ケータイ用語の基礎知識

第796回:デュアルアクティブ とは

2枚のSIMで同時に通信

 最近のスマートフォンには、SIMを2枚挿入できる機種があります。特にMVNOなどから販売されるSIMロックフリーの機種でよく見られます。

 今回紹介する「デュアルアクティブ」とは、2枚のSIMを1台のスマートフォンに装着しつつ、2枚とも同時にアクティブにできることを指すワードです。

 すでに、2枚のSIMカードを装着し、同時に待受できる「デュアルSIM・デュアルスタンバイ(DSDS)」は少なくない機種で採用されています。一方、「DSDA(デュアルSIM・デュアルアクティブ)」とも呼ばれるデュアルアクティブは、単に待受(スタンバイ)するだけではなく、両方とも通信ができるということです。たとえば、1枚のSIMの通信で会話を行いながら、もう1枚のSIMのデータ通信でアプリケーションのダウンロードなどをすることができるわけです。当然、スマートフォン内部には、2回線分の回路が必要となります。

 2017年3月現在、「デュアルSIM・デュアルアクティブ」を実現している日本国内仕様のスマートフォンは販売されていません。海外では、中国国内で発売されている機種に一部、そのような機種が存在します。

 グローバルでみると、日本でも発売されているASUSの「ZenFone 3 Deluxe」は、SIMの2枚装着が可能で、通話と通信が同時に可能なのですが、一方の通信はGSM/GPRSという2G(第2世代)方式の通信となってしまいます。日本国内では2G通信はすでに提供されていませんし、もともとGSM方式はありません。この機種を持ってきても日本国内でデュアルSIM・デュアルアクティブを実現することはできないのです。

 今後、チップセットなどの進化によって、3G/LTE対応のDSDA対応機種が日本でも登場する可能性があります。そうすると、SIMカードの1つは割安なデータ通信のMVNO、もうひとつは……といった使い方もできそうです。

2枚差し、同時待ち受けの「デュアルスタンバイ」は既に数機種あり

 先述したように、SIM2枚で同時に待ち受けを行う「デュアルスタンバイ」機種は既に日本では数機種が販売されています。

 「ZenFone 3 Deluxe」はデュアルスタンバイに対応していますし、あるいは、モトローラ・モビリティ・ジャパンの「Moto G4 Plus」もやはり、日本国内での4G通信+3G通信、あるいは3G通信+3G通信のデュアルスタンバイに対応しています。

 デュアルスタンバイの場合、待受だけならばそれほど回路を占有しなくて済むので1台の無線関連回路をタイミングをずらしながら(時分割)分け合うことができますし、その分、設計、開発、試験も余裕ができます。たとえば、SIMカードスロットのひとつにauネットワークのSIMを、もう一方にNTTドコモのネットワークを使うSIMを挿入し、2つの回線を使い分けることができます。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)