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Creativeのスマホ連携Bluetoothスピーカー「Sound BlasterAxx」


Sound BlasterAxx SBX 20

 「Sound Blaster」のCreativeといえば、サウンドカード・チップで一世を風靡したパソコン用音源業界の老舗と言ってもいいだろう。エントリーモデルからハイエンドモデルまで、幅広い層に向けたパソコン用製品を中心に開発してきたCreative。近年はパソコン用に留まらず、ポータブルオーディオのほか、より汎用的に使えるヘッドフォンやスピーカーなどもラインナップし、ワイヤレスでオーディオを楽しめるBluetooth対応製品にも力を入れている。

 Creativeが8月に発売した新製品「Sound BlasterAxx」も、その1つ。ほとんどの機種が標準的にBluetoothに対応するようになったスマートフォンを持ち歩いて、日々音楽やボイスコミュニケーションを楽しんでいる幅広いユーザーにマッチするワイヤレススピーカーである。今回は同シリーズのうち最上位機種となる「Sound BlasterAxx SBX 20」の使いどころを中心にご紹介したい。

1本の筐体にステレオスピーカーとマイクを内蔵

 「Sound BlasterAxx SBX 20」の下位モデルには、筐体サイズなどが異なる「Sound BlasterAxx SBX 10」や、USB接続のみでパソコンとの併用を前提としている「Sound BlasterAxx SBX 8」もあるが、いずれにおいても特徴的なのは、細長い六角柱の1本構成という部分だ。

 “スタックステレオスピーカーデザイン”と呼ばれる独自の設計により、1本であるにもかかわらずスピーカーユニットを2つ搭載しており、構造的にはステレオスピーカーとなっている。高さは約40cmほどで、大人の男性であればだいたい膝下くらいと意外にコンパクト。重量も約1.9kgと、宅内であれば苦もなく持ち運べる重さだ。

 ほぼブラックで統一されたボディは、他の家電やAV機器にもなじみやすい高級感のあるカラーリングと言えるだろう。部屋の真ん中に置いているとさすがに目立ちそうだが、横幅がないので狭い場所にも設置でき、インテリアとして飾っておくことができるデザイン性とスタイリッシュさも持ち合わせている。

 Bluetoothスピーカーということで、基本的にはスマートフォンをはじめとするBluetooth対応機器とワイヤレスで接続して使用することになる。iPhoneで管理しているiTunesの楽曲やPodcastコンテンツ、Android端末で受信したネットラジオ、タブレットでプレイしているゲームアプリのサウンドなど、各種端末で再生するあらゆる音声をBluetoothで飛ばして本製品から出力できる。大口径のスピーカーユニットが搭載されているため、当然ながらスマートフォンなどの端末単体で再生するよりも高品質で迫力のある音場を再現してくれるのである。

 ちなみに、Windows OSやMac OSとも接続でき、Bluetoothだけでなく、USB接続することで通常のUSB音源として利用することも可能だ。


スマートフォンではBluetoothで接続して利用するWindows OSとMac OSにも対応。USB音源としても利用できる

 スピーカーだけでなく、マイクを内蔵しているのも注目したいところ。つまり、スマートフォンとともに使用することで、マイクとスピーカーを同時に利用したBluetoothによるワイヤレス音声通話が可能になる。「Sound BlasterAxx SBX 20」に向かって電話で会話するのはもちろん、SkypeやLINEといったアプリでも手ぶらでボイスコミュニケーションを行え、iPhoneの「Siri」のような音声アシスタント機能も気軽に使いこなせるわけだ。

日常的に使いたい、通話品質をさらに高める“CrystalVoice”機能

本体背面のボタンを長押ししてペアリング。LINE・マイク入力端子とヘッドフォン出力端子も備える

 ボリューム調整や各種機能のオン・オフといった基本的な操作は本体上面のタッチパネルから行えるが、iOS/Androidに対応した無料の専用アプリ「Creative Central」を利用すれば、多くの機能をより緻密にコントロールすることが可能になっている。

 各プラットフォームのアプリストアからダウンロードして端末にインストールする。本体背面のボタンを長押ししてスマートフォンとペアリングした後、アプリを起動するだけですぐに利用できる。


基本機能のオン・オフ、マスターボリューム調整は本体上面から行えるボリューム調整時はパネルの中央を指で縦になぞる。イルミネーションの滑らかな明滅が気持ちいい

 まずスピーカーの設定における大きなポイントは、エフェクトとイコライザーを利用できるところ。音の広がりや全体的な音質の向上、迫力のある低音を実現するエフェクト機能と、音域ごとの出力レベルの調整が可能なイコライザー機能を、それぞれ細かく調整できる。

 さらに、音の強弱の差を少なくして耳当たりをよくするコンプレッサー的な効果を加える機能も備えている。一連の設定内容はプリセットとして最初から多数用意されており、アクションゲームに最適なプリセットや、会話をくっきり聞き取りやすくするプリセットなどがある。これらはスマートフォン上でいつでもすぐに切り替えたり、細部を調整してオリジナルの設定に作り変えることも可能だ。


iPhone版の「Creative Central」。標準のミュージックアプリと連動するAndroid版の「Creative Central」。音楽などを再生したいときは個別にアプリを操作する必要があるが、その他の機能はiOS版とほぼ同じだ

エフェクト・イコライザーの多彩なバリエーションのプリセットを一括で切り替えられるようになっている

 一方のマイク設定では、音声をよりクリアに相手に届けるための技術“CrystalVoice”を利用できる。スピーカーの周囲の雑音を排除する“CrystalVoice Noise Reduction”機能、スピーカーからの距離にかかわらず一定の音声ボリュームで聞こえるようにする“CrystalVoice Smart Volume”機能、スピーカー前方の一定範囲内にある音だけを拾う“CrystalVoice Focus”機能などがある。

 中でも“CrystalVoice Focus”機能(SBX 20、SBX 10が対応)は強力だ。スピーカーの前方約20度(ほぼ正面のみ)から最大180度まで、集音範囲を100分の1度単位で設定し、その集音範囲から外れたところで鳴っている音、しゃべっている声などをすべてカットできる。

 たとえば、集音範囲を絞ることで、すぐ隣で大声で会話している人がいても通話相手に聞こえないようにでき、相手と会話している最中、近くにいる別の人間とこっそり相談したいときも、ちょっとスピーカーの横に移動するだけでOK。逆に集音範囲を広げて、大人数でにぎやかに話すことも可能だ。“Noise Reduction”や“Smart Volume”とも組み合わせることで、周囲の環境やシチュエーションに合わせつつ、よりクリアな音声で会話に集中できるだろう。ハンズフリーでの通話の快適さをより一層高めることが可能な、日常的に活用しがいのある機能と言えそうだ。


マイク設定でも、さまざまなシチュエーションに適したプリセットが用意されている“CrystalVoice Focus”は、100分の1度単位で集音範囲を調整できる強力な機能
そのままの声で通話するのは恥ずかしいといったときに、18種類の声色に変化させられるボイスチェンジャーのような機能も搭載アラーム機能もあり、毎朝高品質なサウンドで目覚めることも!?

自宅や店舗にさりげなく置いておきたい、楽しみの“柱”となるアイテム

こんな風にコンポをひとまとめにしている人も多いのでは?

 スピーカーというと、2本でワンセット、という先入観があるものだが、実際のところ、スペースの都合で2つのスピーカーを十分に距離を開けて配置するのは難しい場合が多い。そもそもステレオミニコンポを部屋の片隅にまとめて配置している、というパターンがしばしばあることを考えれば、「Sound BlasterAxx SBX 20」のような1本構成のスピーカーの方が使い勝手もシンプルで、メリットが多いことは確かだ。

 恋人や友人と頻繁にSkypeなどでやりとりする、といったような個人利用だけでなく、喫茶店内、あるいはクリニックの待合室などに置いてタブレットやスマートフォンに入っている音楽をBGMとして流したり、会議室やイベント会場に手軽に持ち込んでプレゼンの音声出力に利用するなど、プライベートからコマーシャル用途、ビジネスシーンまで活躍の場は幅広い。

 電源とスペースさえ確保できれば、もしかするとカーステレオ兼ハンズフリー通話用として車内に置くのも面白いかもしれない。値段やサイズが少し気になるという場合は、ほとんど性能に差がなく、よりコンパクトでリーズナブルな「Sound BlasterAxx SBX 10」を選んでもよさそうだ。

 窮屈な部屋にもすんなり設置できる省スペース性と、反対に広い部屋で使ってもしっかりハンズフリー通話できる高度な機能、そしてなにより、どうしても弱くなりがちなスマートフォンやタブレットのサウンド環境を劇的に向上させるスピーカー性能や各種エフェクトによって、「Sound BlasterAxx SBX 20」は、ゲームも、音楽鑑賞も、通話も、音声入力もカバーし、文字通りあらゆる楽しみや行動の“柱”となる可能性を秘めているのではないだろうか。


電話だけでなく、SkypeやLINEなどのボイスコミュニケーションが可能なアプリでも活用とあるクリニックの待合室に置いてみたところ。意外に目立ち過ぎず、さりげなく置ける感じ
ACアダプターは別売だが、一緒に購入しておけば、配置の自由度がさらに高くなるだろう外部バッテリー経由でももちろん動作。電源の取りにくい場所でもバッチリ使える

 

(日沼諭史)

2012/9/20 06:00