DATAで見るケータイ業界
新たに立ち上がった完全音声定額サービスへ至る流れをARPUトレンドから考察
(2014/7/3 12:21)
NTTドコモが4月10日に新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」を発表したことで、一気に立ち上がった完全音声定額サービス。1月に「VoLTE時代の革新的な新定額サービス」として新料金を発表し、先行したかに見えたソフトバンクだったが、「カケホーダイ&パケあえる」のインパクトを前に見直しを迫られ、7月1日より「スマ放題」を投入すれば、KDDIも6月25日に「カケホとデジラ」を発表し、大手携帯キャリアの新料金が揃い踏みとなった。
各社の新料金プランでは、パケットで差別化を図る一方で、音声に関しては、月額料金はガラケー2200円、スマホ2700円と見事に横一線で並んでいる。スマホの中では、アプリの1つとなってしまっている音声サービスだが、ガラケー時代はまさに絶対的なキラーアプリケーションだった。今回のスナップショットでは、音声定額時代の扉が開かれるのを機に、改めてその音声サービスに注目。その位置づけについてARPUトレンドの観点から探索していきたい。
上記の図にあるように、携帯各社のARPUは2004年度時点では7000円程度あったものが、その約10年後となる2013年度には4500円程度まで下落してきている。その大きな要因となっているのが、音声収入の減少にあることは、折れ線グラフのトレンドからも見て取れる。ARPUの8割程度を占めていた音声収入は、直近では3割程度にまで減少していきているのだ。特に、iPhoneが登場しスマホ時代へと大きく舵を切った2008年度以降は、音声収入の減少スピードに拍車がかかっているように見受けられる。
通信サービスが3Gから拡張版へ、そしてLTEへと進化するなか、携帯各社はまずパケット料金を定額化し、次に自社網内や同一グループ内という限定的な音声定額へと進んできた。そして、これからはパケット通信上で音声サービスを提供するVoLTE(Voice over LTE)時代を迎え、他社携帯や固定電話なども対象となる完全な音声定額サービスが新たな競争軸として加わる。
各社横並びで音声サービスは差別化要因にならないという指摘がある反面、VoLTEによって音声品質が向上すれば、改めて見直されるのではという声も聞かれる。音声サービスの進化にこれからも注目していきたい。