NTT東日本の「光iフレーム」
月額525円で使えるAndroidベースのタブレット端末
光iフレーム WDPF-701ME |
昨年11月の発表以来、ずっと気になっていたアイテムがある。NTT東日本のAndroidベースのタブレット端末「光iフレーム」である。巷ではGALAXY TabやDELL Streakが発売され、さらにはCESでは各社からタブレット端末が発表されるなど、こうしたスマートフォンよりも一回り大きなサイズの端末への注目が集まっている。
「光iフレーム」のすごいところは、月額315円で端末をレンタル使用でき、さらに「フレッツ・マーケット」の利用料、月額210円をあわせても、月々525円でとりあえず使い始められるというところだ。個々の機能の詳細は後述するが、アプリが不要で、Webブラウジングとフォトフレーム機能だけでいいというなら、フレッツ・マーケットの契約は不要で、月額315円でブラウザ付きフォトフレームを利用できると考えてもいい。使ってみて気に入らなければ返してしまえばいいし、5月末まではキャンペーン中で、6カ月間月額利用料不要で利用できる。
というわけで、とりあえず、静電容量方式モデル(WDPF-701ME)をレンタルしてみた。
右側面にはSDカードスロットやUSBポート | 左側面には音量ボタンとバッテリースロット |
上部には赤外線通信ポート | 下部には充電用端子 |
背面には電源ボタンとステレオスピーカー | クレードル |
■Webブラウジング
ブラウザ |
まず行わなければならないのは、無線LANの設定だ。通信手段は無線LANしかないので、これを行わないことには始まらない。続いて、フレッツの契約情報やフレッツ・マーケットの利用申込を行う。利用規約の長いスクロールをタッチ操作で確認するのは思いのほか大変。でも、実はそれ以外に設定しなければならない項目はほとんどない。というか、細かい設定は行えない。
さっそくブラウザを起動してみると、gooのシンプルな検索フォームが現れた。そこに「ケータイ」と入力して本誌を検索。日本語入力のインターフェイスは、50音配列の携帯型キーボードと、タイプライター配列の汎用型キーボードのうち、いずれかを選択できる。
しばらく使ってみて「おや?」と思ったのは、横長の画面表示にしか対応しておらず、縦長の画面で使用することができないという点だ。縦長画面のケータイ文化に慣れ親しんでいる筆者にとっては、やや違和感がある。自動回転はできないにしても、メニューで縦横を選べるようにしても良かったのではないかと思う。
気になるタッチパネルの操作感だが、マルチタッチ非対応で、iPadやGALAXY Tabのそれに比べると、今一つという感は拭えない。それでもスクロール速度などはまずまず。テレビ搭載のブラウザなどに比べれば快適に過ごせる。
50音配列の携帯型キーボード | タイプライター配列の汎用型キーボード |
キーボードの切替画面 | iWnn搭載で予測変換に対応 |
【お詫びと訂正】
初出時、日本語入力エンジンを「ATOK」と記載しておりましたが、正しくは「iWnn」です。お詫びして訂正いたします。
■おすすめアプリはradiko
フレッツ・マーケットのアプリガイド |
続いてはアプリ。光iフレーム上では「アプリ」と呼ばれていたり、「ウィジェット」と呼ばれていたりして非常にややこしいのだが、要するに一般的なAndroid端末でいうアプリである。
Androidマーケットにはアクセスできず、ダウンロードできるのはフレッツ・マーケット内で提供されているアプリのみとなる。有料・無料、さまざまなアプリが用意されているが、数としては決して多くない。ニュースや天気予報、レシピといった類のアプリが提供されており、全体的には非常に手堅い内容のものばかり。このあたりは、良くも悪くもNTTらしいところだ。
ちなみに、筆者が一番気に入ったのは「radiko」のアプリだ。ネットで調べたレシピを参照しながらキッチンでラジオを聴く、というような使い方が可能だ。本体側面にはSDカードスロットやUSBポートが用意されており、AAC(LC)、AAC(LTP)、HE-AAC、HE-AAC2、AMR-NB、AMR-WB、MP3、MIDI、Ogg Vorbis、WAVE(PCM)といった各種音楽フォーマットに対応しているので、好きな音楽を聴きながら、という使い方もできる。背面のスピーカーの音質は決して高音質とは言えないものの、ラジカセ替わりに使えるというのはうれしい。
アプリ一覧 | ランキング |
アプリの説明 | ダウンロードしたアプリはドック画面に表示される |
radiko.jp | ABCクッキングレシピ |
数字パズル | 近所のスーパーの特売情報も確認できる |
■タッチで操作できるデジタルフォトフレーム
写真の上に時計などのウィジェットを自由に配置できる |
光iフレームという商品名からも連想されるように、同製品は「デジタルフォトフレーム」を意識した作りになっている。表示できる静止画のフォーマットは、JPEG、PNG、GIF、BMP。動画もH.263(.mp4)、H.264AVC(.mp4)、MPEG-4SPがサポートされている。
スライドショーなど、デジタルフォトフレームとしての基本的な機能が用意されているが、筆者が最も感心したのは、タッチで操作できるという点だ。従来の一般的なデジタルフォトフレームでは、背面や側面に装備した小さなスイッチをポチポチと押すか、良くてもリモコンを使って操作するので、写真の枚数が増えてくると、次第にイライラが募ってくるのだ。その点、タッチで操作したい写真をサッと選べる光iフレームは快適だ。赤外線通信ポートを装備しており、ケータイから簡単に写真を転送できるのもうれしい。
一方で、充電端子の位置により、縦長の画面でクレードルに立てかけられないところには少々不満を感じるかもしれない。また、光iフレームに転送した写真については、表示中に回転させることはできるものの、それを覚えさせておくことができないため、あらかじめ横長に天地を確定させた上で転送する必要がある。
■タブレット端末の課題
Googleカレンダーともシンクロさせられるカレンダー機能 |
そのほか、光iフレームで利用できる機能としてユニークなのは、カレンダー機能だろう。このカレンダーは、Googleカレンダーとシンクロさせられるようになっており、使い方によってはかなり便利だ。
しかし、一人住まいならまだしも、家庭で使うとなると、誰のアカウントとシンクロさせるのか悩ましいのも確かだ。このあたりは他のタブレット端末やテレビなどにも言えることだが、極めてパーソナルな使い方を想定したスマートフォンと、どちらかというとパソコンに近く、家族でシェアするかもしれないタブレット端末の利用シーンに関する課題の一つだろう。家族でシェアしたい領域と、そうでない領域の切り分けが必要だ。もちろん、サービスを提供する側としては、一人一台ずつ使ってもらった方が収益になるわけだが……。
日別表示 | 予定の入力 |
また、これは光iフレーム固有の問題、というか仕様なので、どうしようもないが、バッテリー駆動できる時間が約1時間と非常に短い。家庭内での利用を想定し、使い終わったらクレードルに立てかけて充電する、というスタイルだ。せめてあと数時間持てば、外出時にも使えるのだが、何とももどかしい。
そんな風にまだまだ課題はあるものの、月額525円でこれだけの機能を持ったデジタルガジェットをレンタル利用できるというのは驚異的だ。フレッツ光を契約していて、タブレット端末に興味があるという方は、候補の一つとして検討してもいいだろう。
2011/2/9 09:00