最適化し、よく使うアプリの起動を30%高速化できるという。

 プラットフォームは出荷時にAndroid 7.0 Nougatがプリセットされ、ホームアプリはファーウェイ端末でおなじみのEMOTION UI(EMUI)5.1が設定される。EMUI 5.1には2つのホームが用意されている。ひとつは従来からファーウェイ端末に搭載されていた「標準」で、すべてのアプリがホーム画面とその続きに並ぶ仕様となっており、アプリ一覧を表示するためのボタンなどはない。これに対し、多くのAndroid端末で採用されているものに近いのが「ドロワー」で、こちらはホーム画面にアプリなどのショートカットを貼り付け、ドロワー画面(アプリ一覧画面)にアプリがすべて表示される仕様だ。好みは人それぞれなので、どちらがわかりやすいと一概に言えないが、どちらかと言えば、「標準」の方がはじめてのユーザーにもなじみやすいと言えるかもしれない。

ホーム画面はファーウェイ端末でおなじみの「標準」、アプリ一覧を表示できる「ドロアー」の2つのスタイルを選ぶことができる。
「標準」のホーム画面はホーム画面とその続きにアプリのアイコンが登録される。
「ドロワー」のホーム画面。中央下のボタンをタップすると、アプリ一覧が表示される。
「ドロワー」のホーム画面から表示したアプリ一覧。縦方向にスクロールする。
ビギナー向けの「簡易モード」も用意。設定画面の[詳細設定]-[ユーザーモード]で設定が可能。
メモリークリーンアップ機能。セキュリティツールなども充実している
主要MVNOのAPNは出荷時に設定済みなので、多くのMVNOはSIMカードを挿すだけで動作可能。

 通信機能については両機種ともLTEで受信時最大262.5Mbps、送信時最大50Mbpsの通信に対応。nanoSIMカードのデュアルSIMとなっている。ちなみに、2枚目のnanoSIMカードを装着した場合は、microSDメモリーカードが利用できないので、その点は注意が必要だ。

 デュアルSIMについてはDSDS(デュアルSIM・デュアルスタンバイ)に対応しているが、SIMカードスロット1にLTE対応SIMカードを装着したときは、SIMカードスロット2は3G/GSMの利用になる。たとえば、国内で利用するときは、SIMカードスロット1に主にデータ通信を利用するMVNO各社のSIMカードなどを挿し、SIMカードスロット2には各携帯電話会社のSIMカードを通話用として組み合わせるわけだ。ちなみに、対応するバンドはGSMが5バンド、3Gが7バンド、4Gが19バンドとなっており、217の国と地域の1333事業者での動作が可能であるとしている。海外旅行や海外出張が多いユーザーにとっては心強い存在と言えるだろう。

P10のSIMカードトレイ。nanoSIMのデュアルSIM対応。2枚目のSIMカードはmicroSDメモリーカードと排他利用
P10 PlusのSIMカードトレイ。nanoSIMのデュアルSIMに対応。2枚目のSIMカードはmicroSDカードと排他利用

第2世代ダブルレンズカメラを搭載

 さて、P10 PlusとP10の最大の特徴と言えば、やはり、P9から継承されたライカとの協業によるダブルレンズカメラが挙げられる。ダブルレンズカメラは背面に備えるカメラモジュールにモノクロ対応イメージセンサーとカラー対応イメージセンサーを搭載し、それぞれのイメージセンサーから得られた信号を組み合わせることで、美しい画像を生成できるようにしている。

P10には従来モデルから継承し、進化を遂げたダブルレンズカメラを搭載。レンズはF2.2のLEICA SUMMARIT-Hレンズを採用
前モデルの「P9」などから継承したダブルレンズカメラを搭載。P10 PlusはレンズにF1.8のLEICA SUMMILUX-Hを採用

 これまでのほとんどのスマートフォンはカラー対応イメージセンサーのみで撮影しているが、P10 PlusとP10に搭載される第2世代ダブルレンズカメラでは、1200万画素のカラー対応イメージセンサーが被写体の色情報を撮影し、2000万画素のモノクロ対応イメージセンサーが明度情報を撮影し、それぞれで得られた情報を基に画像を生成することで、より精細なディテールの写真を撮影することを可能にしている。

 P10 PlusとP10の両機種ともに、イメージセンサーの構成をはじめ、光学手ブレ補正対応、2倍のハイブリッド・ズーム、4-in-1ハイブリッド・オートフォーカスなどの機能も共通仕様となっている。ちなみに、4-in-1ハイブリッド・オートフォーカスは像面位相差オートフォーカス、コントラストオートフォーカス、レーザー(赤外線)オートフォーカス、デプスオートフォーカスを組み合わせたものとなっており、さまざまなシチュエーションにおいて、すばやいフォーカスを可能にしている。

 P10 PlusとP10の2機種のカメラで異なるのは、P10がF2.2のLEICA SUMMARIT-Hレンズを採用しているのに対し、P10 PlusはF1.8のLEICA SUMMILUX-Hレンズを採用している点だ。カメラにあまり詳しくないユーザーにはピンと来ないかもしれないが、ライカレンズのラインナップのうち、P10 Plusに採用されているLEICA SUMMILUX-Hは、P10に採用されているLEICA SUMMARIT-Hレンズよりもワンランク明るいレンズに使われている名称で、レンズのF値などからもわかるように、スマートフォンでも同様の名称に準拠した形となっている。LEICA SUMMILUX-Hはスマートフォン向けとして初採用されたレンズになるが、単に名称だけをライカのレンズに準拠させているのではなく、ライカとの共同開発の上、ライカの基準をクリアしたことで、この名称が与えられているという。

 実際の撮影については、あまり多くの写真を撮ったわけではないが、両機種ともに、暗いところでも明るく撮影することができ、建物などを撮影したときも歪みやノイズが少ない美しい写真を撮ることができた。P9のダブルレンズカメラもかなり高評価だったが、それをさらに一歩、踏み出したレベルの仕上がりと言って差し支えないだろう。

撮影サンプル(リンク先は無加工)
P10 Plusで屋外を撮影
いつもの暗いバーで撮影。十分に明るく撮影できている
P10で屋外を撮影
カメラには多彩な撮影モードを搭載

 P10 PlusとP10に搭載された新しい撮影機能のうち、注目したいのが「ポートレートモード」だ。ファーウェイによれば、「ライカスタイルのポートレート」を撮影できる機能として作られたもので、ダブルレンズにより、被写体となる人物の顔の特長を的確に捉え、自然な色合いと肌つやの美肌効果に加え、背景を自然にぼかすことにより、被写体がしっかりと際立つ美しい写真を撮影できるようにしているという。実際に、いくつかの写真を撮ってみたところ、ポートレートモードのON/OFFによって、肌が少し白くなり、しわなども少しなめらかになり、背景も上手にぼかされるなどの違いを確認することができた。「人物の撮影はちょっと自信がなくて……」という人もいるかもしれないが、P10 PlusとP10のポートレートモードで撮影すれば、きっと被写体になってくれた人にも満足してもらえる写真を撮ることができるはずだ。

従来同様、ワイドアパーチャ撮影にも対応。左中段のアイコンがポートレートモード

 さらに、今回のP10 PlusとP10ではインカメラも大幅に強化されている。従来のP9やMate 9でもライカと共同で開発したカメラが搭載されていたが、共同で開発したのはメインカメラ(リアカメラ)のみで、インカメラについてはファーウェイが独自で開発したものが搭載されていた。今回のP10 PlusとP10のインカメラは、F1.9のレンズを採用し、2倍の明るさを実現した新開発の800万画素イメージセンサーを組み合わせた「LEICAインカメラ」として仕上げることにより、暗いところでも明るく自然な美しさの写真を撮影できるようにしている。インカメラもライカ仕様に準拠したことで、従来のファーウェイ端末でおなじみだった「ビューティモード」はなくなってしまったが、ポートレートモードなどの新しい取り組みもあり、トータルで見れば、一段と完成度が高められたという印象だ。

一歩先を行くカメラを楽しみたいのなら、P10 Plus/P10は買い!

 最近、成熟したと言われることが多いスマートフォンだが、市場で人気を得ているモデルをチェックしてみると、ブランド力で押すメーカーがある一方、他社にはない独自の機能で着実にユーザーの人気を獲得し、シェアを伸ばしてきたメーカーもある。

 ファーウェイは国内市場において、モバイルWi-Fiルーターなどで人気を得てきたメーカーだが、SIMフリー端末を展開するオープン市場ではコストパフォーマンスの高さや上質なデザインが支持され、オープン市場全体を牽引する存在になりつつある。

 そんなファーウェイのラインナップの中で、各携帯電話事業者が取り扱う他社製フラッグシップモデルと一線を画しているのがPシリーズであり、その最新モデルとなるのが今回取り上げた「P10 Plus」と「P10」だ。従来のP9は国内市場で高い人気を得たが、今回のP10 Plus、P10はダブルレンズカメラという他製品にない個性、美しいデザイン、気の利くユーザビリティなど、さまざまな面において、さらに磨きをかけてきた印象だ。

 なかでもダブルレンズカメラは「LEICA」というカメラ業界の老舗ブランドとの協業による「カメラ」としての可能性を追求しながら、ポートレートモードをはじめ、撮る楽しさや面白さをユーザーが実感できるように進化を遂げている。スマートフォンで撮った写真をSNSでシェアすることが当たり前となった今だからこそ、画質だけではない部分にも注力されたモデルと言えるだろう。スマートフォンのカメラで新しい世界を体験したいユーザーにこそ、ぜひ手にして欲しい一台だ。

法林 岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話・スマートフォンをはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるゼロからはじめる iPhone 7/7 Plus超入門」、「できるゼロからはじめるAndroidスマートフォン超入門」、「できるポケット HUAWEI P9/P9 lite基本&活用ワザ完全ガイド」、「できるWindows 10b」、「できるゼロからはじめる Windows タブレット超入門 ウィンドウズ 10 対応」(インプレス)など、著書も多数。ホームページはこちらImpress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。