レビュー

自宅の回線が遅い……それならスマホのテザリングでテレワークしよう

 新型コロナウイルスの影響により、リモートワークを推奨する企業が出始めている。一部サテライトオフィスなどを使用する例が見られるが、「感染防止」を第一に考えれば自宅で作業するのがベストだ。

自宅の回線が遅いならスマホがある

 しかし自宅がアパートやマンションなどの集合住宅の場合、建物の設備の関係上、使用者が増大すると通信速度が著しく低下する場合がある。これは光回線を利用できない集合住宅でよく見られる「VDSL」という通信方式の特性に問題がある。さらに、ひとつの建物で1本の回線を共有しながら使っている場合が多いので、利用者が増えると回線が圧迫され、結果的に「ネットが遅い!」と感じることになる。いずれにしてもユーザーサイドではどうしようもない。

 そうした場合の代替手段として、モバイルネットワークを活用する手がある。「テザリング」機能を利用するということだ。スマートフォンをハブにして、そのほかのデバイスをインターネットに接続する機能だが、これを利用してパソコンをネットにつなげられれば、4Gの高速回線で仕事ができる。もし、自分の住まいが5Gエリアであるという(現時点では)極めてラッキーな方がいれば、並の固定回線よりも圧倒的に速い通信速度で仕事ができるかもしれない。

実際に使ってみよう

 Android 10の「Pixel 3a XL」を例に取ると、「設定」から「ネットワークとインターネット」の項目下に「テザリング」というメニューが存在する。ここからテザリングをオンにすることができる。

キャリアとの契約次第ではテザリングが利用できない場合があることに注意

 選べるオプションとして「Wi-Fi テザリング」「Bluetooth テザリング」「USB テザリング」の3つがある。長時間使用することを考えると、パソコンとケーブルで接続する形のUSBテザリングが無難だ。パスワード設定の必要もないため、手軽に使えることも魅力といえる。

 複数の機器を同時に接続するならば、Wi-Fiテザリングが便利だが利用する場合は、事前にパスワードを設定し「アクセスポイント名」(端末によっては「ネットワーク名」など)を確認しておく必要がある。アクセスポイント名はその端末の名称になっていることがあるが、分かりやすく任意に変更しても良い。

 Windowsのタスクバー右下付近にあるネットワークの設定から、Android側に表示されている「アクセスポイント名」を探し出せたらそれを選択。事前に設定したパスワードを打ち込むことで、接続が完了する。

 なお、iPhoneの場合は、「設定」から「インターネット共有」を開き、「ほかの人の接続を許可」のスイッチを入れる。あとはパソコン側で、自分のiPhoneを探し出しAndroid同様に事前に設定したパスワードを入力することでWi-Fiテザリングを開始できる。

スイッチを入れた状態が右側

 USBテザリングする場合、パソコン側に最新版のiTunesがインストールされている筆頭がある。

通信制限がかかるかも?

 そうした場合に気になるのが、データ通信容量(ギガ)だ。個々最近は容量無制限のプランも充実しているが、制限ありのプランに入っている人にとっていわゆる“ギガ死”は死活問題である。

 各キャリアでも通信容量をチェックするサービスを設けてはいるが、より簡単にデバイスの機能で確認もできる。Androidの場合、「設定」→「ネットワークとインターネット」などから確認できるようになっていることが多い。

 さらに、勤務中に使ったデータ分のみを確認したいという場合は、Windowsから参照する方法が有効だ。

 左下のスタートボタンを右クリックすると「設定(N)」をクリック。「ネットワークとインターネット」の項目の左にあるメニューから「データ使用状況」から過去30日間のデータ使用履歴をシステム全体もしくは、ソフトウェアごとに確認できる。

すぐ通信制限に…… プラン変更という手もある

 日常的に大して通信容量を消費しないという人でも仕事となれば話は別だろう。業種や職種に左右される部分も大きいが、1GBや3GBなどはすぐに消費してしまうこともある。

 これを機に……ということでもないが、大容量プランに乗り換えるという手もある。

 ドコモを例に取ると、「ギガホ」がある。こちらは通常30GBまで利用できるプランで現在はキャンペーン中につき2倍の60GBまで利用できる。auの場合は、「auデータMAXプラン」なら容量無制限で使うことができる。ソフトバンクの場合、「メリハリプラン」において50GBまでのデータ使用が可能だ。

 なお、テザリングはプランによって容量制限がある場合がある。

 もちろん各社では5Gプランも受け付けを開始している。これを機に5Gスマートフォンに乗り換えてみようかという人はそちらも検討しても良いだろう。

 なお、そこまでの大容量は必要ないというならばライトユーザー向けのプランも用意されている。

仕事の環境確保は万全にしておきたい

 新型コロナウイルスによる影響はこの先もしばらく続く見通しだ。日本において、テレワークに踏み切っている企業は全体のわずか数%程度という話も囁かれている。しかし、4月7日の政府による緊急事態宣言を受けて、テレワークに踏み切る企業がさらに増加するだろう。

 近年では、スマートフォンがあれば情報収集に支障がないため、自宅に固定回線を引いていないという人も若年層では増えつつある。今回を機に改めて、自身の環境を見直す機会にしてみるのも良いかもしれない。

 このような時だからこそ、仕事に向かうための体制は万全を期しておきたい。