ケータイ用語の基礎知識

第669回:MFi とは

アップルの認証済製品

 iPhone用のオプション品を売り場などで見ていると「MFi」という表記が目に入ることがあります。

 この“MFi”とは、「Made For iPhone/iPad/iPod」のことです。すなわち、iPhoneやiPad、iPodといった機器向けに作られた製品、という意味で、iPhoneなどを手がけるアップルの用意した、認証プログラムによって、認められた、という証になっています。

このマークのある機材は、iPhoneの製造元であるアップルの認証プログラムを通った製品であることの証となっている

 ユーザーにとって、特にMFi認証が気になるのは、充電やデータ通信などに使うLightningケーブルでしょう。Lightningコネクタは、最近の機種であるiPhone 5s/ 5c/5や、iPad Air、iPad mini(Retinaモデル含む)、iPad(第4世代)、iPod touch(第5世代)では、充電コネクタとして使われています。Lightning用のケーブルは、アップルの純正品やMFi認証済みのケーブルのほうが、MFi非対応製品よりも高い価格で販売されていることがありますので、ついつい安価なほうを選びたくなるかもしれません。しかし、MFi認証を通っていない、安価なサードパーティ製ケーブルには、さまざまな問題があります。

 一番よく指摘されるのは、仮に今日使えたとしても、それがいつまでも使えるとは限らない、という点です。もしiOS(iPhoneのソフトウェア)を最新版にアップデートすると、それまで利用できていたケーブルが突然使えなくなるかもしれません。MFiの認証を受けていないケーブルに対して、実際に「このケーブルまたはアクセサリは認定されていないため、このiPhoneで正常に動作しない可能性があります」といったメッセージが表示されるようになったり、充電ができなくなったりしたという例があります。

 iPhoneのLightningコネクタは非常に多機能で、さまざまなデータの入出力が可能になっています。たとえば、iPhoneに直接装着できるUSBメモリもありますし、デジタルカメラなどと繋がるアダプタなどもあります。また、充電する際にも、安全性を確保できる製品でなければなりません。

 そのため、たとえ充電のみに機能を絞ったケーブルであっても、iPhone/iPadとやり取りをできるICチップ(マイクロコンピュータ)が必要とされています。MFi認証を通っている充電ケーブルは、そうした基準をクリアした製品というわけなのです。

元々はiPodのオーディオアクセサリ製造者向けプログラム

 アップルのMFiプログラムは、もともとiPodなどに向けたオーディオアクセサリーを、サードパーティが製造できるようにするために用意されたプログラムです。サードパーティにあたる企業がこのプログラムに加入し、ハードウェアコネクタやコンポーネントが利用できます。また技術的なサポートを受けることもできます。

 MFi認証はオーディオ関連や充電関連の周辺機器だけではなく、現在はWi-FiやBluetoothなど無線通信関連の製品も含まれるようになっています。たとえば、Blueotoothでは、iPhoneに接続できるゲームパッド、iBeaconに利用できるビーコンデバイスで、MFi認証を通った製品が提供されています。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)