【GALAXY S III SC-06D】

約5カ月使って分かったGALAXY S IIIの実力

2012年11月28日 06:00
(石野純也)

 6月28日に「GALAXY S III SC-06D」を購入し、早5カ月が経とうとしている。こんな仕事をしていることもあり、端末は最低でも商戦期ごとに買い替えているが、まだ冬モデルは何をメインにするか決めかねている。GALAXY S IIIはかなり完成度が高く、韓国出張のたびに純正オプションを購入してきていることもあり、ちょっと手放しずらい。愛着がわいているというのが本音だ。

 使い始めたころのサクサク感がそのまま残っているのも、機種変更がもったいなく思える理由のひとつ。仕事としてチェックするためアプリは気になったものをどんどん追加していているが、5カ月が過ぎようとしている今でも挙動は安定している。ハードに使うせいもあって、特にAndroid端末は時間が経つとROM、RAMが足りなくなり、リフレッシュさせるために初期化(や機種変更)することが多々あった。一方で、この機種なら長い間使い続けることができそうだ。自分は買い替えペースが早く説得力に欠けるかもしれないが、2年間の割賦を組んでも安心の端末と言えるだろう。購入当初は同期したブックマークが消えるなど、いくつか大きなバグもあった。ただ、こうした問題も、数回のソフトウェアアップデートですっかり解消されている。

ROMやRAMにも余裕があり、動作はかなり安定している
サイト閲覧時のちょっとしたストレスを減らせるスマートステイ

 GALAXY S IIIは海外での発表時から、スペックの高さよりも使い勝手のよさが強調されていた。「あなたを理解するスマートフォン」という日本でのキャッチコピーにも、サムスンの考えが見て取れる。海外版ではクアッドコアCPUを搭載してたが、それよりも重視されていたのが「スマートステイ」や「スマートアラート」といった、細かな不満を解消するための仕掛けの数々だ。

 スマートステイは、インカメラでユーザーの顔を認識し、使用中の画面消灯を防ぐ機能。ニュースやブログなど、文字が多いサイトを見る時に活躍する。実際、使ってみると分かるが、途中でプツッと画面が消えないだけでサイト閲覧時のちょっとしたストレスが大幅に減ったような気になる。欠点はインカメラで認識しているため、暗い場所で効果が出ないこと。富士通製の端末にも似た機能があり、こちらはセンサーで端末のわずかな揺れを検知しているが、場所による差をなくすためには、こうした工夫も必要になってくるかもしれない。

スマートアラートは、「モーション設定」で設定できる

 一方のスマートアラートは、不在着信がある状態で端末を手に取ると、バイブがブルっと震える機能。カバンやポケットの中から取り出す時点で着信があったことに気づけるというのが売りだ。この機能に加え、GALAXY S IIIには着信を知らせるLEDも搭載されている。スマートアラートと着信LEDのおかげで、着信に長い間気づかないことは相当少なくなった。特に後者の機能はフィーチャーフォンで一般的だっただけに、細かい部分だがうれしい改善だと思う。

 スマートステイやスマートアラートのほかにも、小さな積み重ねで使い勝手を高める工夫が随所に見られる。たとえば、イヤホンを挿すと、音楽プレイヤーやYouTubeなどのアプリが通知に表示される。イヤホンを挿すという動作をきっかけに、次に何をするかを端末側が先回りして考えてくれるというわけだ。Androidの標準仕様で画面内のキーが採用されたため、物理キーのない端末が増えているなか、しっかりホームキーが残っているのも気に入っている。以前から変わっていない電源キーが右、音量キーが左という配置も、よく考えられていると使うたびに感じる。これらはあくまで例の一部だが、「あなたを理解するスマートフォン」というキャッチコピーもそこまで大げさではない印象だ。

イヤホンを挿すと、通知に使いそうなアプリが現れるホームキーが押しやすいのも、GALAXY S IIIのメリット
電源キーが向かって右、音量キーが向かって左にあり、手探りで押しても失敗が少ない。片手で操作しやすいのも、この配置の優れたところだ

 もちろん、こうした使い勝手を支えているのが、GALAXY S IIIの高いスペックであることは事実。日本版の「SC-06D」はCPUがクアッドコアではなくデュアルコアだが、ブラウザをはじめとしたアプリの動きには正直なところこれでも十分満足できる。クアッドコア端末と並べて同時に触るとさすがに差は分かるものの、あくまで比較すれば多少劣っているという程度にすぎない。一方で、ホーム画面のスクロールがほんの一瞬止まったようになるのは、ぜひ手を入れてほしい部分。そこまでの処理能力は必要とされないような気はするので、今後のソフトウェアアップデートに期待したいところだ。

逆光気味で撮ると、かなり暗くなってしまう。カメラの性質上仕方がない部分ではあるが、デジカメと比べ設定できる項目も少ないため、オートでの処理はもう少しがんばってほしい

 カメラについても、まだ改善の余地がある。裏面照射型CMOSセンサーを採用したことで、従来のGALAXY Sシリーズよりは格段に暗い場所での写りがよくなった。ただ、逆光気味だとかなり暗くなってしまったり、暗い場所だとノイズが少ないぶん手ブレが目立ったりと、カメラを売りにした機種と比べると仕上がりはイマイチ。サムスンはデジカメを製造しているメーカーだけに、そのノウハウはもっともっとつぎ込んでほしい。

 まだまだ書き足りないところはあるが、以上が5カ月間使ってきたうえでの大雑把な印象だ。まとめも書いたので次回以降は別の端末で……と言い切りたいところだが、現状の満足度が高いこともあり次はどれを使おうかかなり悩んでいる。クアッドコアになった「GALAXY S III α SC-03E」か、より大画面でSペン入力も魅力的な「GALAXY Note II SC-02E」か、フルHDのディスプレイとデザインの美しさにひと目ぼれした「HTC J butterfly HTL21」か。これらが主な候補だが、ほかの端末も含めもう少しだけじっくり検討してみようと思っている。