第561回:遠隔サポートサービス とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 どんな電気製品も、まったく使ったことがない初心者に、使い方を説明するのは大変なものです。それがスマートフォンともなると、さらに難しくなるところがあります。スマートフォンは、小型のパソコンと言えるほど機能が充実している反面、使いこなすには、メニューの操作の流れなど理解する必要がある事柄が多いためです。

 慣れている人にとっては、簡単な「タップ」などの用語を理解しながら、操作しなければなりません。携帯電話会社では、窓口やWebサイトで、ユーザーからの問い合わせに対応できるようにしていますが、たとえば遠く離れた場所にいる電話窓口のスタッフ(オペレーター)に問い合わせをして、使い方の分からないスマートフォンについて、実際に画面上のどこに触れて操作したら良いか、印を描いてもらいながら説明してもらえれば便利でしょう。実際にそのようなサービスがスタートしています。

 今回紹介する“遠隔サポートサービス”とは、遠隔で操作方法などを教えてもらえるサービスのことです。NTTドコモでは「スマートフォンあんしん遠隔サポート」が、またauの場合は「安心セキュリティパック」のうちの「リモートサポート」が、そうしたサービスになっています。

ドコモの「スマートフォンあんしん遠隔サポート」

 2012年3月にスタートした新サービスです。「Wi-Fiの設定の仕方がわからない」「待ち受け画面を変えたい」「海外渡航前の設定方法」など初歩的な質問について、専用窓口のオペレーターと電話でやり取りするだけではなく、スマートフォンの画面をオペレーターが操作して、ユーザー操作方法を示しながら、使い方を伝えます。対応機種(2012年3月時点)は「MEDIAS ES N-05D」「MEDIAS TAB N-06D」です。

 利用には事前申込が必要で、このサービスだけで契約すると月額420円(2012年5月末まで無料)かかりますが、さらに「ケータイ補償お届けサービス」をあわせて契約すると、「スマートフォンあんしん遠隔サポート」の利用料は294円割引され、月額126円(ケータイ補償お届けサービスの利用料は別途)となります。

 利用するには、手元のスマートフォン、あるいは自宅の固定電話などから専用窓口へ電話をします。その上で、スマートフォンのメニューにあるハートマークのアイコン「遠隔サポートアプリ」をタップし、オペレーターから伝えられる“6桁の数字”(接続番号)を入力します。これで、遠隔地にいるオペレーターが、ユーザーのスマートフォンの画面を見て、その画面上にマークを表示して、操作方法などを電話での音声と、画面での表示の2つで操作や設定の方法を案内できるようになる、というわけです。このサービスを利用している最中には、画面の右下に「遠隔サポート中」と表示されます。

 「スマートフォンあんしん遠隔サポート」は、仕組みとして、韓国企業のRSUPPORT(アールサポート)の技術が採用されています。このようなAndroidとパソコン間を結ぶ機能は、さまざまな企業から提供されていますが、RSUPPORの技術の特徴として、NTTドコモは「他の仕組みと比べ、通信量が少ない」としています。通信方法は3G、LTEのほか、Wi-Fiでの利用も可能です。端末とサーバー間はSSLで通信するなどして「なりすまし」などを防止しています。

auの「リモートサポート」の場合

 2011年11月から提供されているサービスです。ドコモのサービスより先んじて登場しており、音量設定やWi-Fiの接続の手順など基本的な操作や、細かな設定について案内可能となっています。利用回数に制限はありません。

 複数の機能を提供する「安心セキュリティパック」の1つで、利用料は月額315円です。ただし、「安心ケータイサポートプラス」も契約すれば、両契約をあわせて月額525円、「安心ケータイサポート」との契約で月額441円で利用できます。「リモートサポート」もまた、遠隔のオペレーターが、ユーザーのスマートフォンにアクセスして、使い方を電話とスマートフォンの画面上の表示で教える、というものです。

 利用時には、スマートフォンから「157」、他の電話機からはフリーダイヤルでauのサポートセンター(お客様センター)に連絡します。すると、KDDI側から、ユーザーが利用中のスマートフォンとは別の電話へかけ直してくれます。そして、スマートフォン上で“初心者マーク”の「遠隔サポートアプリ」をタップし、アプリが起動すると、受付番号が表示されますので、オペレーターにその番号を伝えます。これで、オペレーターがユーザーのスマートフォンにアクセスできるようになります。

 オペレーターは、電話をしながら、ユーザーのスマートフォンの画面にいろいろな描き込みをして、操作を促したり、あるいはオペレータに設定をしてもらったりというようなことが可能になります。

対応機種(2012年4月時点)は、「ARROWS Z ISW11F」「AQUOS PHONE IS13SH」「DIGNO ISW11K」「MEDIAS BR IS11N」「AQUOS PHONE IS14SH」「ARROWS ES IS12F」「INFOBAR C01」「XPERIA acro HD IS12S」「Optimus X IS11LG」「MOTOROLA RAZR IS12M」です。ドコモと比べれば、対応機種が多いことは、現時点での特徴と言えます。

 「リモートサポート」では、仕組みとして、オプティムのリモート技術が用いられています。




(大和 哲)

2012/4/24 20:14