みんなのケータイ
スマホに大容量HDDを追加した感覚を味わえる「OneDrive」
石野純也
(2015/7/1 06:00)
少々前の話になってしまうが、3月31日にメインで使っていたPCのハードディスクがクラッシュしてしまった。PCを買い替えてから約1年。それまでのデータは、前のPCから復旧できたものの、残念ながら、二度と取り戻せないメモや音声ファイルもあった。バックアップをきちんと取っていなかった自分が悪いので、これは改めようと強く決意した次第だ。
それならと思い、マイクロソフトの「OneDrive」を本格的に使ってみることにした。決め手になったのは容量。OneDriveは、「Office 365 Solo」を契約すると、データを保存できる容量が無制限になる。これなら、過去に撮った写真、原稿や写真、取材のメモなどの仕事にまつわるデータを、すべてクラウド側にも置いておける。ただ、PCにすべてのデータを同期しようとすると、ローカル側のデータ容量が不足してしまう。そこであれこれ調べた上で、OneDriveに対応したSynology社の「DiskStation DS115」というNASを買い、そこから直接データを同期させることにした。使ってみると非常に楽で、PCからデータを放り込むだけで、気づいたらデータがクラウドに上がっている。
ここまではPCとNASの話だが、「みんなのケータイ」に書いている以上、スマートフォンに触れないわけにはいかないだろう。もちろん、OneDriveはスマートフォンとも密接な関係がある。「モバイルファースト」や「クラウドファースト」を掲げるマイクロソフトは、その方針に従い、OneDriveもスマートフォンの各種プラットフォームに対応させている。
OneDriveをバックアップ先として利用している以上、これを使わない手はない。メインで使っている「GALAXY Note Edge」に加え、海外での利用が多い「iPhone 6」や「ZenFone 2」など、すべての端末にOneDriveをインストールし、写真と動画の自動バックアップも設定した。購入したばかりのWindows Phone「MADOSMA」も、当然ながらOneDriveがOSに組み込まれている。複数の端末を使い分けると、どの端末で写真を撮ったのかを忘れてしまい、あとで見ようと思ってもなかなか見つからないということもあるが、OneDriveに上げておけば写真をクラウド上で一元管理できる。
当たり前かもしれないが、予想以上に便利だったのが、自分が持っている過去のデータに、出先からアクセスできるということ。この仕事をしていると、進行中の原稿に、校正段階で写真を1枚足したいというようなことがどうしても起こる。編集部から原稿の修正を依頼され、すぐに対応しなければいけないケースもある。OneDriveを使い始める前は、PCを起動させ、NASからデータを探す作業が必要になっていた。
PCが目の前にあればいいが、常に持ち歩いているとは限らない。ましてや、NASにあるデータだと、ノートPCを使って出先で作業するというわけにもいかない。そのため、たった1枚の写真を送ったり、わずか1行の文章を修正したりするだけでも、相当な時間と労力がかかることがあった。
OneDrive上にデータを置いておけば、スマートフォンからでもすぐに簡単に参照でき、データを送りたいときは、そのファイルだけを一時的に共有すれば、メールにファイルを添付する必要もない。出先で、ちょっとした時間を使ってこうした作業ができるのは、便利なのと同時に安心感がある。大げさかもしれないが、常にデータがギッシリ詰まった大容量のNASを、小脇に抱えている感覚を覚えるのだ。もっとも、そこまで急を要するのは、月に1、2回あるかないか程度。OneDriveを参照できるようにしているのは、“転ばぬ先の杖”とも言えるだろう。
と、ここまで「容量無制限」を前提に原稿を書き進めてきたが、この話にはオチがある。筆者のOneDriveは、まだ容量が無制限になっていないのだ。マイクロソフトは昨年、2015年中に無制限になる旨を発表しているが、正確な時期は不明。先行適用の申請もでき、筆者も4月に申し込んではいるが、容量は今も1TBのままだ。今のペースでバックアップを続けると、あと1カ月程度で全容量を使いつくしてしまう。そうなる前に、一時的に有料で容量を追加するなど、何か対策を取らなければと思っているところだ。