みんなのケータイ
Nexus 5でドイツのLTEを体験した!
【Nexus 5】
石野純也
(2014/10/2 06:00)
本誌でもレポートしたように、9月5日から10日にかけて、ドイツ・ベルリンで世界最大の家電見本市「IFA 2014」が開催された。その前日、前々日にはプレス向けの発表会も多数あるため、筆者は8月31日にドイツに渡り、約10日間ほど滞在した。
毎度のように、海外では現地のSIMカードを買うことを基本にしている。ドイツ用には一昨年手に入れたCongstar(T-MobileのMVNO)のSIMカードを持っており、日本からチャージやプランの変更もできる。ただ、毎年同じ回線というのは、少々味気ない。Congstarがいまだに3Gなのも、気になっている点だ。今回は、ドイツに渡る前に、本コーナーでもおなじみの山根康宏氏に、VodafoneがプリペイドのLTEを開始したことを伺っていた。そこで、Congstarはサブとして押さえておきつつ、ドイツに到着したあとVodafoneのSIMカードを探すことにした。
ベルリンへは、デュッセルドルフからICEと呼ばれる高速鉄道で移動した。到着日の8月31日はデュッセルドルフに一泊し、翌日ゆっくり移動して9月1日にはベルリンに入るスケジュールを立てていた。VodafoneのSIMカードは、デュッセルドルフでICEに乗る前に手に入れたい。そう思い、とりあえずデュッセルドルフ駅にあったケータイ屋をのぞいてみたところ、あっさりVodafoneのSIMカードを発見。19.9ユーロで、真っ赤なSIMカードのパッケージを購入した。
ただし、このままではLTEを使用できない。LTEはオプション扱いになっており、プラスしてお金を支払う必要がある。LTEが有効になるのは500MB、10ユーロか、1GB、15ユーロのオプション。元々SIMカードのパッケージについていた250MBとボーナスの150MBも、ここに合算される。残念ながらデュッセルドルフではチャージが間に合わなかったため、ICE移動中はCongstarでしのぎ、ベルリンに着いてからVodafoneショップに駆け込んだ。
チャージはショップでできたが、オプションの選択は専用サイトから行うよう指示された。この専用サイトが少々クセモノで、重くてなかなかつながらなかったが、何度かトライしたところオプションの選択ができた。申し込み完了のSMSも届き、これで晴れてLTEがオンになったはず……なのだが、Nexus 5のアンテナマークは3Gのまま。なぜかLTEにつながらない。LTEが適用されるまで、しばらく時間がかかるのかと思い放置しておいたが、それも効果がなかった。
端末を再起動したり、フライトモードにしてみたりと、あれこれ試してみたが、表示は3Gから変化がない。そうこうしている内に、ほぼ同時期にドイツ入りしていた某Windows PhoneジャーナリストからLTE接続の報告が入った。彼が何を使ってLTEにつないだのかは名誉のために伏せておくが、Vodafoneが正式に販売している日本でもおなじみのスマートフォンだ。もしかすると、Nexus 5はVodafoneが取り扱っていないため、ネットワークとの調整が取れていないのかもしれない。
自分が見聞きした範囲では、持ち込んだSIMフリー端末を海外のLTEネットワークに接続しようとした際に、こうしたトラブルがままあることが分かっている。周波数帯さえ合えば、必ず使えると考えるのは禁物なようだ。なお、VodafoneはLTEをBand 20(800MHz帯)とBand 7(2.6GHz帯)で運用している。日本で売られているNexus 5のLTEは、この2つの周波数帯に対応しているため、理論上はドイツでもLTEの利用はできる。スペックシート通りにいかない難しさを感じるところだ。
さて、そのNexus 5は、ダメ元でネットワークを強制的に2Gに落として再度端末側でLTEを有効にしてみたところ、ようやくLTEにつながった。それまではウンともスンとも言わなかったのに、これだけでつながるのは不思議なものだ。速度は平日夕方で下り約12Mbps程度。ドイツではHSPA+が利用できることもあって、7~8Mbps程度出る3Gとの速度差がさほどないのは残念だが、遅延が小さいのは快適。LTEならではのメリットだと感じた。ただし、料金的にはトータルで34.9ユーロかかっており、3Gの方がコストパフォーマンスはいい。MVNOとMNOの比較になってしまいやや公平ではないが、Congstarの場合は3GBのデータパックが19.9ユーロ。1.4GBで34.9ユーロのVodafoneのLTEより、使えるデータ量が多く、料金も安い。
とは言え、最近、海外ではLTEのプリペイドSIMカードが続々と登場している。国や地域によってはLTEの方が断然速いケースもあり、今後はますますその傾向に拍車がかかるはずだ。海外渡航時に、現地のLTEを活用してみるのは悪くない。このような場合、LTE対応周波数帯が広いNexus 5や、iPhone 6、6 PlusといったSIMフリー端末を1台持っておくことをオススメしたい。ただし、今回のように端末がなかなかLTEをつかまないこともあるので、その点にはご注意を。