第560回:声の宅配便 とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「声の宅配便」は、NTTドコモが提供するサービスです。音声通話対応の機種で利用でき、相手を呼び出すことなく、ユーザー自身の音声を録音してメッセージを届けることができる、というものです。相手の事情を意識せずに、そしてメールを打つよりも手軽に、込み入った内容を音声で伝えられます。

 対応機種であれば事前申込は不要で、月額利用料もかかりませんが、通話料のみかかります。ですので、たとえば、家族向けの割引オプション「ファミ割MAX50」に加入していると、家族内のメッセージのやり取りは無料となります。

 利用するには、携帯電話・スマートフォンで、メッセージを送りたい相手の電話番号の前に、「*2020」という番号をつけて発信します。「090-○○○○-△△△△」という電話番号に「声の宅配便」を送る場合、「*2020-090-○○○○-△△△△」とダイヤルすればよいわけです。ダイヤルすると「声の宅配便」のセンターに電話がつながり、メッセージの録音を促されます。この辺りの利用感は留守番電話と同様です。

 「声の宅配便」では、1件につき最大15分まで音声メッセージを録音できます。メッセージを録音し終わると、届け先の携帯電話に「声の宅配便で伝言が残された」とSMSによって通知されます。もしメッセージを送りたい相手がauやソフトバンクモバイルなど、他社の携帯電話を利用している場合、録音しようとする時に、非対応である旨が案内されます。

 メッセージを送られた相手ユーザーは、SMSに書かれた指示に従って携帯電話を操作する、あるいは発信元の電話番号に「*2020」を付けて、「*2020-090-□□□□-▽▽▽▽」とダイヤルすると、メッセージの内容を聞くことができます。

 こうして、送付したメッセージが再生されれば、送り主のユーザーにもSMSで「再生された」と通知されます。ただし、この通知は、設定を変更して、再生したことを知らせないようにすることもできます。

 「声の宅配便」では、1ユーザーにつき最大500件まで録音可能で、メッセージは録音時点から720時間、保存されます。保護機能も用意されていて、メッセージを受け取ったユーザーは、メッセージを最大5件まで保存しておくことができます。

日常使いをめざした伝言サービス

 ドコモのサービスで、「音声をセンターにおいて連絡をする」という似たようなサービスには「災害用音声お届けサービス」もありますが、「災害用音声お届けサービス」は。その名称通り、大規模な災害が発生したときなど、特殊な状況で通話が繋がりにくくなることを想定し、比較的、繋がりやすいパケット通信で、とりあえず連絡を取れるようにしています。

 一方、今回紹介する「声の宅配便」は、日常生活で、誰もが使えるような携帯電話による音声メッセージのサービスです。

 「声の宅配便」では、メッセージを預ける際や再生する際、通話するときと同じように電話番号にダイヤルします。こうした操作手順からもわかるように、通常の回線交換通話を使って、音声メッセージをやり取りできるようにしています。そのため対応機種が限定されず、音声通話が可能なドコモの携帯電話であれば、どの機種でも利用できる、ユニバーサルなサービスと言えます。

 Androidスマートフォンであれば、専用アプリ「声の宅配便アプリ」も用意されています。Android OS 2.1以上であれば利用でき、メッセージの録音や再生、通知の確認といった操作が、ワンタッチで行えるようになっています。

 フィーチャーフォンでも、「らくらくホン ベーシック3」など2011年4月以降発売のiモード機種の場合では、発信画面にソフトキーで「声の宅配便ボタン」が表示されるようになっています。




(大和 哲)

2012/4/17 11:05