AQUOS PHONE SH-12C 村元 正剛編

 この企画に参加させていただくのは今回が5回目だが、今年は初めてAndroid端末を選ばせていただいた。Androidを搭載したスマートフォンは、2009年7月に発売されたNTTドコモのHT-03A以来、1年に5~6台は実際に購入して使っているが、今年は、ようやく「ストレスなく使えるようになった」と感じている。

 2010年までに発売されたAndroidスマートフォンは、端末によって動作やタッチパネルの反応の差が激しく、「従来型ケータイから買い替えた人は使いにくいだろうなぁ」と感じるものが多かった。友人や知人から「そろそろスマホに買い替えたいんだけど、何がいいと思う?」と聞かれても、「やっぱりiPhoneが無難じゃないかな~」と答えていた。しかし、今年の夏以降は「自分が気に入った端末を買えばOK!」と回答している。

 初めてスマートフォンを使う人にとって、スマートフォンは従来型のケータイとは操作性が異なるため、買ってからしばらくの間は使いにくいと感じることだろう。しかし、昨今のAndoroidスマートフォンは、しばらく使って操作に慣れてしまえば、「スマホのほうが便利」と思える水準に達しているのではないかと思う。

 個人的に、今年最も気に入った端末はNTTドコモのAQUOS PHONE SH-12Cだ。3D写真が撮れるツインカメラを搭載したスマートフォンだが、「みんなのケータイ」にも書いたが、そこに惹かれて購入したわけではない。Android 2.3を搭載したドコモのAndroidが欲しい、と思っていたときに、ちょうどこの端末が発売されたというだけだ。もちろん、シャープ製だから安心という信頼はあったが、今年の夏に発売されたAndroidスマートフォンは、それぞれに個性があり、甲乙を付けがたい充実したラインナップだったと思う。SH-12Cの魅力は、購入した当初よりも、むしろ使い続けていくうちに実感することが多かった。一般的にケータイは2年以上使う人が多いと思うので、飽きずに使い続けられるということは非常に重要だと思う。

 SH-12Cの一番の魅力は、心地よい操作性だ。奇をてらわないベーシックなホーム画面はわかりやすく、大画面なのでウィジェットも貼りやすい。アプリ一覧画面は「名前順」「利用頻度順」などで並び替えられるほか、縦スクロールでの検索がしやすい「リスト表示」にも切り替えられるなど、ユーザーの視点で使いやすさに配慮されているように感じた。「通知パネル」からマナーモードやベールビュー(画面を横から見えにくくする機能)をON/OFFできたりするのも非常に便利。電池は、できればもうちょっと持ってほしいとは思うが、3Gでの連続待受約430時間、連続通話約280分は、2011年夏モデルとしては及第点だろう。

 ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線といった従来型ケータイの定番機能はもちろん、ボイスレコーダー、歩数計、電子辞書、読取カメラ(バーコードリーダー、名刺リーダーなどの統合アプリ)など個人的に利用頻度が高いアプリもプリインストールされている。ホームボタンと電源ボタンを同時に押すだけで画面キャプチャが撮れる機能は、iPhoneのパクリにも見えるが、やはりあると便利。従来型ケータイから機種変更した人には、画面メモの代わりとして重宝するだろう。

 操作感がいいと、いろいろな機能を積極的に使いたくなる。カメラは存分に使ったし、撮影した写真をHDMIケーブルを介してテレビに出力したりもした。ディスプレイがきれいなのでパソコンから動画を移して見たりもした。3Dゲームも楽しんだし、電子書籍や日経電子版も読んだ。SH-12Cは、従来型のケータイとは異なる、スマートフォンならではの楽しさと便利さを実感させてくれた端末だった。

 海外メーカーが製造したグローバルモデルは、ハードウェアのスペックは高いが、カメラの撮影機能やプリインストールアプリなどにおいて「何かが足りない」ということがありがちだ。日本の携帯電話メーカーの雄、シャープが作ったスマートフォンには、「あればいいな」というものがひと通り揃っており、国産メーカーが開発する意義や、従来型ケータイで培った技術をスマートフォンに移植するメリットを強く感じている。

 ちなみに、SH-12Cの後継機種に位置づけられるAQUOS PHONE SH-01Dもとても気に入っている。デュアルコアCPUを搭載し、光学手ブレ補正機能付きのカメラを備え、さらに防水にも対応するなど、スペックを向上させつつ、快適な操作性をも両立させている。新モデルが出るたびに新しい魅力が追加されるシャープ製のスマートフォンには、2012年のさらなる飛躍を期待したい。

 AQUOS PHONEというブランドなので、AV機能が最大のセールスポイントのように感じる人もいるかもしれないが、日常的な用途でも使いやすく、iPhone、GALAXY、Xperiaといったグローバルブランドのスマートフォンに十分に対抗できる機種だと思う。そろそろAQUOSではなく、スマートフォンとしての新しいブランドを冠してもらいたいと思うのは私だけだろうか?

 

2011/12/27/ 17:30